「水木洋子邸」脚本家・水木洋子さんが市川で暮らしたモダンな邸宅 -市川⑶
千葉県市川市に、脚本家である水木洋子さんが暮らした邸宅が「水木洋子邸」として保存されていると聞いた。公開日は限られている日のみであるが、見所がある邸宅とのことで、市川の探索のついでに寄ることにした。
京成鬼越駅から
水木洋子邸への最寄り駅は、ホームページなどでは京成八幡駅、JR本八幡駅。徒歩10分くらいとある。
私は京成鬼越駅から商店街を探索したかったので、京成鬼越駅で降りた。京成八幡駅周辺にも古い建物があるそうなので、次は京成八幡駅から行きたい。
鬼越駅から、真間川を越えて住宅街の中へ。こんなに静かな住宅街に果たしてあるのかと疑問に思うくらい。

良かった。看板が見えてきた。

水木洋子さんについて
水木洋子さんは、「ひめゆりの塔」や「竜馬がゆく」など私たちの世代でも知っている作品を数多くつくられた脚本家である。1910年に生まれた水木洋子さんは、1947年から市川市八幡で暮らし、執筆活動を続けていた。
戦後の日本映画の黄金時代を担った人物でもあり、女性脚本家の草分けとしても知られているそうだ。
平成15年(2003年)に、92歳の生涯を閉じたが、その後も市民サポーターの方々によって功績を後世に残そうと活動されている。また、「市川市文学ミュージアム」でも資料が紹介されているとのこと。
水木洋子邸
水木洋子邸は、昭和22年(1947年)に建てられた建物。脚本家である水木洋子さんが50年間、創作活動の場所、そして住居として過ごした邸宅だ。土地は約249坪。生前からの水木さんの意思で市川市が寄贈を受け、現在も一般公開をしているらしい。
平屋住宅であるが、水木さんのこだわりが詰まった邸宅は、見所がたくさん。市民サポーターの方が丁寧に案内をしてくださる。
入り口の門からしっかりと残っている。

手入れされた松の木などが邸宅の雰囲気を際立たせている。

玄関・洗面
玄関は、とても広く開放的。黒い瓦タイルが印象的な土間、天井には杉と白竹の竿縁天井の数奇屋風。

玄関からすぐ左手にあるのが洗面。
現在は荷物が置かれているが、タイル張りの洗面台に興奮!玉石タイルだろうか。濃淡のある青いタイルが並び、水の流れを連想させる。
昭和30年代から流行。風呂場やトイレでよく使われていたタイル。


和室
最初に案内されたのは和室。
水木洋子さんが買い取った借家の間取りがここだけ残っているという。8畳間。

机の上には、花瓶かと思ったら「ガラス製ハエ取り器」。器の中央に餌を置いて、迷い混んだハエを取るらしい。これでハエが取れるのかと思ったら、一度入ったハエは性質的に出られなくなるらしい。なんておしゃれなハエ取り器なのだろう。

この部屋には、母の遺影が飾られており、愛犬と撮った写真なども残っている。


壁側には、様々な貴重なものが飾られている。
大きな琴。水木さんが親しまれていたもの。

ミヤコ蝶々さんから送られた菊人形も飾られていた。


その背景は源氏物語絵巻の屏風。とても美しい。

珍しい蓄音機も。蓄音機ってどのようにして使うの?そんな世代であるため、実際に見ることができるのは新鮮。

広縁
和室の南、庭に面した10畳ほどの開放的な空間は「広縁」。
来客はここのテーブルとソファで、粋な施しが細部までいきわたった空間を楽しんでいたそうだ。増築された広縁と和室の様子を見比べてみるのも楽しい。

ちなみにソファも左右で硬さが違うらしく、座ってみたらとても高級感のあるつくりに驚いた。ここから眺める庭の景色は最高だ。

全体的に数寄屋風。天井まで手間がかかっている。

見事な竿縁天井。等間隔、平行に取り付けられた細長い木材(竿縁)の上に天井板を張っている。


部屋の角には、雨戸を綺麗に収納する仕組みが。実は、角で雨戸を90度回転させて、移動させる仕組み。
とてもびっくりした。一度ご覧いただきたい。

細かい場所にも、飾りがあって見つけるのが楽しい。

住宅街に建っているのが嘘のような、静かな邸宅。

照明もとても美しい。これは船橋の玉川旅館でも同じようなデザインを見た気がする。

円を描いている天井。天井だけでもお腹いっぱいになる。

和室からは一段低い。と思ったら、その間にも波を打つようなデザイン。足元まで抜かりない。

次の間
茶室風の次の間。借家時代は回り廊下であったが、その後、6畳の和室、書斎を増築するときには渡り廊下の増改築が行われた。
箪笥が4棹あり、その全部に水木さんとその母の着物が入っている。また、丸い箱は帽子。20箱ほどあるという。

桐箪笥に描かれた鶴のデザイン。とても衣装持ちだったことがわかる。

奥は、書斎。

書斎が斜めに増築されているのがわかる階段。

縁側からは、犬小屋が見える。愛犬家であった水木さんは秋田犬をはじめとした大型犬を数匹飼っていたらしい。

書斎
書斎で、様々な作品を執筆していた水木洋子さんのいわば仕事場。

入って驚いたのが、ベッド!元々床の間だったところを利用している。
仕事場からすぐに寝ることができるベッドは、現実主義な水木洋子さんの人柄が出ているのだとか。私もこんなベッドが欲しい…
そして水木洋子さんの着物も展示されている。私の世代が見てもとてもおしゃれだなと思うデザイン。


化粧台のデザインも素敵。


レトロな電話機。パステルな緑がなんか可愛い。

なんと、自転車?!運動不足解消のために利用していたとか…

書棚にはびっしりと詰まった書物。700冊近くの貴重な蔵書が並んでいる。

中央にある掘りごたつに座って執筆していたという。とても眺めも良い。

便所・廊下
高級料亭のような作りのトイレ。小石が並び、足置き用の切り株が配置されている。凄い!

廊下にもレトロな電話機。こちらは使用不可。


ダイニングキッチン
ダイニングキッチンは、晩年ここで水木さんが寝起きしていたという、生活感が溢れる場所。
大きなテレビが時代を感じる。

天井から作り付けれたハッチ。昭和30年代にはやったものらしい。

扇形の食器棚にはコップがたくさん!
こんなに必要あるのかなと思ったが、水木さんはお酒好き&おもてなしをするのが好きだったそうで、多くの人が訪れていたのだとか。お酒はとても強いことで有名だったらしい。



また、窓際には懐かしい昭和の道具がたくさん。

風邪の予防に使われた吸入器。こういった予防方法があったなんて知らなかった。


カレンダーは水木さんの最後の時を知ることができる。

水木洋子邸
玄関の近くには、水木洋子さんが着ていた洋服。アンサンブルの白地にトンボ柄がとても可愛い。
ペンダントはサンゴ。こんなに高いヒールを履いていたなんて、本当にオシャレな方だったのですね…

まるで水木洋子さんが今も住んでいらっしゃるかのようなリアルな生活を感じることができる邸宅。見学は無料なのでぜひ立ち寄ってみてください。

水木洋子邸
水木洋子邸
公開日:毎月第2・4土曜日、日曜日(変更もあり)
後悔時間:午前10時~午後4時
観覧料:無料

水木洋子邸のついでに周辺の探索も↓
(訪問日:2020年7月)
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現在の瀟洒な住宅地からは想像できませんが、境川(真間川)周辺は牧歌的なところだったらしく、対岸に痕跡があると聞いて市川税務署の裏手に中沢乳業の集配所を発見した時には青々とした牧場の風景と草の香りが脳裏に広がりました。子供の頃から狭い路地をチャリで走り回っていたところだったのに、そんな過去があるなんてビックリ。またこの周辺は昭和40年代から度々水害に見舞われていましたが、原因は境川と並行して流れていた小川を埋めてしまったからとか。冨貴島小学校の校庭にも流れていたという小川の痕跡を探しております。冨貴島小裏の真間川と立体交差するところに樋があった記憶があるのですが、今は樋口を埋めてしまった跡すら残っていないかもしれませんね。水木洋子先生も執筆の手を休めて小川が流れる草原の景色にしばし心を癒されていたのかも・・・。