川の家|つげ義春ゆかりの洞窟風呂が現存する養老渓谷温泉旅館 ー養老渓谷⑹
養老渓谷にある旅館「川の家」に宿泊。独特な洞窟風呂で堪能する黒湯!美味しい地魚料理!
そして、漫画家のつげ義春氏が宿泊し著作「貧困旅行記」にも描かれた旅館でもあります。
養老渓谷「川の家」宿泊レポート
千葉県夷隅郡大多喜町葛藤932「川の家」
最寄り駅、小湊鐵道「養老渓谷駅」から徒歩30分ほど、向山トンネルを抜けた先に見えたのは昭和から時が止まったままのような「川の家」の看板。
養老川に沿って立つ川の家の建物。手前に駐車場がある。
今回宿泊した客室は養老川が眼下に広がる二階。改装されていて設備は全体的に綺麗。
今回予約したのは、2食付き1.4万円ほどのプラン。
絶景!四季の養老渓谷を満喫★郷土料理に舌鼓プラン[1泊2食]『お食事は個室で』
【お料理】
川魚と四季の山菜を生かした郷土色豊かなお料理です。
「うなぎ」の蒲焼きは、生を焼く関西流の地焼き。
当館でさばいたうなぎを、何度も返して焼くので、
中はやわらかく、外はぱりっと香ばしい蒲焼きです。
お部屋または個室にて、ごゆっくりとお召し上がりください。
お食事は別室、個室でゆっくりと。川魚と四季の山菜を活かした天ぷらなど。ボリュームも多すぎず、完食するのにちょうど良い。
うなぎの蒲焼は、創業当時から受け継ぐ川の家の名物とのこと。外はパリッと中やわらかいくて美味しい。
せっかくなので君津市の地酒をいただきました。
この日は満室。家族連れなどで賑わっていました。
洞窟風呂(川の家)
一番気になる温泉は、川の家専用で源泉を引いている黒湯。
洞窟風呂と内風呂の二つあり、時間制で家族風呂として貸切も可能。また、予約なしで日帰り入浴も14時半まで受け付けている。
今回は洞窟風呂メインで入浴。脱衣所があまりにも現代的に改装されていて洞窟風呂とのギャップに驚き。アメニティも完備。
脱衣所から扉を開けると…
視界に広がる湯気!たちまち湯気でカメラが曇ります。
見事なドーム型の洞窟風呂は2人ほどのこじんまりとした空間ですが、ここはつげ義春氏も味わった洞窟風呂の雰囲気をそのまま残している。
泉質:ナトリウム・塩化物強塩泉
効能:美肌効果 婦人病 リウマチ・神経病
茶褐色の黒湯。泡が立ち、ぬるぬるスベスベの湯。40~42度くらいで、永遠と入ってられそうなちょうど良い温度でした。
黒湯の温泉は、ガスとともに地中から吹き出しており、源泉は玄関の前にあるらしい。見逃した!
川の家の歴史とつげ義春聖地
現在3代目のご主人に色々と話を伺った。ご主人も東京から20年前に戻ってきた方でとても気さくだった。
川の家は戦後の創業。前回の記事で紹介した県道沿いの岩風呂が本家で、75年位の歴史があるらしい。
40年位前に、川の家の建物ががけ崩れの被害に遭ったため建替え。洞窟風呂はそのままだが、つげ義春氏が訪れた当時とは異なっている。
1年に数人、つげ義春の本を持って川の家に来るらしい。私もその一人だ。
私はトンネルを抜けて風景画の裏側に回ってしまったような変な錯覚を起こしそうになった。表から見えぬ裏側は、狭い谷間で、トンネルの出口に橋があり、そのたもとの崖の棚に小さな宿屋が一軒きり、他に人家はなくひっそりあった。私は橋の上に佇んで、静かな谷間を眺めて、ここは思いがけぬ別天地に映った。古ぼけた宿屋も私好みで景色にしっくり溶けこんでいる。『貧困旅行記』養老(年金)鉱泉より
養老(年金)鉱泉、つげ義春氏が養老渓谷を訪問したのが昭和63年。建替え前の古ぼけた宿屋こそが川の家だった。
つげ義春に会いに行く旅-養老(年金)温泉「川の家」へ (貧困旅行記)2013 音楽:作詞:寺山修司 紅葉の養老渓谷と弘文洞
2004年頃に訪問されている方の記事を読むと、
つげ義春が隠棲を考えた廃屋も朽ちているが残っていた様子。今はどうだろう・・
また、これほどの温泉地として栄えたなら芸者さんはいたのか、と兼ねてより疑問を思っていた。置屋(小さな建物)は50軒?100人以上の芸者さんがいて…という話を伺ったが文献でまだ見つけられていないので実態が分からず。ただ、房総の漁師が車できては遊んでいたとか、もちろん健全な観光地として有名だったとは思うが男の遊び場でもあったとは。まだ聞いただけの話なので分かったら追記したい。
(訪問日:2022年10月)
-
前の記事
養老渓谷温泉街の歴史|大正時代にはじまり葛藤温泉、ドライブイン、現在の旅館街へ -養老渓谷⑸ 2024.06.26
-
次の記事
大多喜町小田代、旧老川村を歩く|旧老川郵便局と旧新川旅館 ー養老渓谷⑺ 2024.06.29
コメントを書く