「温泉郷」と謳われた養老渓谷の現在。養老渓谷温泉街 -養老渓谷⑶

「温泉郷」と謳われた養老渓谷の現在。養老渓谷温泉街 -養老渓谷⑶

「養老渓谷」と聞いてどんなイメージがあるでしょうか?私は紅葉の養老渓谷を思い出す。小さい頃によく行ったことがあり、養老渓谷と言えば秋だと思っていた。

今回は、真夏の養老渓谷。レトロな小湊鉄道に乗車し、養老渓谷駅から名所を目指して歩く。どんな風景が待っているのだろうか。期待を膨らませながら、養老渓谷のディープスポットを探す。

宝衛橋

前回、養老渓谷駅前の商店街を紹介したのでその続きから。養老渓谷駅前。商店街の名残と宝石になった街灯-養老渓谷⑵

建物は見えなくなり、どんどん山奥へ進んでいるのがわかる。

赤い橋が見えてきた。

宝衛橋

宝衛橋(ほうえいばし)と読むらしい。養老渓谷の絶景スポットである。

宝衛橋よりも高い位置にかかっているのが、渓谷橋。秋の紅葉もきっと素敵なのだろう。まさに宝、大切にしたい風景だ。

渓谷橋

2009年の時に撮った写真。11月頃が養老渓谷の紅葉を楽しめる。

2009年の写真
紅葉の季節にぜひ

そして夏に戻り、ダイナミックな川の流れを堪能。

革も綺麗

道路は整備されており、時々車が通行するので注意。

整備された道路

巨大な白いススキ。同じ千葉県とは思えないほど、自然豊かな風景が広がっている。

綺麗なススキだ

分岐を左に曲がり、養老渓谷の温泉郷と呼ばれる方面を目指す。森の中を歩くのは体にも良さそうだ。真夏なのに暑さを感じない。

森!
Advertisement

白鳥橋

こちらは吊橋の白鳥橋。養老渓谷駅からは1キロほど。

白鳥橋

ちょっとロマンチックな場所…白鳥に見守られつつ橋を渡る。ここは車も通れるのかなと思ったが、どうやら通るらしい。

白鳥

橋を渡ると、駅前で見かけたレトロ街灯の続きを発見。

レトロ街灯

ペンションせせらぎ」。宿泊、軽食、喫茶と書いてある。「自家製有機野菜をメインにした食事と黒湯でごゆっくり」とホームページにあるので営業しているようだ。

ペンションせせらぎ

1泊2食付きで7千円前後。希少なホタルツアーにもご招待というのが気になる。御料理もとても美味しそうだ。

と思ったら、閉業しているとの情報も。あれ、ホームページだけ残っているのかしら。この山奥で宿泊する方も少ないのかな。

これも何かの商店の跡
Advertisement

喫茶店「ふじ」とドライブイン

住宅街の道を抜けると、メインの道路へ。この通りは、交通量も多い。

メインンの通り

交通量は多いものの、車は颯爽と過ぎ去るのでこうした商店の跡が目立つ。

販売所的な?

「喫茶ふじ」は有名らしく、夜は地元の人が集うカラオケ居酒屋?にもなるらしい。アットホームな喫茶店という情報を得たのだが、営業時間外だと思われる。午前10時~

喫茶ふじ

喫茶ふじの隣の空き地。その入り口には看板が残っていた。コカ・コーラと養老渓谷…イン?

古そうな看板

養老渓谷特産も扱っているらしいが…矢印に誘われて奥へ。

養老渓谷特産

奥にある横に長い建物は、文字が埋もれていて読みづらいがドライブインではないかと、SNSで教えていただいた。ドライブインの廃墟か…2012年時点で廃墟らしいがいつまで営業していたのか気になる。

ドライブイン

養老渓谷直売所も営業しているのか定かではない。

養老渓谷直売所
Advertisement

旅館街・温泉郷

メインストリートに戻り、さらに進むと、レトロな街灯が再び見えてきた。

レトロ街灯

こちらはホテル岩風呂の看板とともに。街灯の隣の看板は、鉄骨のみになっているのが気になる。

ホテル岩風呂と
Advertisement

鶴乃家

鶴乃家」は、2018年12月にリニューアルオープンしたばかりの宿らしく、この日も数台車が止まっていた。

鶴乃家

「食べる温泉宿」というキャッチコピーとホームページが魅力的。貸し切り温泉もあるらしく、想像以上に良さそうな宿。ここでのんびりと夏を過ごすのも良いなあ。

鶴の家外観
Advertisement

大新

向かい側にあるのは、お食事処「大新」、割烹大新とも書いてある。

大新

川魚料理にこだわった食事処として、地元の特産品を使ったランチが人気らしい。「むぎとろ定食」も美味しそうだな~と思ったら、営業時間は11時半~

http://daishin1825.jp/

大新は営業中
Advertisement

ホテル岩風呂

大新の隣には、和風建築が素敵な建物。「岩風呂」とあるのが見える。が、カーテンの開き具合、と建物の傾き具合から営業していない雰囲気。

岩風呂

ホテル岩風呂は、どうやら廃墟好きの方の間では有名らしく情報が載っていた。老舗ホテルらしく、↓の木造建築は旧館の方だと思われる。

旧館

本館は、4階建てほどの立派な建物。2007年頃に閉館してから廃墟の状態だ。廃墟好きの方が探索しているのか、カーテンや窓が開いている。

ホテル岩風呂

螺旋階段も素敵なのだが、劣化が激しい。私が養老渓谷に訪れていたのは、2007年よりちょっと前くらいなので、もしかしたら営業していたのかもしれない。ここまで廃墟旅館があるイメージは無かった。

螺旋階段

 

㐂代元

黒湯の看板が目立つ㐂代元(きよもと)は、肌がすべすべになる黒湯が地中から湧き出ている温泉旅館。

㐂代元

貸し切り温泉もできるらしく、雑誌などでも紹介されている。

㐂代元のホームページはこちらから

本館

温泉郷入り口と書かれた小湊バス停。

温泉郷入り口

大正元年(1912年)に個人宅の敷地から湧き出た天然ガスがきっかけとなり、養老渓谷温泉はつくられた。その後、高度経済成長期の1970年には日本交通者の温泉案内でも取り上げられるなど、観光と療養を兼ね合わせた温泉として有名だったらしい。

廃墟になってしまった旅館もあるが、温泉郷としての賑わいをこれからも維持してほしい。

温泉郷の今
Advertisement

観音橋と出世稲荷

2連の赤い太鼓橋が見えてきた。観音橋だ。

思っていた以上に角度がある橋で、面白い写真が撮れそうだ。

観音橋

観音橋を渡ると、出世観音の入り口が見えてくる。

出世観音

元々の石の階段は、土砂崩れの影響か壊れてしまい、新しい階段が設置されているのだが、階段の下が透けていて少し怖い。

階段が壊れている

トンネルがあるのだが、トンネル内は湿っていて、サンダルなどではちょっと危ない。真夏だが、ひんやりしていて、異世界の入り口みたい。

トンネル

出世観音は山の上にあり、参拝するのも一苦労。どのように資材を運んだのか疑問である。

出世観音

「開運招福」の観音様に見守られながら、探索を続けよう。

Advertisement

中瀬遊歩道

いよいよ、川へ近づける!中瀬遊歩道と出ている看板に従って下って行こう。

中瀬遊歩道入り口

キャンプもでき、川遊びをしている家族も多数いた。夏場は最高の遊び場だろう。私も疲れたので足を川の冷たさで休めた。

中瀬遊歩道
Advertisement

キャンプ場

中瀬遊歩道をさらに歩いていくと、キャンプ場の入り口を見つけた。

中瀬遊歩道キャンプ場

炊事場、トイレ、温水シャワールーム、水道、電灯など完備されている民営のキャンプ場らしいが、現在は営業していなさそうな雰囲気。

とても静か

昨年の台風15号の影響を受け、一時期通行止めになっていたというので、もしかしたらここも影響があったのかも。

売店?

売店らしき建物もかなり古そうだ。養老渓谷では売店もあまり営業していないので、飲み物などは持参しよう。

ケースが放置されている
自動販売機も稼働しているのか…?

やきいも、あゆ塩焼き…とても美味しそうな名前が並んでいるというのに、営業していないなんて。

鮎の塩焼き食べてみたかった
備品はそのまま放置されているみたい

キャンプ場の奥へ続く道は通行止めになっていた。弘文洞跡へ続く道なのだが、台風の影響らしい。知らない観光客が大勢引き返していた。

通行止め
Advertisement

元祖養老館

中瀬遊歩道を後にし、再び道路へ。次は「元祖養老館」と書かれた看板が見えてきた。入浴は1000円か~平安風呂ってなんだろう?

元祖なのに

と思ったら廃墟。2011年の時点は、自立支援センターになっており、一般入浴不可に。しばらく使われていたので廃墟ではないらしいが…

養老館

底が見えないほど黒い湯についてレポートしている方のブログを見たが、ハイキングをしていて疲れた体にぴったりのお湯だなと思った。どうして廃業してしまったのだろうか。温泉郷と言われていたにも関わらず、現在は厳しいのか…

入り口は割られていた

YouTubeなどでもよく取り上げられている養老館、観光地なのにここまで巨大な廃墟が放置されているのは凄い光景だ。

追記:『全国市町村便覧』(1949年、全国図書出版発行)の「全国旅館等級別一覧表」にて老川村の項に養老館がランク5とある。(ランク1が最高)

養老館は1949年(昭和24年)には少なくとも営業をしていたことがわかった。老舗旅館なのだな…

Advertisement

商店や旅館

ちょっと廃墟が多いなと思いつつ、道を進む。

字がわからない

駐車場などは整備されているようで、車を停めて探索している方が多い。

売店だったような建物

旅館「嵯峨和」は本日満室と出ている!ここでは名物しし鍋と黒湯を楽しめるらしい。

嵯峨和

ホームページがシックな大人な感じで惹かれる。

嵯峨和のホームページはこちら

川魚定食、うなぎ、竹のこめし…

温泉郷の看板

レトロ街灯と、かき氷のマーク。かき氷を購入しようと店内に入ったが、待っていても店員さんが現れず断念。まあ、こういうこともある。

かき氷屋

何か冷たい物を…と思っていたところ見つけた自動販売機。様子がおかしい。下の段には、おでんや、やきとりも販売していたらいく、重宝されていたのではないか。

古い自動販売機

岩家食堂も営業している雰囲気は無い。

岩家食堂

こちらは「民宿さかや」。リーズナブルで家庭的なおもてなしが魅力の宿らしい。

民宿さかや

民宿さかやのホームページはこちら

ラジューム温泉と書かれた看板がレトロな雰囲気。

民宿
Advertisement

二階建てトンネル

インスタ映えすると話題になっているこちらのトンネル。多くの観光客の方がカメラを構えていた。

二階建てトンネルへ

正式名称は「共栄・向山トンネル」。2つのトンネルの名前がくっついている珍しいトンネル。

かつては普通のトンネルであったが、利便性をよくするために昭和40年にトンネルの途中から新しくつくったことで、二階建てのような不思議な光景に。

共栄・向山トンネル

全長は125m。神秘的な光景に癒される。

トンネル
Advertisement

ランチ 清恵

やっとランチの時間に。

前田屋

朝の8時からひたすら歩いていたが、疲れたので途中にあったお食事処「清恵」という場所ででお昼ご飯を頂くことに。たまたま寄ったのだが、養老渓谷の中でも人気の高いお店らしく、紅葉シーズンは混雑するそう。

清恵

うどんがとても美味しかったのだが、特に連れが頼んでいた生湯葉のてんぷらは初めて食べた。湯葉を天ぷらにするという発想、さくさくした衣とふわっとした湯葉の感触が面白い。

生湯葉のてんぷらとうどん
Advertisement

さらに奥へふれあいの道

ここからはひたすら歩く。粟又の滝を目指して、5キロほどだろうか…

ふぁーむ?あばあ~

しかし、誰も歩いていない。どうやら、他の観光客は車で粟又の滝まで向かうらしく。先が見えないコンクリートの道路を炎天下の中、歩いているのは正直つらかった。

これは何だろう?
トンネル

房総ふれあいの道と名付けられているらしい。涼しい季節であればハイキングにも良いかもしれない。

房総ふれあいの道

でも、絶景が堪能できるのは歩いている特権。

絶景

道了尊の石碑を見つけた。道了尊は、相模の国の僧のことを指すらしい。

道了尊

 

ここまでくると、お店などはなく、あるのは田んぼと民家。民家の門もこんなに大きい。

門が大きい

道端に石碑を見つけると嬉しくなる。車だと見つけられないから歩いていて良かった。

 

石碑
Advertisement

粟又の滝へ

やっと、粟又の滝へと向かう道が見えてきた。ここを右に曲がってあと1,2キロ。

粟又の滝へ

花ごころ、いやしの心?水月寺の近くで見つけた詩のようなもの。

詩?

幻の滝は封鎖され入れなくなっていた。幻の滝は、個人所有で階段、道、全て手作りで管理している珍しい場所。見学料は200円ほどで階段を下っていくらしいが、

幻の滝

台風15号の影響の為、当分のあいだ休業致します。 幻の滝は日本の滝の中でも希少な私有の滝で国や市のものではない為 自衛隊及び国や市が動いてくれません。 その為、復旧もかなり時間と日にちがかかる事をご了承下さい。 また皆さまに素晴らしい滝をご覧頂けるように復旧作業 頑張っています。

去年の台風の影響で、橋や階段が壊れてしまったらしく、また個人所有のため補助も出ないらしい。さらに新型コロナウイルスの影響もあり、臨時休業が続く。再開される日を待とう。

滝めぐり遊歩道

やっと着いた粟又の滝だったが、このあたりの川には大勢の観光客が群がっていた。各自テントを立てており、カオスなプール状態。上流にこんなにも人がいたとは、驚いてしまい、そそくさを後にした。

粟又の滝

粟又の滝から上へ上る階段の途中にあった建物。飲食店の跡だろうか。

飲食店?
Advertisement

山猫で頂くかき氷

どうしても粟又の滝まで行きたかった理由がこちら。山猫というお店のかき氷が美味しいと評判らしく、食べてみたかったのだ。

山猫のかき氷

滝見苑という温泉宿の期間限定の売店。残念ながらかき氷は土日のみ、そして予約制。無農薬野菜や果実を使ったかき氷は見た目だけでなく素材も素晴らしい。

山猫のホームページはこちら

メニュー

今回は、はちみつソフトクリームと、季節のオリジナルソフトクリーム(プラムのシロップ)。

今回頼んだもの

丸ごとプラムを使ったシロップが、酸味の効いたソフトクリームとぴったり!疲れた体に沁みる…

プラムが美味しい

山猫の正面には滝乃家という売店もあり、こちらのソフトクリームも繁盛していた。

滝乃家

最後に、養老の滝展望台へ。上総養老の滝展望台と書いてあり、上から滝を眺めることができるのだが、看板がちょっと廃れてしまっている…奥の売店も営業していないみたい。

上総養老の滝展望台

展望台からの雄大な自然の景色は素晴らしかった。でも、車でこの頂上まで訪れる人の多さに驚いた。確かに車は楽。だけど人が一か所に集中していて、駅前や温泉郷の廃れ具合はこれからますます加速しそう。たまには歩いて養老渓谷を探索するのもいいですよ、と伝えたい。

 

(訪問日:2020年8月)

error: このコンテンツのコピーは禁止されています。