【吉原】旧赤線・吉原のハート型らしき壁に惹かれる旧屋号「ゆうらく」のカフェー建築
吉原遊郭、赤線、と様々な変容を経て、令和になった現在も現役で稼働中の吉原。東京の中心にありながら、その異様さは格別だ。
そして、吉原には赤線時代の名残であるカフェー建築が数件残っている。その中でも、特に壁のハート型らしき壁が特徴の「ゆうらく」を紹介する。
赤線時代の名残カフェー建築
遊郭として日本最大級の華やかさを誇った吉原遊郭は、関東大震災や東京大空襲といった被害により、その当時の面影を残す建物は残っていない。
しかし、「カフェー建築」と呼ばれる赤線自体の建物はいくつか現存しているのが救いだ。カフェー建築は、一般的な住宅とは全く違う様相であり、人目を引くデザインが特徴的だ。
客同士が鉢合わせしないように、設けられた2つのドア。また、異様にドアの数が多い場合も、ドア一つにつき一人の女性が客を招いていた当時の様子から納得がいく。
一階はダンスホールなど、広いホールになっており、見せかけのお酒を提供していた。モザイクタイルや、円柱、モルタル塗りで曲線…などといった特徴的なつくりは、カフェー建築であることを証明する材料となる。
吉原の伏見通りのあたりには、赤線時代のカフェー建築がぽつぽつと現存している。…が、ここ数年で消えてしまったものもいくつかある。
私の調査不足かもしれないが、確認できなかったカフェー建築が多かった。興味がある人は早めに訪れるのが吉かもしれない。東京オリンピックの影響もあってか、東京の街並みが変わろうとしている。
赤線時代の建物・旧屋号「ゆうらく」
吉原のカフェー建築で最も知名度が高いのでは、と言われている旧屋号「プリンセス」の建物は何度見ても圧倒される巨大なカフェー建築。
プリンセスからは少し離れるが、京町通りと角町通りの路地を入った場所にある旧屋号「ゆうらく」。
一見、ただの民家のように見えるが、よく目を凝らして精巧なつくりを見て欲しい。(私はこの時カフェー建築についての知識が浅く、見過ごしてしまった。後悔)
そして、ゆうらくの壁には、ハート?型のようなデザインがあしらわれている。本当にハート型かどうかを別にしても、こんなデザインの壁を今まで見たことは無い。
カフェー建築は、現代の私たちにとっても輝きを放つ建物。無機質の高層ビルのように利便性を求めるあまり、心から感動するような建物に久しく会っていない。
カフェー建築の姿が現存するうちに、思う存分楽しみたい。
(訪問日:2020年3月)
吉原の赤線跡探索のお供に!↓
赤線跡を歩く―消えゆく夢の街を訪ねて (ちくま文庫) 文庫 – 2002/3/1
木村 聡 (著, 写真)
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