横芝光町本町の街並み。旧道沿いに残る昭和初期の近代建築「中村薬局」 -横芝⑶

横芝光町本町の街並み。旧道沿いに残る昭和初期の近代建築「中村薬局」 -横芝⑶

横芝の古き良き街並みが残る横芝光町本町へ。

旧道沿いには現在もひっそりと、昭和初期の近代建築が現存しており、門柱のある立派な邸宅が並んでいました。

旧道沿い、横芝本町へ

千葉県山武郡横芝光町横芝。前回の記事で総武本線「横芝駅」周辺を歩いたので、今回はその続きで線路を超えて北側の旧道を歩いてみることにした。

踏切を超えて

横芝光町本町の交差点は国道126号と県道78号が交差する。国道126号は新しくできた道で交通量が多いが、今回歩くのはそれ以前に主流だった少し狭い道幅の県道79号。

県道79号へ

交差点の北側、旧道沿いに碑と墓地がある。

馬頭観音
三猿

墓地の入り口の門柱も古くからのものだろう。裏に寄付者の名前と「昭和16年旧盆」と年月が残されていた。旧盆…

昭和16年の門柱

個人的に戦前の門柱が好きなのだが、今回歩く横芝光町本町には多数残っていて個人的に感動したエリアだった。

現在の横芝光町本町

本町、と名の付くことからも分かるようにこの通りが昔はメインストリート。だが現在は国道の方と比べると裏通り感が色濃いのは仕方がない。

旧商店
お堂

Googleマップに記載が無いお堂。消えかかっている文字を見ると「太子堂」とある。

太子堂

歩道が狭いので歩くときは注意。いかにも旧道らしい雰囲気だった。

食料品・たばこを扱っていた勝又商店は改装されて民家の入り口に。

勝又商店 看板が見える
外観

大きな赤い文字で「ツルヤ」。元どんなお店なのだろう~

ツルヤ
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中村家?立派な邸宅

その隣に数軒分の広さがある立派な邸宅が!

旧商家

2012年のストリートビューを見ても今と同じ雰囲気。商売をされていたのはずいぶん昔のことなのだろう。

美しい佇まい

主屋の左手は広い空き地になっている。なんとなく、元々は醸造業を営んでいたのではないかと思った。

外壁

中村家、だろうか。

中村

印象的な2本の門柱。綺麗な状態で残っていて嬉しい!惚れ惚れする。

門柱

よく見たらコンクリートの下に煉瓦が隠れていた。外壁も含めて土台は煉瓦造りなのだろう。

煉瓦

横芝の繁栄を物語る邸宅だった。

鈴木医院
荒れた建物

また、下の写真の奥に映る建物は真言宗観音寺の本堂。以前は看板が建っており、手前の空き地には自動車整備工場が存在した。

観音寺

観音寺の手前にある二つの門柱が気になったが、工場の門柱なのか、それにしてはなんだか古い気がするし、どんなプレートが掲げられていたのか気になる。

低めの門柱
観音寺入り口

追記:2022年12月18日
記事を読んで下さった方から門柱に関する情報をいただきました!

横芝尋常小学校の門柱ではないかということです。現在の横芝光町立横芝小学校の沿革概要にも「明治7年  横芝尋常小学校を本町(観音寺)に設置。」とある。明治時代の学校の門柱…中央には陶器製の学校名が描かれたプレートが存在したのだろうか。

江戸時代の寺小屋→明治時代にはお寺の敷地内に尋常小学校→昭和になると村や町の合併によって学校を移動させ現在の形に。一つの門柱から広がる歴史。改めて面白いですね!

 

旧道沿い、立派な建物が現在も残っている。

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近代建築としての「中村薬局」

そして本町のバス停の前にある「中村薬局」は老舗薬局!今回は中村薬局に残る近代建築を見に訪れたかったのも理由の一つ。

中村薬局

店舗の右側にある白い建物が、昭和6年築の鉄筋コンクリート造の近代建築。知名度は低そうだが、「千葉県の近代産業遺跡」で紹介されている。初代店舗、二代目など貴重な古写真が掲載されているので必見!現在は三代目。

昭和初期の近代建築!

中村薬局の歴史は古く、明治25年に中村薬舗として開業したのが始まりです。左の写真の建物は昭和6年に 風呂場として建てられたものですが、現在では倉庫として使われています。

昭和初期の風呂場、現在は倉庫に。洋風な風呂場だな~浴室内もどんな雰囲気だったのか気になる。

風呂場、というのはご自宅の風呂だったのだろうか。なかなかの豪邸だったのでしょうね。

意匠

皮膚疾患に特に力を入れているそうで、現在も変わらずに地元の方々に愛されているお店だ。

皮膚疾患に注力

また、風呂場とは反対側に2階建てのビル。こちらは薬局の研究施設のような雰囲気。手前に駐車場がある。

そういえば、先ほど見かけた広い邸宅も中村だったな…関係があるかもしれない。

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宿場町でもあった横芝町に残る旧商家

さらに、薬局の向かいにも旧商家が残っていた。横芝は『角川日本地名大辞典』によると、九十九里道と多古藩の陣屋町だった多古町を結ぶ街道が交差する辺りに発達した集落で、宿場としての継立場でもあった。

中村薬局の向かい
現在は民家に

また、2018年頃までは左にも同じような旧商家が建っていたが、取り壊され新しい民家に生まれ変わっていた。

現在

街並み、と呼べるほど古い建物が並んでいるわけではなく、残っている建物も明治から昭和初期にかけて建てられたものが多いのでスポットライトが当たらないのだろう。

現在

そして時代とともに人知れず消えていく建物も多い。

空き地や建て替えが多い
建材

建材の文字があるのは、旧堺屋建材展。現在は改装されて民家に。

タイルが美しい
軒下の照明

改装されているので分かりづらいが、照明の跡や門柱を見て、昭和初期頃に建てられたものではないかと思った。

門柱

あけぼの美容室の看板隣も新しい民家が建っているが、以前は全く様子が違う。

しかし、改装してもなお昔の門柱や外壁をそのまま活かしているところに愛を感じるような気がした。

門柱

2012年のストリートビュー

井上金物店。右側に蔵が建っている。

井上金物店

蔵と店舗の間にある門柱がこれまた良い!!

門柱
井上金物店の蔵

並びには旧鮮魚店魚武と旧勝又美容室。

旧勝又美容室

その向かいは新興住宅街が広がっていた。怪しいなあと思って過去のストリートビューを眺める。

新興住宅街に

2012年のストリートビュー

門柱に石畳。旧道沿いに面して店舗が存在したのだろうか。2018年頃に取り壊されたようだが、かなり広い豪邸だったようだ。

10軒弱の一戸建てが建つ広さって…どんな商家だったのだろうか。

門柱マニアにとって興奮せずにはいられない横芝!まだ続きます。

 

(訪問日:2022年1月)

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