牛久商店街の街並み。大正期の店蔵・青銅の看板建築・三嶋神社など -牛久⑶

上総牛久駅周辺の商店街、古い街並みを探索つづき。今回は、中宿~下宿に残る近代建築を探して記録する。
大正期の店蔵「辻家住宅」
千葉県市原市牛久。前回の続きで、房総往還沿いを歩いている。
こちらは駅近くで見つけた「牛久駅周辺ぶらり散歩マップ」。”ようこそみなみいちはらへ”

観光情報だけでなく、個人商店のPRも事細かに描かれていて面白い。時田酒店で販売されている市原産米100%を使用した地酒「市原のしずく」気になる。

駅前通りと房総往還の丁字路角に立つ店蔵が「辻家住宅」。

前回から参照している『集落・町並 集落・町並千葉県実態調査報告書』でも紹介されている近代建築。
辻家住宅(荒物・雑貨店)〈大正元年(店蔵)〉
上総牛久駅前の交差点角にある。2階建・平入の店舗(現ファサードは新建材、なお奥は平屋の住居)と同じく2階建て・平入の店蔵(現在は倉庫)からなる。店舗の築造年代ははっきりしないが、聞き取りではその前後か。
店舗名は「辻商店」。現在も看板に名称が残っており、左右に新旧店舗が閉業後も残っているようだ。2012年頃のストリートビューを見ると店蔵の外壁が剥がれ落ちていたが、現在は新しい板で覆われている。

最後は、荒物・雑貨店ではなく茶を販売していたようだ。
牛久のシンボル的な近代建築だった。

旧宿場・商店街の街並み
郵便局の駐車場に残っていた、古い商工案内看板。この看板から得られる情報量が半端ない!残っていて嬉しい…

上総牛久駅を中心とした商店街の店舗がぎっしり描かれている。気になる店名はありますでしょうか…

大津屋旅館前に「扇屋」。イオンの前身、扇屋百貨店のことかな?

引き続き、房総往還沿いの牛久商店街を歩く。

鈴木金物店、隣にはカメラ屋ウチダ、小出呉服店(更地に)。
向かいは旧時計店、ホシノ薬局、文具店など。
モルタルの新しいファサードながら大きな町屋だtった「小出呉服店」は今は無いが、重厚感のある存在感。
その近くに青銅の看板建築が健在!

「旧安藤要商店」。電話は牛久22番。かつては上の中央部に屋号入り。


精巧な窓枠、看板建築正面にもダイヤや丸を上手く配置したモダンな雰囲気。当時の最先端を走っていた店舗だったのかもしれない。

今は閉業してしまっているが、かつての大型店舗が並ぶ。総合衣料大山の店舗も、横から見ると町屋の表側に3階建てのコンクリートビルをくっつけている看板建築のようなスタイル…


旧大山家具センターのテント屋根には「家具のデパート」だった証。


その隣はスーパーキムラヤだったようだ。伝言板が残る。


薬局「伊藤家住宅」
現役の伊藤薬局の店舗も、明治期の近代建築!外観が綺麗!

伊藤家住宅(薬局)〈明治期〉
間口4間・奥行3間の切妻造・2階建の店蔵。屋根は瓦葺で建築当時のものを残している。また、店の話では以前は馬具屋を営んでいたとのことであった。
以前は馬具屋…旧宿場町らしい職種であるなと思った。

2012年頃は向かいに串田靴鞄スポーツ店、ウチダレディースショップ、旧エゴダ種苗店、スズキ靴店。


全日空の航空機が描かれた建物…元は旅行代理店?

牛久三差路・牛久町道路元標
牛久三差路へ近づいてきた。手前左にある「串田商事(有)」も近代建築の店舗。

串田家住宅(串田正二事務所:元鍛冶屋)〈大正13年〉
典型的な町屋であるが、左側に作業場(土間)を有する。
現在も作業場(土間)は残っているのだろうか。左隣にあった平屋の建物は解体されているが…多岐にわたる事業を展開している様子。

また、丁字路正面に建つのは同じく串田商事の「牛久不動産」。

そして三差路の西側角に注目。

牛久町道路元標。現在も大型トラックなど交通量が多い三差路。昔から変わらずに往来を見守り続けているのだろうか。

そして三差路の南側は養老川が流れている。渡し場の名残が残っていないか歩いてみたが、歴史がありそうな蕎麦屋「春木屋」が橋の傍に。
その向かいの茂みに板碑がポツンと建っていた。

「嗚呼拓道隠士之碑」?
設立者は串田…
文章までは解読していないがどういう内容だろう?
三嶋神社(旧村社)
三差路からさらに街道を西へ行くと旧村社の三嶋神社がある。この道も牛久商店街の一部だが廃れてしまっている。
街道から一本入った通りにある三嶋神社の鳥居。こちらは正面ではなく、街道側の鳥居。




なぜか正面から拝殿を撮影していなかった…
街道の裏通りに伸びる参道。かつてはこの道が街道だったのだろうか。

上総牛久駅へ戻り、小湊鉄道を待つ。ちょうど高校生の帰宅ラッシュに遭遇してしまい、ホームが混雑していた。

上総牛久駅周辺、3時間ほどの探索だったが濃かったな…
また今度は入れなかったお店に。イベントの際に訪れます!
(訪問日:2022年2月)
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