房総の素晴らしき隠れ絶景スポット!大正時代の人も夢見た「鵜原理想郷」 -勝浦⑻

天才詩人・与謝野晶子にも読まれたという鵜原(うばら)理想郷は、大正初期には別荘地とする計画もあったほど。現在では隠れ秘境、心霊スポットなど様々噂がある場所になっている。
歴史深い理想郷。真夏の癒しを求めて旅立った。
鵜原理想郷について
JR鵜原駅から徒歩10分ほど歩き、鵜原第2トンネルを出て右折すれば鵜原理想郷入り口に。無料駐車場もあり、普通車10台駐車できる。房総のドライブで立ち寄っても良さそうだ。
入り口に説明看板があったので引用する。

この理想郷が脚光をあびたのは、観光開発ブームが起きた大正末期のことで、時の鉄道大神大木遠吉の秘書、後藤杉久という青年が別荘地分譲を開始してからのことです。後藤は風光明媚な鵜原の地に大臣村の建設を計画し、東京から大臣らを招いては日夜、大遊園会を開催しました。その席上、後藤杉久は初めて鵜原を理想郷と呼びました。その後、大木遠が正式に理想郷と名づけ、あわせて昭和2年に鵜原駅を設置し、その名を全国に広めました。
平成12年3月 勝浦市
大臣村、大遊園会といった言葉が気になる。
さらに調べてみると、後藤杉久が大木大臣の後援を得て鵜原理想郷土地株式会社を設立し、別荘地として開発したことがわかった。大臣村というのは、大臣経験者が多く購入したためついた名称であるという。大臣級のお金持ちが別荘地を鵜原理想郷に求めたのであった。
しかし、関東大震災と昭和恐慌の影響で開発は中止に。大臣村の痕跡は現在残っていないのだろうか。
また、与謝野晶子は昭和11年(1936年)4月~5月に滞在し、76首もの歌を詠んでいるのだとか。
また、
鵜原理想郷が大正時代の人々を惹きつけた場所であることがわかった。

1949年発行『全国市町村便覧』(全国教育図書)にて鵜原の旅館が「全国旅館等級別一覧表」に載っている。(ランク1が最高)
興津街
4 鵜原館
4 興津館
4 竹屋
4 濱屋
4 青梅樓
鵜原理想郷ハイキングコースの全長は2,300m。急いで約40分、ゆっくり歩いて1時間半ほどで回ることができるという。
鵜原理想郷へ!
大正時代から令和へと時代は大きく変わった。果たして理想郷はどうなっているのだろうか。

手作り感のあるトンネルが鵜原理想郷への入り口だ。

服装は理想郷だからといって軽装備だとちょっと危ないかも。あくまでもハイキングコースとして知られているため、歩きやすい恰好が無難。

トンネルを出ると砂利道に。たまにハイヒールで鵜原理想郷を歩いている観光客を見かけたが勇者だなと思った。


ゴトガエリの入り江
トンネルを抜けた先に、下へ続く階段を見つけた。手前の建物は漁師小屋らしい。

どうやら「ゴトガエリ」と呼ばれる入り江らしく、まさに秘境というのがぴったりな場所。誰もいなくてとても静かだ。昔は海から船でしか来れなかった港らしい。
そして右奥に繋がる道があり、行こうとしたのだが…
あまりにも黒い物体が多すぎてそれどころではなかった。夏以外の季節だったらいないのかな、またチャレンジしたい。

養老渓谷のハイキングコースとはまた違い、階段がとても多い。

たまに開けた場所があるのは、建物などが建っていたのだろうか。

お手洗いの看板が指す方向は…道がない。山道で看板が倒れているのは致命的過ぎる。

手弱女平(たおめやだいら)
分岐にあたり、順路の矢印が指す左の方向へ進むことに。

さらに鬱蒼と茂る道。その陰に見えた赤い門が気になった。

よく表札を見ると、鵜羽堂と書いてあるのがわかる。…情報がなくわからない。

疑問を抱きながら進むと、青い空と白い地面が見えてきた。美しいコントラストにテンションが上がりますね!

理想郷を読んだ『篠田悌二郎』の句碑が立っている。

その下には風化によってつくられた自然の産物。大人一人が入れるくらいの大きさの穴がたくさん開いており、不思議なスポットだ。

さらに進むと、絶景が待ち構えていた。
左にあるのは鵜原手弱女平遺跡。平成29年12月に縄文土器片が見つかったらしい。もしかしたらその痕跡があるかも?

休憩用の東屋もあり、絶景を眺めながら一休み。岬が東に向かって突き出た岩山は、さらに上に登ってみよう。


鐘付のデザインベンチが設置されていた。ここで鐘を鳴らすのは何て気持ちが良いだろうか。

奥には、前回の記事で描いた勝浦海中公園。歩いてここまで来たのは自分でも驚きだ。

鵜原理想郷には絶景スポットが数多くあるので、体力と相談しながら行きたい場所をピックアップしよう。
毛戸岬(けどみさき)
手弱女平と降りて、さらに道沿いへ。実はこのあたりにあった階段が、どこへ繋がっているのかわからずに行かないという選択を取ったのだが、実は絶景スポットの一つ、いや行きたかった場所である「青の洞門」への道だった。

まさかなと思う道に絶景があるのですね。また鵜原理想郷に行く用事ができてしまった。
こちらは毛戸岬。最南端の名勝。

ここは生い茂っていてそんなに見晴らしは良くないが、隠れスポットという感じ。
道の途中にある看板には約600年前の建てられたという大杉神社の説明があった。安政年代に奉納されたという鯨の頭骨が気になる。

黄昏の丘
四方を見渡せる鵜原理想郷の中でもトップクラスの絶景スポットに到着。鵜原海岸から先ほどの手弱女平まで、辺りを見渡せる。

夏なのでまだ日が高かったが、夕暮れはきっと最高なんだろうな~
このタイミングで16時過ぎ。実は鵜原駅に17時までに預けている荷物を取りに行かねばならず、先を急ぐことに。

鵜原海岸
黄昏の丘から下り、鵜原海岸へ。

鵜原海岸は、守屋海岸とともに「日本の渚・百選」にも選ばれた遠朝の静かな海岸。

いよいよハイキングコースも終盤。なぜか道にペットボトルが置いてあるのが気になる。

漁師小屋も、現在は使われていないのか放置されたものも。

鵜原海岸には多くの海水浴客がいた。向かい側にある飲食店で、かき氷をいただくことに。300円。

300円のかき氷と鵜原海岸。くちどけなめらかで最高だった。

そして鵜原駅へダッシュ!住宅街の方へ進む。

勝浦で宿泊し、鵜原周辺を一日堪能。まだまだ日が高い夏であるが、電車の本数が少ないため早めに切り上げることに。

理想郷、まさにユートピアが勝浦の鵜原にこんなにも広がっているとは…この場所を知らないなんて人生損している。なんて大げさなことを書いているが、本当に素敵な場所であった。来年の夏も理想郷で過ごしたい。
(訪問日:2020年8月)
-
前の記事
東洋一の海中展望塔「かつうら海中公園・海の博物館」-勝浦⑺ 2020.10.25
-
次の記事
「レストランこだま」行列の人気店! -勝浦タンタンメン② 2020.10.26
コメントを書く