駄菓子屋「飯田商店」。6月末、75年の歴史に幕 -銚子⒁

銚子の駄菓子屋「飯田商店」。いつか訪れたい…と思っていたところ、来週で閉店するという情報が流れてきた。
行かなければ後悔する。今回の銚子の探索は、飯田商店の最後を記録することが本来の目的である。
本銚子駅周辺の街並み
千葉県銚子市清水町2844。銚子電鉄「本銚子駅」から歩いて行ける距離にある駄菓子屋「飯田商店」。
15時頃の時間を狙って、前回の探索のつづきで田中町方面から歩いて来た。

ただ、ここで遠回りをしたらしい。清水坂から飯田商店への近道があったが、地図には表記されておらず、本銚子駅から小学校の周りを一周する形に…

本銚市駅周辺は商店街と言った雰囲気はあまり感じないが、かつては銭湯が存在したらしい。

銚子電鉄「本銚子(もとちょうし)駅」。無人駅だが、なんだかオシャレ。

平成29年(2017)の日本テレビ『24時間テレビ』のプロジェクトでヒロミがリフォームしたそうだ。
飯田商店を目指して
駅から住宅街の細い道を抜けて、飯田商店の方向を目指す。

本当にこんな場所に駄菓子屋があるのだろうか。歩ていると不安になる道。
車で訪れている人もいたが、すれ違うことはできないので運転大変だと思う。

銚子市立清水小学校の北側、住宅街の奥に目的の駄菓子屋があった。

下り坂の途中に構える「飯田商店」。趣のある佇まい、地元の方に愛されている駄菓子屋として紹介されているのを見たことがあり、一度訪れたいと思っていた。

お菓子と文具のイイダ。令和3年(2021年)6月27日をもって閉店。

現在の店主で2代目。地元の小学生らに愛されて来た75年。店主の高齢化、コロナの影響もあるのかもしれない。人気店であるため、検索すれば多くのメディアが取材している。
私が訪れたのは閉店する直前。地元の小学生だけでなく、遠方から来たと思われる家族連れや若い人が次々と訪れていた。

飯田商店の魅力
なぜ、これほどまでに飯田商店に惹かれるのだろう?

初めて訪れるのに懐かしくなる気持ちは何だろう?
幼い頃の記憶が呼び起こされるような…もう戻れない時間を一瞬だけ感じる。
扉には昭和ガラスの模様が浮かび上がっていた。

最初で最後の記録。閉店するときはいつも以上に丁寧に記録に残したい。

店主の電話から漏れた一言が切ない。「もうやっていく自信がない」
コロナ禍の中、閉店を決めるお店が増えている。

私たちに責める権利は全くない。閉店するときになって、「なぜ訪れなかったのだろう」と後悔しても遅いのだ。私はコロナ禍で、思い出の駄菓子屋にお別れも言えずに閉店してしまった。
だから、より一層、今残されているお店に込める想いは強い。

全品半額セール実施
閉店直前、全品半額セールが実施されていた。

昭和~平成の懐かしい文房具がたくさん残っていた。
母が世代のモノが多いらしく、どれを購入するかとても悩んでいた。
びっくりしたのは、筆箱のケース!この形が懐かしい、のではなく絵柄!

あべりつこ、1975。約50年近く前のもの。今まで残っていたのが凄い…

全部は見ていないが、他にも色々な種類が…閉店までに売り切れたのかな。
これは、タイガーマスク?初めて見る絵柄だ…

消しゴミや鉛筆、ハサミ…懐かしい文具類がたくさん。

店内は土間で今どきこんなに古い佇まいのお店も珍しいのでは。

下敷きも昭和のアニメやキャラクターがたくさん…のらくろの下敷きも可愛い!

店内の半分以上を占める文房具。
子供たちは駄菓子の方に集まっていて、大人は文具に集まる。駄菓子の棚も品切れが増えていた。



子供たちの集まる場所
お店の奥にあるのが、子供たちの集まり場。時計やテーブルが設置されている。

この雰囲気、良いな…思っていたよりも広く、放課後に遊ぶ子供たちの姿が目に浮かぶ。
私はラムネ瓶を購入。

暑い夏の1日。銚子駅から各地を歩いてきて、飯田商店で頂くラムネで体が生き返るようだった。
次から次へとお客さんが来るので忙しそうだったが、お店のおばあちゃんは優しく接してくれた。

名残惜しく、何度も振り返りながら撮影。
地元の方々に迷惑にならないように早めに立ち去らなければと思っていたのに、居心地が良くてお別れするのが名残惜しかった。
購入した文房具
今回、飯田商店で購入した品。
消しゴムは父に。F1がとても好きだから。私も小さい頃に地上波で流れていたレースを見ていたな~

みんなのたあ坊。母が昔から大ファンなので大量に購入していた。

約40年前の商品。「たいせつなものをいれよう」と書いてあるが、米びつのようだ。

イラストがとても可愛い。見ているだけで癒される…
たあ坊、昔色々と問題になって一時期販売停止になったが、最近復活してグッズが販売されている様子。
下敷きも2枚。

最後に大きなタオル。

どれも今はなかなか購入できない貴重なものばかり。
飯田商店、最後に訪れることができて親子ともども大満足でした。
(訪問日:2021年6月)
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こんにちは。飯田商店は本当に悔やまれます。閉店前に行った事が本当につい最近のよう。銚子の楽しみが1つ無くなってしまい寂しいです。閉店前に明里さんに行ってもらえて良かったです!あまり写真が撮れなかったから、この記事に来て色々思い出そうと思いまーす♪そして…私が連れて帰った雑貨が写真に写ってて嬉しいです♪
ぴーさんも行かれたんですね!なんと!私が撮影した中のもので偶然購入されていたとはびっくりです笑
今日、明里さんのこの記事を偶然読んで、閉店した事を知りました。
私の母校の「裏門」を使う小学生はみんなここのお世話になりました。私も昭和50年代後半〜昭和末期まで、現役小学生のころ、よく友達と行ったものです。明里さんがご覧になった雑貨類がちょうど売っていた頃の子供なので、記事を読み、雑貨の写真を見て大興奮しました!
おじさんとおばさんの当時のお顔もよーく覚えているし、夕方通りかかると、「○円なーりー」と、そろばん塾で教える声が聞こえてきたのを思い出しました。
あんこ玉で当たりが出る列を友達に教えてもらい、確信犯で何回か連続で当ててしまい、罪悪感からおばさんと目を合わせられなくなって、3回目位でわざとハズレを引いたり…苦笑
閉店までに訪ねる事が出来なくて、本当に本当に残念でしたが、明里さんの丁寧な記事のお陰で、自分も行った気になれました!というより、小学生時代にタイムスリップできました。
コメントありがとうございます!記事を通してお知らせすることが出来て良かったです!!小学生時代にタイムスリップ、だなんてコメントを頂けて感動しました。私も最後に思い出の駄菓子屋さんに行けなかったのを後悔しており、感情移入してしまいました。