銚子名産”ひしお”。寛永7年創業「山十商店」でお土産を購入 -銚子⑹

銚子のお土産を購入しようと立ち寄ったのが、本通りマイロードにある銚子「山十商店」。
江戸時代創業の老舗!店内には貴重な資料も展示されていました。
銚子「山十商店」へ
千葉県銚子市中央町18−3。最寄り駅は銚子駅。北側に進み、前回紹介した本通りマイロードへ。

白幡神社の近くに、一軒だけ古い建物が目立っている。
創業は寛永7年。銚子では、ヤマサとヒゲタの醤油が有名だけど、「ひ志お」は初めて聞いたな…

口コミ数もそんなに多くないので、とても気になる。母と立ち寄ってみることにした。
「ひ志お」とは?
銚子山十商店へ。このお店の名物である、ひ志お(醤)は、大豆と大麦から麹を作り、銚子の自然をたっぷり仕込み、1年以上熟成してできた発酵調味料とのこと。

形は味噌のようだけど、風味は醤油に近い、箸でつかめる「食べる醤油」。ご飯にかけても、野菜にかけても美味しいらしい。
銚子は、江戸時代から醤油の名産地として知られる。銚子の温暖な気候が、ひ志おや醤油が発酵熟成するためには最適な条件なのだという。
銚子の醤油屋さんは江戸時代に隆盛を極め、 その工場で働く職工さんは仕事の性格上、 多数住み込みで働いておりました。 どこの醤油屋さんも職工さんのために食事を賄っていました。 そしてその食卓には、それぞれの蔵自慢のひ志おが 用意されていました。 ひ志おは醤油屋で働く人々には 欠かすことのできないおかず調味料でした。
ひ志おの歴史を辿ると、中国の古代王朝、周にまで遡り、1300年以上の歴史があるという。清少納言や紫式部も食べていたそうな…全然知らなかった。

小袋サイズで300円。購入しやすい値段である。
山十商店について
銚子山十商店は創業寛永7年(1630)。紀州広村で創業、銚子では宝永年(1708)に開業したという。

ひ志おの製造は江戸時代より途切れることなく続けてきました。 江戸の昔から商用などで銚子に来たお客様に、各醤油屋さんは手土産としてひ志おと鰹の 塩辛を渡したそうです。 各醤油蔵ではそれぞれ自慢のひ志おを作っていました。 当然山十でも自前のひ志おを銚子名産と称して製造しておりました。 そして今でも昔と同じ道具を使い、同じ製法でひ志おを造っています。
江戸時代から変わらない道具・製法。店内に展示されている物を見ても、歴史が詰まっていることがとてもよくわかる。

電話番号は、403番だったのだろうか?

店内には関連する書籍やパンフレットも。時間があったらゆっくり閲覧したい…

明治26年頃の山十の様子。

道路の道幅はあまり変わっていないように思うが、周辺の街並みは面影が無くなっている。山十商店だけが時代から取り残されたように残っているように思った。

山十商店とは関係無さそうだけど、鉄道路線図や電話郵便局所在便覧?古い資料が気になる。
そして、ひ志おの昔のパンフレットも。

昭和18年、戦災前の山十商店の写真。銚子は3度の空襲を受けている。昔の写真が残っていることが救い。


醸造に使われていた道具だろうか。店内はまるで博物館のように、目で見て楽しめる工夫がなされていた。

商品の棚も、よく見ると大きな樽!意外とここまで活用しているお店は少ない。

今回はお土産を購入するだけだったので、機会を見つけてしっかりと取材したいなと思った。

店舗の横には大きな倉庫?敷地も広く、歴史が好きな方にはぜひ訪れて欲しいお店だった。

山十商店のお土産とパンフレット
今回は、お醤油を購入したいという母の要望でおススメされた醤油を購入。

そういえば、なぜ古くから人々に愛されて来たはずの「ひ志お」を知らなかったのだろう?という疑問が芽生えた。
山十商店のホームページに「ひ志お」の未来として紹介されている。

ひ志おのような製造に時間を要する発酵食品は、大量生産を要する近代の工業経営には なじまない製品です。大量生産せず細々と造っていた歴史が、山十のひ志おが現在でも 生き残り続けている理由です。
現在の大量生産・大量消費の時代には馴染まない製品であることが分かった。だから、今も生産をつづけている会社というのは少なく、私たちの身近な製品ではないのかもしれない。


それでもひ志おを造り続けるのは、ひ志おこそが 万葉の昔から受け継がれた日本人の味であり、これからも残すべき味だからです。 化学調味料の味に馴染んだ多くの人々が、ここにきて昔から日本人の味の原点であった 発酵の味に回帰しています。
化学調味料の味に馴染んだ私たちに必要なものがここにあるのかもしれない。

駅からも近くは無いし、周辺はひっそりとしているので知らないとたどり着かないであろう場所。銚子の観光の際にはぜひ訪れて欲しい。
(訪問日:2021年6月)
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