銚子の幻の銭湯「天狗湯」が現存!裏手には謎の煉瓦造りの近代建築 -銚子37
銚子の幻の銭湯「天狗湯」。その跡地を辿りたくて、2か月ぶりに銚子に再訪問することに。予定していた日は、千葉県では珍しい大雪の日の翌日。雪が積もる中、銚子へ出かけた。
本銚子駅~天狗湯を探して
千葉県銚子市へ。2022年、正月明けのこの日は大雪が降った数日後。ホームにまだ雪が多数残っているエリアも見られた。
千葉県で雪が積もるのは数年に一度くらい。しかし、雪が積もっていても歩きに出かけるのが私と母。
銚子で2泊3日を過してから2か月後、調べきれなかった場所があったので再訪問することにした。
降り立ったのは、銚子電鉄「本銚子駅」。以前、駄菓子屋の閉店で訪れたことがある。→駄菓子屋「飯田商店」。6月末、75年の歴史に幕 -銚子⒁
その時は駅周辺を探索しなかったので、今回こそは。
本銚子駅の北側、清水坂下へ。三峰神社の北側、角の邸宅は立派な石垣に囲まれている。お城みたい。
清水坂下にある水神碑。
美しい水が流れていたのかな、と安易だけど想像する。
とあるアパートの1階。なんだかカオス。「セキ薬局支店」の温度計も。セキ薬局自体は現在も営業しているようだ。
車の交通量が多い上に歩道がとても狭いので、まずこの道を歩く人は少ないだろう。そして一角だけ木々に覆われた、雰囲気のある景観が残っている。
今回の目的地はここ。知る人ぞ知る、幻のスポットだ。
以前の銚子旅で立ち寄った「かっぱ博物館」にて、その存在を改めて知ったが、それ以前から存在は知っていた。銚子市内の銭湯を調べている時に見つけたのだと思う。→千葉県銭湯一覧(廃業含)~銚子・成田・佐原編~
その名も「天狗湯」。エピソードが興味深い上に現在も跡地が残っているという奇跡…
幻の銭湯「天狗湯」跡
7つの記事にわたって、天狗湯について細かくレポートしている方がいるので、気になる方はぜひ読んでみてほしい。私も今回、敷地内には立ち入れなかったので、参考にさせていただきました。→まほらにふく風に乗って「天狗湯を探せ!」
私の記事では簡単にエピソードを要約する。
江戸時代末期、天狗にさらわれてから数年たって戻ってきたという少年「寅吉」が現れたという。当時、神道思想の研究をしていた国学者の「平田篤胤(あつたね)」はこれを知って、すぐにこの少年を家に招き、少年の話す天狗の世界の体験談を聞き取り、これを『仙境異聞』という書物にまとめた。
その後、少年は天狗の首領からもらった名前「嘉津間」を名乗り、千葉県笹河村の諏訪神社(香取市笹川の諏訪大神)で神職をしながら、天狗直伝の法術で病気治しを行っていたのだそうだ。
寅吉は安政6年に亡くなるが、その際に、「天狗秘伝の薬の処方箋とともに薬湯をはじめよと」の遺言を残し、子孫は銚子で二神湯(通称:天狗湯)という銭湯を始めた。その銭湯跡が、今回訪れた場所ではないかといわれている。
十数年前まで塾として若い方が使用していたそうだが、現在は荒れてしまっている。また、文化財に登録する動きもあったらしい。文化財に値するほどの価値のある建物が残っていることをどれくらいの人が知っているか…
銭湯跡らしき建物は残っていないが、主屋らしき木造2階建ては見える。入り口は表側からと裏に二カ所。
よく見ると竹で組まれた塀は上下に模様も。なかなか凝っている。
通りからは敷地内を見下ろす形。脇に下へ降りる階段があるが、犬が吠えていて近づけず。
このまま人知れず消えてしまうのだろうか…本格的に調査をしたい場所だ。
裏に残る煉瓦遺構「玄蕃井戸」
天狗湯の跡地の興奮冷めやらぬ…
階段を降りて裏手へ回ってみると、またしても興奮案件!
なんと煉瓦壁!天狗湯跡地の裏手は煉瓦壁で覆われていた。
そしてその茂みには…煉瓦で造られた建造物。一体これは?
茂みの間から撮影したので全貌が分かりづらいが、水門のように見える。イギリス積みだ。調べても全く情報が無い…
これも近代建築の一つだと思うが、まだ見つけられていないのか…
木製の扉の奥が気になるが、奥にも煉瓦が見える。水門の手前にはコンクリート壁が立ちはだかって、容易に見ることができない。
そしてコンクリート壁の下から、水が絶え間なく流れていた。煉瓦の水門から流れているものかもしれない。
清水坂下の地名の由来にもなった湧き水かもしれないなと思った。
天狗湯はここの湧き水で銭湯を営んでいたのかな。
追記:玄蕃井戸
詳細がまとめられているサイトを教えて頂きました!しかし、こちらは本銚子駅方面の山に遺構が残っている模様?違うものかも。
http://sk-photo.main.jp/tetsu/2020/0215choushi44/0215choushi44.html
いつも参考にしているにも千葉県の産業・交通遺跡様情報が載っていた。
竜の井(通称「玄蕃井戸」)
1868(慶応4)年
竜の井(通称「玄蕃井戸」)は,江戸の末期から明治時代にかけてヒゲタ醤油株式会社の前身であるヒゲタ醤油の醸造用水として用いられていたものである。
創建当時の横穴の入り口や竜神像など、間近で見てみたいが今は鬱蒼としていて全体像を見ることが難しい。整備していただけないだろうか…
近くには稲荷神社。
天狗湯に関するヒントが隠れていないか調べたが分からず。
裏道に残る古民家。
近くの銚子市立第一保育所。
現在は閉館している?
銚子で一番興味深い謎深い場所だった。
(訪問日:2022年1月)
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