長南町「いせや星野薬局」。国登録有形文化財!江戸時代から300年以上の歴史 -長南⑷
長南町で現在も営業を続ける「いせや星野薬局」は、国登録有形文化財されている土蔵造りの店舗が見事な文化財である。
旧宿場町である長南宿の面影を色濃く残す店舗に惚れ惚れします!
「いせや星野薬局」国登録有形文化財の薬局
千葉県長生郡長南町町長南2574。旧長南宿の中心、小湊バスの「仲宿」バス停前にあるのが「いせや星野薬局」。
黒漆喰塗の見事な土蔵造!現在も薬局として営業されていることがなんて尊いのだろう。
千葉県教育委員会のホームページに詳しくまとめられている。
国登録有形文化財に登録されているのは、店舗・調剤室・門の3棟。
創業は、江戸時代初期の元禄2年(1689)!
旧長南宿は房総往還道の宿場町として栄えたところ。星野薬局はその中心に位置し、創業300年余と伝わる。伊勢国長島藩の御典医見習であった増井道益が、元禄2年(1689)当地に移り住み、医院兼薬屋を開業したのがはじまりという。
店舗は、明治期のもので、間口4間、奥行3間半の妻入土蔵造2階建、壁は黒漆喰塗、瓦葺切妻屋根である。正面のサッシ類を除いては、明治28年(1895)の「千葉県博覧図」に描かれた外観とほとんど同じで、ほぼ当時のまま保存されている。
調剤室は、店舗の北側、1間分の通路を隔てて建つ。同じく明治期の建築で、平入の土蔵造2階建、瓦葺切妻屋根となっている。間口2間の妻を街道に向け、街道側には店舗と調剤室の2棟を繋ぐように庇が架けられている。この庇も「千葉県博覧図」に描かれており、当初から店舗と一体的に造られたものと推測される。
門は、慶応2年(1866)の建築で、木造、瓦葺。店舗の南側に建つ。門の両側にある袖塀とともに、門前に台形の呼び込み部をつくっている。屋敷構えを構成する主要素であり、街道沿いの景観を整えるうえでも大きな役割を果たしている。
門は江戸末期築、店舗と調剤室は明治築とのこと。横から見ると土台が一部レンガ造りになっていた。
文化財を見学&話を伺う
外観を撮影していると、偶然持ち主の方と遭遇した。とても優しく、綺麗な女性で快く敷地の中も見学の許可をいただいた。
現在、息子さんで15代目。
屋号の「いせや」は出生地の伊勢から由来しているもの。
特別に門の中に入って撮影させていただいた。没落していた時代もあった、と話されていたが時代の変化を乗り越えて300年以上続く老舗の苦労は底知れない。
敷地内はとてもよく整備されていて、奥に新居があるようだった。
お忙しいところ対応してくださりありがとうございました!文化財を大切に使用されていて、なおかつ見学も寛容で感謝しかありません。
(訪問日:2021年12月)
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