筑波山信仰と筑波遊郭。歴史と府中街道の街並み -筑波⑵
筑波山信仰と遊郭。千葉だけでなく茨城の遊廓についても少しづつ知見を得たいと思っているのですが、今回は皆さんご存知の筑波山へ。数日前に降雪があったため山頂まではいけませんでしたが、中腹の旅館に泊まり、遊廓についても少し調べました。
筑波山と遊郭
茨城県つくば市筑波。前回、中腹の宿で一泊。穏やかに晴れた筑波山に登頂、の前にケーブルカーからは離れた東側の府中街道へ足を延ばしてみる。
筑波山の歴史についてはまたボリューム満点なので割愛。
鳥居の近くにあるお食事処「杉本屋」。今も営業しているのかな?この日はお休みだった。
杉本屋の座敷からは背後に流れる小川のせせらぎとともに癒されそう。筑波山はこうした古き良き登山信仰の面影を感じることが出来るので何度訪れても楽しい。
そして本題の遊廓について。毎度おなじみの資料から引用します。
『全国遊廓案内』(昭和5年)「筑波町筑波遊廓」より引用。
筑波町筑波遊廓は茨城県筑波町(つくばまち)にあつて筑波山の中腹にある遊廓だ。鉄道は土浦で筑波線へ乗換へ、筑波駅で下車する。駅から東北へ約十八町、自動車で行けば筑波神社前ケーブルカーに依る時は、終点で下車する料金は四十銭である。昔から有名な処で筑波へ登山をする人は必や之の遊廓の前を只では通り過ぎなかつたものだ。町下に霞ヶ浦を見下し、関東平野一帯の見渡も出来るので景色は誠に勝れて居る。賃座敷は合計三軒、娼妓は十二人位居て、全部廻し制店は陰店を張つて居る。御定りは甲三円、乙二円五十銭、丙二円位即ち二円以上三円位迄である。本部屋の設備はない。芸妓を呼べば一時間一円十銭付近の名勝、筑波神社、男女川等。
筑波山の中腹にある筑波町筑波遊廓。不思議なのは、上記の文章から場所が特定できないのと、検索しても筑波山麓のつくば市北条の街並みがヒットすること。筑波山を訪問したのは1年前の2022年2月。実際に私もどこかで今回訪ねた場所が遊廓跡?という記事を見た気がするが今は見つからない。調べることはタブーなのだろうか。
府中街道(白雲橋~町並み)
筑波山の古道。筑波山神社から白雲橋を渡って東側に伸びる道は「府中街道」と呼ばれ、常陸(現茨城艦)の国府石岡(旧府中)から筑波山へ至る最も近い道で、古くからの道だという。開発される以前、府中街道は参拝者で賑わったという。
白雲橋コースというものもあり、橋から左手に行くと筑波山(女体山)山頂へ行くことも可能。
白雲橋から旧府中街道の街並みを少しだけ辿ってみようと思う。
白雲橋の近くにある建物。屋号は山木?以前のストリートビューを見ると「木村木札店」とのこと。
碑の足元に笛が…旅人の忘れものだろうか。
府中街道の入り口横に道標が残っている。
その隣には大きな板碑。陸軍…と冒頭の書き出しはかろうじて見えるが、なんて読みづらいのだろう。断念。
また、親切に「筑波山案内」という古そうな雰囲気の案内図が。
現在地は下図の、白雲橋から歩いて白雲亭売店前。先ほどの橋の横にあった建物は「白雲亭」と言う売店だったのか…
白雲橋付近から眺める杉本屋。杉本屋の右手には元旅館のような建物が併設している。
寄り道してしまったが、府中街道へ。なだらかな坂道を登ると、正面にまたしても古い旅籠のような建物。売物件…!
明らかにどう見ても旅館のような雰囲気。買い取って再生したいくらい趣があるが…
この建物の左道を行くと登山コース入り口。
右手の府中街道を進む。現在は参拝者の姿は見かけず、閑静な住宅街。
府中街道が全盛期だった頃、旅人を迎える旅館や売店が並んでいたことが想像できる町並は健在。
三軒が中心として残っているが所々空き地も。
右手を見れば筑波山から広がる麓の景色が一望できる。先ほどの資料にあった「町下に霞ヶ浦を見下し、関東平野一帯の見渡も出来るので景色は誠に勝れて居る。」が今も変わらず。
石垣の上に建つ茅葺屋根の建築。茅葺屋根も美しい状態で現存しているとは…
2014年のストリートビューを見ると瓦葺だったが茅葺に改装したのだろうか。素敵。
これ以降はなだらかな下り坂と共に民家が並んでいる。江戸時代に命名されたという、香の井(筑波六井)が左手にあるが個人所有なので水をくむことはできない。
話は戻るが、筑波山中腹の遊廓は一体何処にあったのだろうか。私の推測だとこの府中街道沿いではなかろうかと思うのだが…またわかったら追記しよう。
その後は、ケーブルカーで山頂を目指すも雪が残っていて危険だったため、山頂までは行けず。
コマ展望台でのんびりしながら筑波山を後にした。
(訪問日:2022年2月)
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