東金「多田屋旧店舗」と「旧東金税務署(旧多田屋社屋)」を見学 -東金⑻

東金「多田屋旧店舗」と「旧東金税務署(旧多田屋社屋)」を見学 -東金⑻

東金に訪れた際に絶対に見てほしい近代建築が「旧東金税務署」と「旧多田屋社屋」。

国登録有形文化財に登録されており、ご厚意で建物内も見学させていただきました。

旧東金税務署

千葉県東金市東金1137。前回の続きで東金駅前通りの近くを歩いていると左手に洋風な建物が見えてくる。これは後で紹介するが「旧多田屋店舗」である。

旧多田屋店舗

旧多田屋店舗の横道を奥に進むと、淡い水色の近代建築が目の前に。

奥に近代建築!

こちらが「旧東金税務署」の建物。国登録有形文化財に登録されている。

旧東金税務署
国登録有形文化財

説明看板も設置されており、平面図もあるのが有難い。

説明看板

明治30年頃に東金税務署として建立。当初は平屋だったが、昭和9年頃に現在の洋風2階建てとして新築されたそうだ。

昭和2年に松井天山が描いた鳥瞰図には平屋時代の東金税務署が描かれている。

現在の旧東金税務署

その後、東金税務署が移転し、昭和48年頃から書店を経営する多田屋の本社社屋として、平成21年まで使われていた。

多田屋へへ

現在、この建物は文化財の調査や修復など行う「文化財保存活用計画株式会社」が東金事務所として使用中。私が訪れた日曜日の午後、偶然社長の方がいらっしゃったので建物内を見学させていただきました。

入り口

私と同じように午前中、八鶴館を見学していたと思われる方々と複数名で旧東金税務署内を見学。丁寧に説明してくださり、この場所だけで1時間半くらい滞在していたかもしれません…素敵な出会いがありました。

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多田屋について

旧東金税務署の見学の前に、多田屋の歴史について。

多田屋の看板が残っていて嬉しい。旧東金税務署の前にあった多田屋の店舗は最近解体されて無くなってしまった。

多田屋の看板

2019年のストリートビュー

書店の「多田屋」、千葉県の各地に店舗があるので馴染み深い方も多いのではないでしょうか?「多田屋株式会社」のホームページに歴史が書いてあるが、東金が創業の地だと私は最近知りました。

多田屋グループは、1805年に東金にて、本・文具店多田屋書肆として創業し、明治6年(1873年)千葉県中の教科書の特約店となり、千葉市にて教科書卸のみならず、印刷出版を行い、文具・ファッションも合わせ、戦前、千葉市にて百貨店を建設した歴史があります。
当、多田屋株式会社は、明治20年(1887年)東金にて洋品(ファッション)、明治29年(1896年)八日市場にて、本・文具・洋品・印刷・銀行を開業。正岡子規の根岸短歌会の流れをくむ「アララギ」を1~3巻まで印刷しました。

以前、八日市場の多田屋についてはまとめたが、東金の次に八日市場へ出店し、銀行まで開業していたとは凄い…

創業時の写真?

また、在りし日のストリートビューを見ると、旧多田屋書店の店舗の隣には旧多田屋洋品店も併設されていたことが分かる。現在は駐車場になり、地域のイベントなどでも活用されているのだとか。

多田屋ではなく、太田屋と書いてある箱。昔は違う漢字を使っていたのかな?

太田屋
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旧東金税務署(旧多田屋本社社屋)を見学

まず入り口の扉。「おす」のプレートが好き。

入り口の扉

入ってすぐの1階のスペースは作業場として使われていている様子。

1階

「松井天山の鳥瞰図で歩く東金商店街」という大きな看板があった。これは私も普段同じように街歩きをしているので、丁寧な説明があって助かります…!

松井天山の鳥瞰図で歩く東金商店街

階段を登って2階へ。

2階へ
階段
廊下にて

教室のような空間は、48帖の大会議室。現在、会議室としての他、貸しスペースとして活用されているという。

大会議室

冷暖房設備もしっかりとついていて快適。

レトロな照明

入り口と反対側の扉から写した写真。

反対側から

窓からは旧東金税務署の建物の裏にある蔵が見えた。

奥の扉の先には、資料などが多数保管されている倉庫があり、手前には頑丈な扉が見える。

奥に倉庫

税務署時代の集金袋?も見せていただいた。確かに「税金」の文字が入っている。

集金袋?

また、昔の文献も丁寧に保存されている。

文献など

この建物は、本社社屋としての業務が停止してから10年以上空き家になっていたそうで、最近になってから地元の商店街やボランティアの方々で連携し、片付けや補修などを行い、現在の形になったそうだ。所有者の方は建物を壊したがっていたそうだが、保存修復への道が実現している。

10年以上も空き家になっていたとは思えないほど現在は綺麗に保存されている。

確かに外壁の塗装は塗り直した方が良い、とのコメントも書いてあったが、私は却って建築当時のままの姿を残していて良いと思った。地元の方々が建物への保存にしっかりと向き合っていて素晴らしいと感じた。

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町並み活用センターについて

「ものの存在はあらゆることを伝える
老朽=取り壊しの精神構造を
老朽=手入れ=伝承の精神構造に変え
ふるさとの回復と文化の創造のために我々は尽くさなければならない」

旧東金税務署に支店を置く、文化財保存活用計画株式会社の社長さんは、5年前にこの旧東金税務署の建物を残したい一心で起業、東金に移ってきたらしく、東金にある建物の保存に積極的に動かれている。

保存とはの看板

建物を記録するだけでなく、保存するためにはどうしたら良いのか、この方と話している中で自分がやりたいことが見えてきた。今回の出会いが私の今後を大きく変えることになった。

また、東金駅西口を中心に市内に残存している歴史的建造物を保存活用していくための調査を行っている「町並み活用センター」という団体が東金にはある。

地域の交流会やイベントなどを通し、まちづくりへの関心を高めていて、八鶴館の見学会に関しても、ここまで街全体で建物保存に動いている場所はないなと感じた。

「町並み活用センター」のパンフレットには今回見学した建物の平面図、スペース貸し出しのご案内があるので参考に。

また、昭和13年、支那事変記念に関する資料も展示されていた。

支那事変記念

軍盃でよく見かけるけど、こうしたチラシ?のようなものは初めて見たな~

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旧多田屋店舗

旧東金税務署の建物の手前の旧多田屋店舗を合わせて見学。

旧東金税務署

最近まで多田屋店舗があった場所の裏手には、蔵が残っていた。かつては旧多田屋社員寮も隣にあったようだ。

こちらは、旧多田屋店舗に併設している土蔵。現在修理中とのこと。

土蔵

土蔵のさらに奥に、旧音楽教室の建物があったようだが現在は無くなっている。

右、土蔵

旧多田屋店舗を裏から眺める。窓が素敵だ~!

旧多田屋店舗

旧多田屋店舗は、昭和初期にたばこの専売所として建築された木造モルタル塗りの2階建て。専売公社の建物が残っているのは珍しい~!

その後は多田屋の店舗として使われていた。

昭和2年の鳥瞰図を見ると同じ姿の建物がたばこ専売所として描かれている。現在はカフェとして営業中。

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東金「サントスCafe」

旧多田屋店舗の1階には、平成30年に「サントスCafe」がオープン。

店内の様子

昭和40年代にあった喫茶店サントスを復活させたものだそうだ。内装はオシャレな雰囲気で、気軽に入りやすい雰囲気だった。

吉永小百合さんと
昔の写真

シャンデリアの石膏部分は当時のままだろうか。

シャンデリア

今回は時間が無くて見学のみで終わらせてしまいましたが、次回こそはゆっくりしたいと思います!2階は社長室と応接室があるらしいのでまた改めて見学もしたいですね。

ランチメニューもあるので、街歩きの際に立ち寄ってみてはいかがでしょうか?

文化財カフェ、なんて素敵な響きなのだろう。街全体で建物を維持、保存する強い意志が全面に溢れていて、見学する側もパワーをもらえる場所でした。

 

(訪問日:2021年8月)

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