鴇が峯の小径付近に残る旧醸造所の煉瓦遺構から歴史を辿る -東金24

鴇が峯の小径付近に残る旧醸造所の煉瓦遺構から歴史を辿る -東金24

東金のマニアックな歴史散歩。今回は八鶴湖近くの奥地にある大自然「鴇が峯の小径」と、元醸造所の場所に残る煉瓦遺構を見かけました。母一人での探索です。

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東金に残る煉瓦遺構

千葉県東金市東金。JR東金駅を下車、木造三階建ての国登録有形文化財「八鶴館」を横目に八鶴湖の北側へ進む。八鶴館の見学に関しては以前の記事でたっぷりご紹介しました!

「八鶴館」東金が誇る”千葉の三大旅館”木造三階建旅館建築を見学 -東金⑾

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明治に創業した八鶴館は風光明媚な八鶴湖の目の前にあり、季節の移ろいに合わせて美しい写真が撮れる。歴史的にも徳川家康のためにつくられた東金御殿の庭池としても知られています。

以前一周した際に山側に伸びる細い道がいくつかあるのが気になった。北西方面に位置する日吉神社は八鶴湖付近から切通の参道が伸びているようなので天気が良い日に歩いてみたい。

そして今回は八鶴湖の北側。

住宅街で行き止まり化と思いきや、地図上では「鴇が峯の小径」が奥にある道。その道沿いの左側に大きな煉瓦建造物が残っている。

大きな煉瓦壁!

2~3mはありそうな高い煉瓦壁。イギリス積み。

敷地内の奥にも煉瓦造りの柱が…かつては奥まで煉瓦壁が邸宅を覆っていたのかもしれない。その邸宅は跡形も無く更地。

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山側に竹林、歩道脇に水路に架かる橋、それだけでも美しい景観を想像できる。

勝手口かな一部残っていた

そしてこれだけの煉瓦壁が残るここはどんな邸宅だったのか…!

『日本博覧図』の千葉県編を見て知ったのが元醸造所だったという話。場所と現在の風景を調べると煉瓦壁が残っていることに気づき、今回母に行ってもらったのです。

『日本博覧図』は明治20年代に発行され、各地の豪農豪商を中心に描かれている銅版画集。図書館に置いてあるはずですが私は手元に置いておきたくて数年前に購入しました笑

千葉の県立博物館ページに一部載ってます。https://www.chiba-muse.or.jp/NATURAL/special/hakuranzu/index.html

そして本題のこの場所については、「小林酒造」という醸造元だった。

東金名水と言われた裏山の湧水を利用した水車で米を搗き、東金の地酒を造っていたそうで、銘柄は「谷乃井」「八鶴」。この後に出てくる谷浄水場とも関わりがありそう。

また、東金駅東口の「ギフトショップ タニノイ」がなんと「小林酒造」が前身らしく!

当店の前身は文化4年(1807)から昭和15年(1939年)まで続いた酒造業でした。
『タニノイ』という一風変わった店名も先祖から代々受け継がれてきたお酒の銘柄からいただいたものなのです。

醸造業は昭和15年で終えているとのことで、明治期の煉瓦壁が一部残っているのは奇跡的。また今度お話を伺いに行きたい。

 

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鴇が峯の小径&谷浄水場跡

周辺の続き。醸造所跡の斜め向かい辺りに小さな橋が架かっていた。

民家の間の細い道、奥には神社があるように見えないほど覆われている…

そして山の方へ進む。右側が谷浄水場跡。

自然豊かな少し急な道になってきた。関東ふれあいコースの「鴇が峯の小径」とのこと。

佐倉方面への年貢道との情報もある古道。

よく見ると水が流れ出している。この清水を利用して醸造所は発展されたのでしょうか、なんだか納得しました。

 

(訪問日:2022年10月)

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