「田中家具店」看板建築揃いの東金街道沿いの街並み -東金⑽
県道沿いに残る近代建築を探して歩き続けていると、最後にとびっきり美しい姿の看板建築が現存!少し遠かったけど歩いて良かったなと思いました。
田間商店会の街並み
前回の続きで、田間商店会の菅原神社から県道119号を北へ。
街灯は茶色のよく見かけるタイプ。
2階建ての白塗りの蔵がある邸宅。こんなに大きな蔵があるということは、元々は呉服店か何かだろうか。上手くリノベーションされて綺麗に保存されている。
斜め向かいの古い2軒の建物。右は最近まで不動産屋だったようだ。
その向かいにある「村井綿店」は営業中。昭和2年の鳥瞰図に載っている老舗だ。
こちらは、「小幡鉄砲店」。銃専門店って初めて見た…!
ホームページが更新されている。ちなみに、昭和2年の鳥瞰図にも同じ店名で載っている。明治30年創業だそうだ。
昭和2年の鳥瞰図はこの辺りで切れてしまっているので、この先は鳥瞰図と見比べることができないのが残念…
看板建築「田中家具店」
そして、鉄砲店の近くに、東金に来たら見逃せない看板建築「田中家具店」がある。
昭和5年築、現在も営業中。しかも、改装されずにほぼ建築当時のまま残っていて感動…
黄色のモルタル塗り。太陽に照らされると黄金色に輝くのでこの建物の存在感が半端ない…!
2階部分の意匠、雷紋模様が横一列に並んでいる。
1階は前面ガラス戸になっていて、店内が良く見える。ショーウィンドウ的な役割を果たしているのかな~
店内には椅子や机が並べられていた。
文化財登録などはされていない。個人的には国登録有形文化財にも匹敵するくらい価値が高い建物だと思う。これからも残ってほしいな~
また、向かいには小さな田中家具店の建物。
こちらにもJCBの看板があるので旧店舗かな?と思ったが駐車場と書いてあるのでよくわからない。
新町の道祖神
看板建築の隣の建物も古そうだ。
その近くの裏通りを入ったところには、大きな道祖神の石碑が。この辺りから新町になるので、町の境目で昔から見守ってきたのだろうか。
大正元年十一月一日
白内新町 女人一結建立
2012年頃から区画整理が行われ、道祖神の向かいの建物を取り壊し新たに道がつくられたようだ。
また、県道並びの骨董店の建物なども新しく一軒家に。2008年まで営業していたようで、こういう個人経営の骨董店が最近ほぼないので入ってみたかった…
こちらは太田家具店。営業しているかは不明。
比較的新しい牛乳箱。でも、明治ハネーヨーグルトって初耳!
高橋邸・旧東金園
さらにもう一つ、看板建築があった。
シンプルな白い看板建築。
中央には屋号?「千葉県の近代産業遺跡」によると、「高橋邸・旧東金園」と書いてある。
東金園とは一体?茶葉販売店とかだったのかな…
また、昭和10年1月築とのこと。建物の脇の水路を見たら、煉瓦積みだった。こんなところにも歴史が垣間見える…
建物を見ていても水路の煉瓦まで気づいている人は少ないのではないかな~
さらに裏から見ると表側と同じような半円形のデザイン。看板建築というと、表側だけのイメージだったが、この建物は裏側まで凝っている。
しかし、裏側から撮影しようとしたら番犬に吠えられて怖かった…皆さんもご注意!
カネハン商店とカネセン商店?
看板建築の隣の建物。カネ仙商店かな?
赤い引き戸。一部割れてしまっているが、10年以上この状態。
最近解体されている建物も多いみたいだけど、東金にはまだまだ古い建物が残っている。こんなに残っているとは思っていなかった。
斜め向かいにある、カネハン商店。
この日は定休日のようで、金物店として現在も営業中。
バス停にまで「金半前」と書いてある。
向かいにもカネハンの小さな小屋のような建物。
赤いポスト、現役なのって珍しい~
少し歩いた先、大利根食堂の隣は更地に。
ここにも2018年頃まで看板建築があった。
その隣の塚田米店の建物は残っていた。
さらにもう少しだけ足を伸ばして、明治屋酒店の建物を見学。
2008年の時点で営業していないようだ。
そしてこの辺りまで田間商店会が続いている。けっこう範囲が広いな~
木造アパートが裏道に
県道119号沿い、けっこう駅から遠くまで建物を探して歩いて来たのでここから東金駅へと引き返す。
帰り道、どこの裏道を入ったか忘れてしまったが、県道から1歩足を踏み入れるとタイムスリップしたかのような一角があった。
木造平屋のアパート?扉が4つ並んでいる。
大きな邸宅の横道に面した建物。現在は空き家のようだ。
ドアノブ、この鍵穴のタイプはいつ頃のものだろう…相当古そうだ。
反対側から撮影。奥は県道。貴重な木造建築を見ることができて嬉しい。
片貝県道入り口近くの商店に残っていた、ホーロー看板たち。並べられているセンスも良いなあ…
向かいには倉庫と思われる建物とホーロー看板。
倉庫の裏にあるなまこ壁の蔵も素敵…近くで見ると迫力がある。
裏道で見かけた、日用品化粧品の問屋、長谷川商店の建物。
最後に県道沿いに残っていた白い店舗跡は、不二家。かつて手前は駐車場だったようで、店舗が奥まっているのも納得…
普段街歩きをしながら、そんなことばかり考えて歩いている大学生です。今回は母と左右分かれて歩いたので、見落としが無く撮影できたと思っていたら、まだ行けてない場所があるので東金、近々再訪します…
(訪問日:2021年8月)
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