内房線「館山駅」。駅前通り・昭和通り・官庁通りで見つけた歴史 -館山⑴

今回から千葉県の南端、館山シリーズです!館山の老舗旅館「幸田旅館」に宿泊し、1泊2日で館山市内を探索しました。商店街、近代建築、各地に昭和が残る街です。
内房線「館山駅」へ
千葉県館山市北条、内房線「館山駅」へ到着。館山駅の開業は大正8年(1919)。100年以上の歴史!

当初は、北条線「安房北条駅」として開業し、その後昭和21年に館山駅に改称されたらしい。もともと、北条と館山は別の町だで、昭和14年(1939)に館山市として合併したため。
館山駅東口を駅舎から眺める。

駅を降りてすぐのところにある「マリン」は、駅弁屋。千葉県で駅弁屋さんは珍しい…私は初めて見た。

館山名物くじら弁当!!これは美味しそう…

「房州名物くじら弁当」は1000円。貴重なくじら肉を使用しており、メディアでも取り上げられているらしいが、この日は生憎休みだった。残念…
今度はお土産に持って帰りたいな。

館山駅は平成11年(1999)に橋上駅舎が完成し、現在は南国風な駅舎に。「昭和な館山の風景」に戦後の駅舎が掲載されているが、木造2階建ての立派な駅舎!

館山市のホームページに設計コンセプトが書いてある。
海洋性リゾートタウン館山の海に開かれた新しい玄関口にふさわしく中心市街地のシンボルとなる施設とし、また土地区画整理事業を契機に創出されつつある駅西口地区の南欧風の街並みと整合した景観を持つ「リゾート駅の明るい雰囲気を持ったランドマークとしての風格」をデザインコンセプトとしている。
もともと、館山は明治11年に東京と館山を結ぶ最初の汽船が就航し、館山が保養地や海水浴場として注目された。大正時代になると鉄道が開通し、利便性が高まり、さらに観光客が増加、戦後も観光地として発展、後程紹介するが、館山にも花街が存在した。

現在、2020年の1日平均乗降客数は1200人ほど。東京湾アクアラインが平成9年に開通し、東京への移動は高速バスになったため、駅利用者は減少中。昭和40年代、8千人以上の乗降客数だったというのが考えられないくらい今は駅前も静かです。
私のように電車に乗って館山に訪れる人も少ないのでしょう…本数も少なく時間がかかりますもの。でもそれって結局は利用する人が減っているからなんですよね…電車に乗ってのんびり旅行するのも良いけどな~
館山駅前通り
『安房の昭和』に昭和53年の館山駅前の写真が載っている。駅前通りの入り口にアート状の大きな看板があり、「東芝 南房総国定公園 館山市」とある。現在は撤去されてない。
ロータリーの前には「サカモト」の看板が見える。「サカモト」はデパートで、現在もサカモトビルとして残っている。
5階建てで、屋上には遊園地も。
また、サカモトがデパートになる前、駅前には映画館「中央劇場」が存在したらしい。

旧サカモトの入り口。マクドナルド→おみやげ市場が営業していたが、現在は魚民だけ営業しており、入口は暗かった。ロッテリアやモスバーガーがあった時代も…

駅前通りで変わらずに営業を続けているのが、老舗のパン屋さん。「館山 中村屋」である。

2階にイートインスペースもあり、ゆっくりできるお店。歴史的にも興味深かったので後程記事で紹介します!

館山駅東口交差点の老舗
館山駅東口の交差点へ。

南北は県道302号。かつては「館山銀座」だった道。右奥にファミリーマートが見えるのが気になった。以前はどんな建物だったのだろう?

2014年のストリートビューに「中村屋」と看板のある旅館?らしき建物が映っていた。
交差点の角にはピンク色の外観の着物販売店「嶋屋」。

創業明治9年(1876)の老舗。老舗だが若い人でも見やすい現代的なホームページ!

向い側が広大な更地でなんだか寂しい…

文具、玩具、本を扱っていた松田屋の店舗。「SINCE1901」とあるので、明治34年。この辺りは明治に創業した老舗が多いのだろうな…
看板で隠れて見えないが、赤い建物が歴史を物語っている。創業当時からありそうな建物だった。
館山「昭和通り」
館山駅東口から東に進む道が「昭和通り」とグーグルマップに書いてある。

昭和通り、特に街灯は無かったけど昭和の時代は賑やかだったのかな…

現在は人通りも少なく、歩いている人はほとんどいない。

右手に見えた「川名鮮魚店」は古そう。

2014年頃までは雑貨店?オシャレなお店が営業していたが現在は閉店…

しばらく歩いていると右手に錆びた茶色の街灯が残っていた。昭和の街灯の生き残りかな…


左手には生地店「まるやま館山店」。このお店は千葉県各地で見かけるな~

諏訪神社参道の石碑
交差点に、ひっそりと石碑が。「諏訪神社参道」とある。

よく見たら「皇紀二千六百年記念」とある。皇紀二千六百年記念は、昭和15年(1940)に行われた神武天皇即位紀元2600年を祝った一連の行事で、各地に記念の石碑が残っている。
ここでは諏訪神社の参道を表す道しるべを建立したのだな…
肝心の諏訪神社は、館山市正木にある神社。ここから北へ約6㎞弱…徒歩だと1時間かかるらしいがここから歩いて昔は向かったのだろうか。「館山市立博物館」のページに詳しくまとめられていて、一度行ってみたいと思った。

そして再び昭和通りへ。

この通りは果たして商店街だったのか…営業しているお店がほとんどない。

左手に見えたのは校舎…だが解体されている最中であった。

館山市立第三中学校。2021年3月末をもって閉校し、第二中学校と合併したらしい。

解体が早いなと思ったら、校舎の跡地に新校舎を建設する予定らしい。


初めて見た学校だが、他人事とは思えない…今後各地でさらに統廃合が進んで母校も解体される日が来るんだろうなと思いつつ記録に残した。
官庁通りへ
昭和通りを出ると「官庁通り」へ。館山市役所、千葉県館山警察署、館山税務署などが並ぶ通り。なぜか間違えてモノクロで撮影してしまったが雰囲気がある笑

右手にある「黒恵屋食堂」、なかなか渋い。市役所職員に人気がある定食屋さんらしく、60年以上営業している老舗。

安くて美味しい昭和な食堂…この日はタイミングが合わず入らなかったが、賑やかな声が聞こえた。


隣の山崎屋は既に廃業しており、どんなお店だったのか…

ふと左手を見ると、古い門柱が残っているではないか!!

「北条病院」フォントもなんて独特なんだろう…これはきっと歴史ある病院に違いない。

左手には院長の苗字の表札。
北条病院のホームページに歴史が少し書いてある。
北条病院は、明治12年より南房総の人々の健康維持のお手伝いをさせて頂いております。近隣には隣接する館山警察署をはじめ、安房保健所、館山市役所などの公共機関が集中している地域であり、 館山市の中心部に位置しています。
明治12年…1879年!門柱は戦前からあるものかもしれない。
病院の建物は2015年頃に新しく建替えられた。
官庁通りを進む。左手に見えてきた洋風な建物に目が釘付け。

「押尾印輔」と看板がある。グーグルマップには載っていないが営業中。

調べても情報が全くないが官庁通りらしい店舗だなと思った。

南町の交差点へ。右手は酒屋「栖重本店」。

店舗は新しいが、創業は明治初年、6代目とホームページに記載。明治時代に創業した老舗が館山には各地にあるので見逃せないな…

館山駅から南町の交差点へ。館山の探索はまだ序の口。ここからさらに魅力的な建物が登場します!
(訪問日:2021年8月)
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県道302号沿いの現ファミリーマートは元は病院でした。確か山崎病院だったかな?