玉前神社参道を歩く。裏道には大正モダンな「吉村理髪店」も現存 ー一宮⑵
上総一ノ宮へ降り立ったらまず訪れたいのが、地名の由来にもなった「玉前(たまさき)神社」。
この神社を中心に門前町として古くから栄えた商店街には、江戸~昭和の歴史的建造物が多数現存しており、レトロな建物が好きな方におススメなコースです。
上総一ノ宮・玉前神社と参道
千葉県長生郡一宮町一宮3048に位置する「玉前神社」は、外房線「上総一ノ宮駅」から徒歩10分ほど。
歴史の古いこの一宮町の名称の由来となった玉前神社は上総国にまつられる古社であり、平安時代にまとめられた『※1延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)』では名神大社(みょうじんたいしゃ)としてその名を列せられ、全国でも重きをおくべき神社として古くから朝廷・豪族・幕府の信仰を集め、※2上総国一之宮(かずさのくにいちのみや)の格式を保ってまいりました。
※1) 延喜式
平安時代初期”延喜”の時代にまとめられた国家の法制の細目を定めた書「延喜式」50巻のうち9・10巻が「神名帳」とよばれる。※2) 上総国一之宮
平安時代から中世の頃にできた一種の社格で、その国々において由緒の深い神社、信仰の厚い神社などおのずと序列ができその首位にあたるものが「一の宮」とされたようです。
ちなみに、上総の国の二宮は茂原市の「橘樹神社 」。各地域に、一宮・二宮と位がついている神社があるので意識してみると面白い。
玉前神社の参道
駅から玉前神社前交差点を鳥居の方へ。ここは玉前神社の参道として静かな時間が流れている。
下の写真、左から2番目に映っている元鮮魚店「魚民」の建物は昭和初期の建築だそうだ。
和菓子屋「かねきち」は江戸時代、1847年創業の老舗菓子店。玉前神社から一番近い和菓子屋として歴史深いお店だ。
一方、交差点にある和菓子屋「角八本店」のは店舗も広く混んでいる気がした。
鳥居の近くにある店蔵は明治30年頃の建築だそうだ。
元々は油屋鶏卵などを商うお店だったが、平成26年から手作りおでんとかき氷のお店「赤七屋」として営業中。残念ながら訪れた日は休みだった。
向かい側には小さな人形展「ちゃらこ屋」というお店が。偶然入った素敵な話を伺えたので、次回記事にまとめる。
関東屈指のパワースポット・玉前神社へ
玉前神社は、御来光の道(レイライン)上、東の起点にあるため「関東屈指のパワースポット」といわれているらしい。
一の鳥居は真東を向いており、意図的に真東に向けて造られたとされるが、昭和50年頃はもう少し東側、交差点付近にあったらしい。『写真アルバム 長生・夷隅の昭和』より
「御来光の道(レイライン)」は、春分・秋分の日の出の位置と「玉前神社」をむすんだ延長線上で、寒川神社(神奈川)、富士山頂、竹生島(滋賀)、元伊勢にある皇大神社(京都)、大山にある大神山神社(鳥取)、出雲大社(島根)が並ぶ。
レイラインの最も東に位置する玉前神社。縁結び、子授け、安産、子育てなどにご利益があるため女性に人気らしい。知らずに訪れたけどなんか嬉しい。
一の鳥居から参道を眺める。歴史探索をする上で、神社と門前町の関わりは見逃せない。
今は静かな参道だが、江戸時代はもっと賑やかだったのではと想像した。
玉前神社の裏道へ
玉前神社の周りを一周してみようと考えた。もしかしたら古い建物が残っているかもしれない。
現在は営業していなさそうだが、中華料理屋を発見。
神社の北側は住宅街になっていて、とても静かだ。
玉前神社の南側へ向かって歩いていると、精肉店が見えてきた。
「吉野精肉店」営業中~
「美味しいいつものとり唐揚げあります」
通り過ぎようとしたら素敵な張り紙があって胸に響いた。
さらに覗いたら、「甘い美味しい あげたいやき!!」というのが気になった。
学生の通学路になっていて子供が多かったのであまりじっくり見ることができなかったけど、いくつか個人商店があるみたい。
食料品・雑貨を扱う「森田商店」は、雰囲気からして駄菓子も販売していたのではないかな~
レトロな吉村理髪店
玉前神社周辺で一番ビビッと来たのが「吉村理髪店」の建物。
「上総一宮町の歴史的建造物」によると、
玉前神社の裏通りに面して建つ。江戸時代からの髪結い床で、現在の当主は5代目にあたる。
大正時代に改築し、当時のモダンな様子を今も留めている。流行に敏感な理容界にあっては貴重な例。店内の壁には当時の料亭などの広告の書かれた大鏡がL字形に配され、舶来の椅子も珍しい。
江戸時代からの髪結い床?!想像以上に歴史あるお店でびっくり。ということは、今も営業中ってことかな?
建物は大正時代に改築したもの。窓のデザイン、薄い水色とモルタル製の石柱のような壁がなんて素敵なんだ…
扉は新しくなっていたが、大正時代から変わらない外観。
特に地図上には無い情報なので、自分で隅々まで歩いたご褒美かもしれない。嬉しい。
玉前神社の裏道にあるので、合わせて見学してほしい。
(訪問日:2021年3月)
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