多古の花街、昭和初期の鳥瞰図から調査&旅館「神崎屋」 -多古⑿

多古の花街、昭和初期の鳥瞰図から調査&旅館「神崎屋」 -多古⑿

多古にも花街が、遊廓が…?

多古町のそういった話は調べても出てこなかったので、てっきり無かったのかと思っていたら地元の方から貴重な証言を聞きました。それをもとに自分なりにまとめてみようと思います。

多古の花街について

千葉県香取郡多古町多古。前回まで多古の中心街、成田鉄道多古線とい鉄道路線があり今よりも人の往来が激しかったであろう多古の歴史をまとめてきた。
人が集まる場所には、遊ぶ場所もあるはず…
今まで調べてきた地域では必ずといって良いほど、埋もれた花街の歴史が存在した。

そこで今回も、多古町魅力発信館の方に花街は存在したのかと尋ねると、「町史には載っていないが存在した」との回答を頂いた。

多古町では東側の栗山川から物資の乗り入れがあったため、その周辺に料亭や旅館が並び、芸妓さんを呼んで遊んでいたという。ある女性の祖父がその料亭に足しげく通っていたという話からも、舟運に関わる人だけでなく地元の商人も芸者遊びをしていたのだと思われる。

また、売春が行われる遊廓的な場所もあったと思うが、町史、公式な記録には残っていないので詳しいことは分からないとのことだった。

確かに普段参考にしている遊廓関係の書物にも掲載されておらず、地元の方の証言を頼りにするしかない。とはいえ、少しでも存在したことが分かって良かった。鳥瞰図や住宅地図を使って出来る範囲でまとめておこう。

Advertisement

万勢庵周辺

千葉県香取郡多古町多古216。料亭だったお店が現在も営業していると聞いて、本町通りから栗山川の飯土井橋方面へ。

交差点のガソリンスタンド

ガソリンスタンドの向かい、交差点の角で営業中の日本料理店「万勢庵」が老舗だという。

日本料理店「万勢庵」

店舗の入り口が、蕎麦処とふぁみりい割烹の二つあるのが印象的だった。

店舗入り口

昭和8年、松井天山が描いた「多古町鳥瞰図」には「生そば万勢庵」が同じ場所に描かれている。建物は変わっているが、昭和初期からほぼ変わらない形で営業されている。

隣は空き地

周辺は商店街といった雰囲気ではなく、工場などがあって歩いている人はいない。ここから観光案内の指す場所は2㎞以上離れている。

観光案内の看板

とりあえず周辺を探索。ピクニックのベンチ…

ピクニック

右手は食料品を扱う商店があったようだが、解体されて広い空き地が広がっていた。閑散としている。

広い空き地

天ぷら店「天鈴」。鳥瞰図には天鈴は載っていないが、ここには元々料亭があった場所である。

天鈴
向いは写真店

そして栗山川に架かる、飯土井橋へ到着。昔はここから船で物資乗り入れが行われていたのであろう。

飯土井橋

現在も屋形舟?らしき舟が並んでいて、風情のある景色。

栗山川

現在は「栗山川あじさい遊歩道」が整備され、延長およそ2㎞の道沿いに約1万本のあじさいが植えられているという。

栗山川あじさい遊歩道

飯土井橋周辺に料亭が並んでいて、花街が…といった話を聞いた上で訪れたが、あまりにも長閑な風景が広がっていてそんな時代があったことすら嘘に思える。今は全く面影が無い。

飯土井橋
Advertisement

鳥瞰図で見る料亭

昭和8年、松井天山が描いた「多古町鳥瞰図」には栗山川周辺の料亭が描かれている。

昭和8年

橋に最も近い、現在和菓子屋のある辺りには「御料理ひばり」、隣に「船戸家」「御料理銚子家」。

現在和菓子屋

3軒もの料亭が並んでいる。

びっくりしたのが、向かいにある「ヨシバ写真館」が現在も同じ場所で営業していること。

また、写真館の並びに「御料理中田屋」、交差点から北に「御料理辰本」など。
銚子家や中田屋は建物の様子も詳しく描かれている。どの建物も全く面影が残っていないが…戦後に取り壊されたのかな~

もし覚えている方がいたら教えてください!

Advertisement

多古町の料亭・旅館一覧

昭和8年の鳥瞰図に載っている料亭、旅館の一覧。

高根
料理ひばり、船戸家、御料理銚子家、御料理中田家、御料理辰本

本町
御料理旅館登喜和

高野前
御料理つたや

 

1949年発行『全国市町村便覧』(全国教育図書)の「全国旅館等級別一覧表」。(ランク1が最高)

多古町
4 登喜和旅館
5 神崎屋
5 枡形屋
6 東京屋

枡形屋は現在も営業中。東京屋はどこにあったのか分からないな~…
そして、神崎屋が現在も残っていて驚いた。

Advertisement

旅館「神崎屋」

川沿いの探索を終え、多古町役場へ帰る途中…

ある裏通りに「旅館 神崎屋」の看板が残っていた。グーグルマップには書いてないのでびっくりした。

旅館 神崎屋

川魚料理、旅館神崎屋…看板の奥には旅館の建物も残っているではないか!

旅館外観

だが、敷地は草木が生い茂っていて営業している雰囲気はない。素敵な入り口なのに残念…

入り口

入り口から少し覗いたが、柱時計に階段が見え、現在も住んでいる方がいる雰囲気ではあったがあまりにも荒れていて…

と思ったら、母が覗いた後、私が覗いたら母には見えなかったおじいさんが座っている姿が見えてしまい、違う意味で強烈なインパクトを残す旅館に…(あまりの怖さに声も出ず後ずさりしてその場を立ち去った)

この話を詳細に書くと怖くなるのでこの程度に。
後で地元の方に聞いたら、10年ほど前に廃業したらしい。

多古町商工会のホームページには情報が残っていた。

お一人様1室
朝夕食事付6500円 朝食のみ5300円 素泊まり4500円

お二人様以上1室
朝夕食事付6000円 朝食のみ4800円 素泊まり4000円

他の情報が無いのでよくわからない。営業しているときに宿泊したかったな。

 

また、付近を歩いていると割烹、寿司屋が多い印象を受けた。

奥に小島寿司
きむら寿司

 

多古町の花街について、関係ありそうなことをまとめたが、まだまだ分からない点が多い。大きな旅館では芸者を呼んでいたと思うので、現在も営業している、ますがたや旅館に一度宿泊してみたい。

元そば屋さん?

多古の花街についてまたわかったことがあれば追記していきます。

 

(訪問日:2021年8月)

error: このコンテンツのコピーは禁止されています。