「木内家住宅」昭和初期築、国登録有形文化財の石造り蔵店舗 -多古⑺

「木内家住宅」昭和初期築、国登録有形文化財の石造り蔵店舗 -多古⑺

多古の国登録有形文化財、「木内家住宅」を見学しました。昭和初期築、重厚な大谷石の外壁は圧巻です!旧多古郵便局と合わせてご覧ください。

多古の国登録有形文化財

旧多古郵便局から北へ、仲町通りの正面に建つのが国登録有形文化財「木内家住宅」。

木内家住宅

千葉県のホームページに「木内家住宅主屋ほか」が紹介されている。

平成11年に、主屋、旧蔵、旧店舗の3棟が国登録有形文化財に登録されたようだ。

文化財のプレート

現在は個人宅となっているため見学などは不可。静かに建物の外観だけ見学させていただきます。

近くには以前紹介した、旧多古郵便局も。

多古は他にも近代建築が保存されており、「旧興新小学校」「澁谷嘉助旧宅正門」などがある。交通手段が車に限られてしまうと思うので今回は足を伸ばせず。また今度行きたい。

Advertisement

木内家住宅

木内家住宅がある場所は町の中心部。仲町通りの真正面に位置することからも木内家住宅の歴史を感じる。

現在の木内家住宅

かつては米殻商を営んでいたようだが、昭和後期の住宅地図には既に個人宅になっている。

旧米殻商

敷地内の建物は、道路に面した旧店舗、その背後に接する蔵を構えた町屋建築で、主屋はさらに蔵の奥に建っている。いずれも昭和4(1929)~6年(1931)に建築された。

昭和8年の鳥瞰図にも現在と同じ姿で描かれている。

屋は、桟瓦葺寄棟造、石造2階建の住宅で、外壁は大谷石積で構成。さらに1階と2階の境、軒下の周り、開口部などには稲田石(茨城県笠間近辺で切り出される花崗岩)が組まれ、外観に変化をもたせている。また、外開きガラスの洋風デザインを取り入れるなど、建築当時の意匠の流行をよく示している。

大谷石に稲田石、外開きガラスなど要素が濃い…

店舗の裏の蔵

入り口を囲っている白い石が説明にあった茨城県笠間近辺の「稲田石」だろう。エレガントなアーチの施しが見える。素敵だ…

稲田石

主屋もすべて、栃木県宇都宮市北西部の大谷町付近一帯で採掘される石材・大谷石。現在も住んでいる方がいらっしゃるようだが、邸宅内はどのような造りになっているのか気になります…

りに面して建つ旧店舗は、銅板葺切妻造平入の石造2階建で、通り側には下屋庇を設け、伝統的な商家の構えらしく、口部を多くとっている。1階は米俵を火災などから守るため、大谷石積の堅固な造りとなっているが、2階は和風の木造で構成されている。伝統と流行を折衷した意匠となっており、この地域の近代商家建築の指標となる存在である。

米俵を火災などから守るために大谷石積みなのですね…なるほど。

大谷石積み

店舗の端には、稲田石で造られたギリシャ風な柱がアクセントになっている。こんなに石を贅沢に使用した昭和初期の建築は初めて見た。

外壁の大谷石の保存状態も良く、100年近く経っても劣化しない石の凄さを感じた。

正面は仲町通り。かつて木内家住宅から見えていた景色はさぞ美しかっただろうと思う。

仲町通り

 

(訪問日:2021年8月)

error: このコンテンツのコピーは禁止されています。