いすみ市「太東駅」からアーチ付「椎木商店会」へ。旧道沿いの宿場町
外房線「太東駅」で下車。駅前には「椎木商店街」と書かれた昭和レトロチックなアーチがお出迎え!少し歩いた場所に、古くから栄えた椎木商店街が現存!歴史好きにおススメしたい街です。
外房線「太東駅」・木造駅舎
千葉県いすみ市岬町椎木、外房線「太東(たいとう)駅」へ。明治32年(1899)開業。
太東駅にも駅名のホーロー看板が健在!!ここは黒い看板なのですね~
開業当初から変わらない木造駅舎。こじんまりとした駅舎入口が良い。
駅前は広いロータリー、バス停。自動販売機コーナーはあるが、営業しているお店は無い。
駅の正面に建っているのが、椎木商店街のアーチ!これが見たくて太東駅に降り立ったのだ。
各地で商店街のアーチが撤去される中、現在も綺麗に現存している椎木商店街のアーチ。頼もしい…!
太東駅前の商店街
椎木(しいぎ)について、角川書店『角川日本地名大辞典』によると、戦国期から椎木郷という地名が見られると書いてある。中世初期には、一宮の神的権威を背景に大武士団を形成した上総氏一族椎木氏の本貫地でもあったという。
その後、江戸時代には房総東往還に面していることから栄え、村内で2・7日に市立てが許可されたそうだ。しかし、近くにあった長者市(現いすみ市)のために、椎木の市は休市した期間もあったそうだ。
そう考えると、長者町の方が街道沿いの宿場町として椎木よりも賑わっていたのだろうか。
舞台となった街道沿いは駅から離れているので、駅前通りを通って街道を目指す。
左手には大きな倉庫。JAのものかな?
右手にはスーパーの石田ストアー。全日食チェーンだ。この日はお休みだった。
駅前のとおりから、県道229号へ。奥に見えるのは、JAいすみ岬支所。
ちょうど、小学生の帰宅時間と遭遇。いすみ市立太東小学校の子供たちが集団で下校していた。子供たちは県道を歩いて西側へ。歩道が狭いので少し危ないなと思った。
いすみ市立岬中学校の横を通り過ぎると、目的の房総東往還へ到着する。
T字路の角に素敵なお店!古民家カフェ「杢珈琲」。
2018年にオープンしたカフェで、東京から移住した方が開業されたそうだ。→子育てのための移住から、やがて珈琲店の開業へ。「杢珈琲」木村洋平さんが、マーケット文化が根付くいすみ市で体験した、つながりの連鎖。
私が訪れた日も、次々とお客さんが来店していた。
パフェがびっくりするくらい、オシャレ…!古民家カフェ好きの方におススメしたい。
椎木商店街へ
椎木商店街へ到着!ここが、房総東往還沿いの商店街として現在も歴史を伝えている。
文具・ファンシーいしばし。ファンシーショップ、時代を感じる響きです。
隣は、岬信販チケット連盟。共通商品券販売所・スタンプ券取扱所と書いてある。商店街のスタンプ券を引き換える場所かな?
想像していた以上に街道沿いの古き良き街並みが残っていて感動…!駅からはるばる歩いて来た良かった!
雪印牛乳とあるが、石橋精肉店。精肉店だけど牛乳も扱っていたのだろう。
向かいには立派な塀のある邸宅が…!
2014年のストリートビューには建替え前の、街道沿いに面した建物が映っていた。
ここからが椎木商店街の中心街。意外と人通りがあり、地元の方々がお店の前で団欒していた。いわゆるシャッター商店街ではなく、営業しているお店があるのも嬉しい。
秋葉豆腐店。営業中!
豆腐店の隣の商家建築も素晴らしい眺め。今は自動販売機コーナーと化しているが、元は酒屋だろうか。
向かいには、橋本履物店。隣はヤガミヤ酒店。
ただひたすらに、情緒を感じる街並みに感心しながら歩いていた。しかも商店街の距離が長い。
左手はクリーニング店、宇佐美生花店。
右手にある、白鳥商店の「きんつばや」が気になる。和菓子店?氷の旗も見える。
Googleマップの口コミが12件も!餡、白餡、カスタードクリームのきんつば(大判焼)が美味しいらしい。私が行った時は運悪く休みだったのかあ~
下宿「小安商店」
米穀・肥料・飼料・農薬などを扱っている「小安商店」。以前と比べると看板が新しくなっている。特約店のレトロなホーロー看板も目立ちます。
よく見たら青銅製の看板?色落ちして茶色くなっているのかも。それだけ栄えていた証拠ですね!
隣には、衣料品店「かましん」。老舗だと思われるが、現在はシャッターが閉まっている。
向かいにある小湊鐵道のバス停には「椎木・下宿」と書いてある。椎木の宿場町の面影が垣間見えた。
そういえば、昔は旅館なども存在したのだろうか…
「まるへい本店」呉服専門店
千葉県いすみ市岬町椎木1890。びっくりするお店があった。「まるへい本店」という呉服専門店である。
外観がかなり綺麗で、最近改装されたのだろうなと一目瞭然…振袖のレンタルなども行っており、正直、椎木商店街にこのような新しめのお店が営業中だとは想像もしていなかった。
照明も昔の形状を模していて、こだわりが感じられる。素敵や~
駐車場も完備。成人式写真の前撮りに訪れる方も多いのだろう。天保元年創業と看板に書いてある。街道沿いの老舗呉服店が健在なことは大変喜ばしい。
2014年のストリートビューを見てみると、今と全く雰囲気が違うお店の様子が映っていた。振袖というより、普通の衣料品が並んでいるように見える。
この数年の間に、ここまで革新的な変化を遂げるとは一体何があったのかと気になってしまうほど。ホームページも若者向けに素晴らしいコンテンツとなっている。
株式会社まるへいは、江戸時代・天保より商いを続けさせていただく、地元の呉服専門店です。創業以来、お客様第一主義の商いに努めさせていただき、おかげ様で大勢のお客様方のご愛顧・ご支援を賜っております。
敷地内には、江戸情緒を残す庭園もあるらしく、撮影にはピッタリ!羨ましい。
木更津店は令和2年にオープンするなど、創業200年近くになる老舗呉服店の躍進に衝撃を受けたのであった。
追記:地元の方より
昔から地元フリーペーパー(毎週土曜にシティライフというフリーペーパーが新聞の折り込みで入っている)に広告を出していて、成人式の前撮りと思われる、振袖姿の方の写真が毎週載っていて、同級生も何人か載っていたそうです。
椎木三叉路と商店街のアーチ
呉服店から街道をさらに南へ、椎木三叉路へ。
角には元々茅葺屋根だったであろう建物、田中洋服店である。
椎木三叉路へ。この辺りで商店街は終わり。奥に商店街のアーチが見えた。
川のせせらぎが聴こえる。なんて長閑なんだろう…
橋の手前に建つ、椎木商店街のアーチ。かつての宿場町の面影を色濃く残す街並み。
ここから駅へ引き返すのも距離があるのだが、街並みが素晴らしいので苦ではなかった。これからも残ってほしい、歴史的街並み。
秘境のような商店街だった。地図を眺めていて偶然見つけた商店街、改めて行けて良かった。
(訪問日:2021年9月)
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