柴又駅前の再開発。寅さんの像は変わらず。昭和の柴又の面影を探して -柴又⑴

「寅さんの故郷、柴又」
『男はつらいよ』シリーズの世界観に浸れる東京都葛飾区柴又は、観光客でいつも賑わっている。その中でも、柴又駅前の寅さんの像はとても人気。そんな駅前が再開発によって変わっているのをご存知ですか?
今回から始まる柴又の記事シリーズは、観光客に人気なスポットだけでなく、裏道も紹介しようと思います。
寅さん路線図
京成金町線に乗って「柴又駅」へ。ホームに、何やら見覚えのある顔が…?

「寅さん路線図」!朝日新聞デジタルの記事によると、第一作公開から50年を迎えた2019年11月に路線図を設置したそうだ。寅さんの顔が浮かび上がってくる~!

そして、一筆書きで1~50作までの作品を辿れるようになっている。現在、全話を鑑賞中の身にとって管外深い路線図だ…

多くの方に愛される作品であることを実感する。この日も柴又駅で降車する観光客は多かった。

現在の柴又駅
柴又駅はどこか懐かしい雰囲気がある。

柴又駅が開業したのは明治32年(1889)。帝釈人車鉄道の駅として開業。確か、帝釈人車鉄道について「寅さん記念館」に展示があった気がする。

駅を降りてすぐに出会う「フーテンの寅像」。いつも観光客で賑わっている。撮影が大変。

像は、『男はつらいよ』シリーズの終了、主役の渥美清さんを記念して1999年に建てられたものだそうだ。

台座には山田洋次監督の言葉。
寅さんは損ばかりしながら生きている
江戸っ子とはそういうものだと
別に後悔もしていない
人一倍他人には親切で家族思いで
金儲けなぞは爪の垢ほども考えたことがない
そんな無欲で気持ちのいい男なのに
なぜかみんなに馬鹿にされる
もう二度と故郷になんか帰るものかと
悲しみをこらえて柴又の駅を旅立つことを
いったい何十辺くり返したことだろう
でも 故郷は恋しい
変わることのない愛情で自分を守ってくれる
妹のさくらが可哀想でならない
―ごめんよさくら いつかはきっと偉い兄貴になるからな―
車寅次郎はそう心に念じつつ
故郷柴又の町を振り返るのである
私は誰に馬鹿にされようとも、寅さんの生き方がとても好きだ。50作まで見守ってきた山田洋次監督の言葉はとても深みがある。

その向かい側には妹さくらの銅像。2017年に設置されている。

その背景は壁で覆われている。東京新聞の記事によると、以前から柴又駅前の再開発に対しては色々な意見があったようだ。
下の写真の場所には、たばこ店があったような。
昨年訪れたときに撮影したのを覚えていたのでショック。

レトロな平屋商店がすべて立ち退き、今度は白い商業施設が建つらしい。老朽化のためとは言え、雰囲気が変わってしまうな…

山田洋次監督も「昔を知る僕は急激に風景が変わってほしくない思いがとてもある。柴又の街はいつまでも昔の姿をとどめてほしい」と話していたようだ。
寅さんサミット 2020
訪れた日はちょうど「寅さんサミット 2020」の初日だった。毎年開催されているみたいだけど、今年は工夫がされていた。

駅前の通りは前と変わらず。安心。


この辺りは再開発どうなんだろう?昭和な雰囲気のまま保つのって本当に難しい問題ですね。

個人的にワタナベ薬局の建物が昔から好きです。明るい家族計画も端に!

寅さんサミットではポイントラリーが開催されていた。

寅さんがつないでくれた地域と地域、人と人。
映画『男はつらいよ』の世界に広がる風景を
“寅さん”がこよなく愛した風景を
どこか懐かしく、心温まる風景を
大切に守り、後世に伝えていくことを
共に考えていけたら。
こういうイベントが開催されることって本当に素敵。また来年も行きたい。
過去の柴又駅の写真
柴又駅前の再開発があまりにも悲しかったので、過去の写真を漁ってみた。
ほんの少し前には、駅近くに「コーヒースタンド さくら」というお店があったのですね。

寅さんの像は相変わらずだけど、奥のお店が懐かしい…

今はもう無い、お店がずらり。この時点でほぼ営業していなそうだけど…

右手には定食屋?も。

2013年の写真もあった!この時は「三河屋」が営業中。まさか無くなるなんて思わないから注意して撮影しなかったものな~

ストリートビューで見た2009年の様子。
寅さんとさくらの像。さくらの像の奥に、身体に気を付けて、と旗が出ているのは偶然なのか…

山口たばこ店のたばこの看板。その時はレトロだな~と思って撮影したけど、何気なく撮っていたのが役に立つとは!この看板、『男はつらいよ』で出演しています。看板はどこに行ったんだろうか。

新型コロナウイルスが流行する前。

柴又駅前の再開発はどんどん進んでいる。利便性が高くなることは歓迎すべきことだけど、昭和の街並みがこうして薄れていってしまうのだなと実感する。
当たり前の風景だとは思わず、好きな建物は撮影し、記録に残していこう。
(訪問日:2020年11月)
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