佐原「柳湯」創業140年近くの銭湯、2022年夏閉店に -佐原52
佐原の銭湯「柳湯」。創業100年を優に超える老舗の銭湯です。
しかし、私が入浴した後、閉業との情報が… またしても銭湯最後の記録です。
佐原の銭湯「柳湯」
千葉県香取市イ471。2022年5月、佐原には2軒の銭湯が残っていた。以前、「金平湯」に入ったので今回は「柳湯」へ。
佐原駅から小野川へと進む銀座通り商店街に路地を指す柳湯の看板がひっそりと存在感を放っている。そう、この細い路地の奥に銭湯の入り口があるのだ。
目印はもくもくと煙を出す煙突。まさかこの奥に銭湯の入り口があるとは…初見では入りづらい。
そしてこちらが入り口。男女を示すものは無いが取っ手の色で判断?右側が青いので男性っぽい。
入口付近は洗濯機とホーロー看板付きベンチ。なかなか渋い。
私たち以外にお客さんがいなかったので撮影の許可が下りた。今思えばこの時にちゃんと撮影しておいてよかったと思う。こんなに早く閉業になるとはなあ。
女湯の脱衣所。番台式で、番台から脱衣所への仕切りは無いので男湯から脱衣所が丸見え…ヒェ。
中央に椅子とテーブル。湯上りにのんびりくつろいでいる常連さんの姿が思い浮かぶよう。
そして浴室もなかなかの渋さ。タイル張りで壁面は、海と魚がモチーフ?カラフルで楽しくなる壁画だ。
男湯はヨーロッパ風なタイル画らしい。
カラン、「ボタン回さないで押してねー!」と。今時の人はシャワーが無いと使い方もわからないのかも。
ゆらゆらと反射するお湯。まるで自分が海の中を漂っているような感覚。お湯は熱めだった。45~46度くらい。
そしてこの時代に入浴料300円… 平成5年、私が生まれる前で時が止まっている。
女将さんにお話を伺う
3代目の90歳近い女将さん。柳湯、創業から140年近いと話していた。建物は昭和42年頃に鉄筋コンクリート造に立て替えている。
カランから出るやや濁りぎみの湯は井戸水と水道水のブレンドを鉄のボイラーで沸かしているためだそうだ。
昔は夜12時になると芸者さんが15人くらい帯を抱えて「入れて~!」と閉店前に入って来るくらい忙しかったそう。芸者さん自体も70名程いたが今は皆さんご高齢に。田中通りが飲み屋街だったとも。田中通りってどこだろう。
「時代が変わった」と。後継者もいないのでいつ辞めるか分からないと話されていた。
その後、2022年8月上旬に休業~閉店に。最後の貼り紙には「140年 ありがとうございました さようなら」と手描きメッセージが。うるうる。
脱衣所で見かけた「山村パン」。キューピッドのイラストが可愛らしい。今は工場跡地は駐車場になっているらしいがネット上には全然情報が無いなあ。
ネットの情報も、私たちの記憶もいずれ消える。少しでも抵抗しながら記録していきたい。
(訪問日:2022年5月)
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