小野川沿いの「千葉商船ビル」と文化財「正上醤油店」を歩く -佐原⑺

小野川沿いの「千葉商船ビル」と文化財「正上醤油店」を歩く -佐原⑺

忠敬橋から小野川沿いを北へ、今回は本町のエリアを探索。老舗の「正上醤油」をはじめ、川沿いの古き良き建物が令和の現在も残っています。

千葉商船ビル、近代建築風な建物

今回は、忠敬橋から北へ小野川沿いの東側のエリアを探索します。

忠敬橋にて

その前に、忠敬橋の西側にある洋風な建物。いかにもモダンな建物で佐原の古き良き街並みとマッチしている。つい最近までこの建物も本物の近代建築だと信じていた。

千葉商船ビル

「千葉商船株式会社」の事務所・共同住宅で、平成30年に完成したそうだ。新築とは思えないクオリティの高さ…

岡建工事株式会社のホームページに、設計担当者と施工担当者によるコメントが詳しく書いてある。それによると、昭和初期の洋館をモデルに建てた3階建て鉄筋コンクリート壁式構造。壁は敷地に合わせて円形に。

塔屋も

2017年のストリートビューを見ると確かにまだ建物が存在しない。

モデルとなったのは、東京都新宿区、新橋駅近くの「堀商店」と思われる。昭和7年竣工、鉄筋コンクリート造4階建てのスクラッチタイル張りが美しい、国登録有形文化財の建物。

角が大きくアールを描いているのが、千葉商船ビルとそっくり…

ちなみに、昭和62年の住宅地図では千葉商船ビルがある場所は「まつかわ靴店」。壊すだけでなく新しく近代建築を再現するという事例も取り入れている佐原は凄いなと改めて実感した。

昭和初期の近代建築が蘇った
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小野川沿い本町の街並み

小野川沿いの川岸通りを探索。まずは東側の本町から。

下の写真は町並み交流館に展示されていた、大正7年4月の小野川河口の写真。

大正7年4月の小野川河口

12年に一度行われる、香取神宮神幸祭での小野川河口の様子を写したものだそうだ。舟と人が集まり、どこが川の境目なのかも見えないほどの賑わいである。

現在の川岸通りへ。手前は、玉沢寝具店の店舗と住居。

玉沢寝具店

千葉商船ビルの隣にある田獲物は、久保木邸宅で建物の前に説明看板が建っている。

ふと、右側を見たら広い駐車場?の奥に蔵が見えた。

大きな蔵

手前に店舗があったに違いない。昭和5年、松井天山によって描かれた「佐原町鳥瞰図」によると手前には「上州屋商店」が描かれていた。店舗の奥に横長の蔵があるので現在残っているもので間違いないだろう。

左側の店舗は、高木商店。その奥にも石造りの大きな蔵が見える。

石造りの蔵

私の記憶が確かであれば、10年ほど前に訪れた時(2011年頃)、この川沿いの建物で雑貨店が営業していた。そのお店でお土産としてガラス玉を購入し現在も大切に持っているが、そのお店が今回見当たらなかったので寂しい気分…

静かな夏の日だった

県道沿いは営業しているお店も比較的多いが、川沿いは静か…

小野川
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明治築のレストラン「夢時庵」

角にある町屋は、フレンチレストラン「夢時庵(ムージャン)」として営業中。この日は休みだった。

夢時庵

香取市の「まちの風」によると、明治34年築の建物。

店舗は、明治34年(1901)建築の二棟の(木造建築と土蔵造り)建造物を、一つの屋根で構成した珍しい建築工法、正面入口上部には「よろい戸」があり、建物外壁を壁仕上げ、修復の柱は「四方かま継ぎ」工法を用い保存に心がけています。

木造建築と土蔵造りの二つの建物が一つの屋根で構成されている珍しい建築!建物内はどのようになっているのだろう?2階の部屋も繋がっているのかな?

また、壁には隣にある「正上醤油」と同じマークが描かれていた。

正上醤油?

元々は、正上醤油の関連施設だったのかもしれない。

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正上醤油店

そして隣にある「正上醤油店」の建物。店舗と土蔵は千葉県指定有形文化財。

正上醤油店

正上(しょうじょう)醤油店は、創業寛政12年(1800)。今から220年以上前!

店舗は天保3年築、土蔵は明治初年築とのこと。

説明看板

千葉県のホームページより

正上は寛政12年(1800)の創業で、古くは食用油を商っていたが、天保3年(1832)からは醤油業を営んでいる。香取街道にほど近い、船運の重要な流通路であった小野川に面した町家で、店舗背後の敷地内に多くの建物が建ち並んだ屋敷構えである。店のすぐ前の小野川の川岸には荷揚場であった「だし」も現存している。正上醤油店の店舗と土蔵は県指定有形文化財(建造物)に指定されているほか、重要伝統的建造物群保存地区内の建造物でもある。

天保3年から醤油業を開始。かつて小野川に多数存在した、荷揚場の「だし」が残っているところも少ないので貴重な遺構である。

店舗

 店舗は江戸時代後期の天保3年(1832)に建築されたと伝えられる。1階は内側に揚げ戸(鎧戸)を建て込み、外側の土庇を格子戸と壁で囲う構えとし、2階正面に繊細な格子窓を組み、軒を大きく出した「せがい」とするなど、格式のある形式となっている。

土蔵は明治時代前期の建築で、寄棟造の屋根の妻と、1・2階の観音開きの窓を表通りに向けた外観は、建築当時の典型的な外観構成となっている。

土蔵
蔵の扉

また、ストリートビューを見ていて気付いたが、店舗脇の門から敷地の奥に向かって、線路跡のようなものが見える。これは、トロッコの跡では?

茨城県の石岡、千葉県の東金の商店でも同様のトロッコ軌道が店舗に存在したことを見たことがある。
『福島屋砂糖店』さんのトロッコ 

舟で運んだ荷物をトロッコに載せて奥の倉庫に運んでいたのかな?と思ったが、よく見たら石畳が単に割れているだけで錯覚したようにも思えるので違うかも。佐原にはトロッコ軌道残っていないのかな~

ホーロー看板

現在は佃煮屋「いかだ焼本舗正上」として営業中。ホームページに詳しい歴史が書いてあるが、昭和33年に佃煮製造販売を開始したそうだ。

古くから家伝として造られていた「わかさぎいかだ焼き」を看板商品に。

現在も営業中

「いかだ焼本舗正上」の店舗は左側。ホームページからはオンラインショッピングで佃煮を購入することができる。「いかだ焼き」気になりますね~

現店舗

店舗と蔵の間にある石造りの門。中央には”正上”の文字入り。

石造りの門が良い
いかだ焼き本舗

皆さんもぜひ足を運んでみて下さい!

 

(訪問日:2021年8月)