「与倉屋大土蔵」佐原の歴史と共に。明治築、300畳の旧醤油蔵 -佐原22
細い路地を進んだ角にある「与倉屋大土蔵」。灰色の巨大な蔵がつづく風景から、佐原の繁栄の歴史を肌で感じることができるような気がする。建物から見える歴史についてまとめたい。
与倉屋大土蔵
千葉県香取市佐原1730。伊能忠敬記念館の南、細い路地の角に並ぶ巨大な蔵。以前たまたま通りかかった時、この蔵の景観を見て一目惚れした。
文化財登録などはされていないようだが、こんなに大きな蔵はあまり見たことが無い。写真に納まらないほど大きく、『進撃の巨人』の壁のような存在感…
私がこの蔵が「与倉屋大土蔵」と呼ばれるものであることを知ったのは、随分後のことだった。現在はGoogleマップにも記載されている。
島田七夫著『佐原の歴史散歩』によると、与倉屋菅井与左衛門さんの旧醤油蔵と書いてある。明治22年、醸造蔵として建造された。
与倉屋は江戸時代後期から明治6年頃までは酒造業、その後醤油醸造業を営んでいた。昭和初期に醤油醸造はやめ、戦時中は兵器庫としても使われていたとか…戦後は国の米蔵として激動の時代を生き抜いた。
中庭には醤油工場時代の煉瓦造りの四角の煙突(高さ10m)が残っていると本には書いてある。後日確認したら残っていた!
蔵の裏手にある菅井家の母屋は、明治初年築。
「そろそろ遺産・がやがや系」
2017年、産経フォトの記事『【なかなか遺産】梁の迷路広がる巨大空間 千葉・香取市「与倉屋大土蔵」』によると、蔵を活用したイベントなども行われていたようだ。蔵内は500畳を超える空間。縦横無尽に組み合わされた木材の写真は見事である。
平成5年頃に米蔵としての役目を終え、現在は倉庫業を営んでいる。一般公開はされていないそうだが、イベントなどが開催されたら見に行きたい。
※なかなか遺産」まであと一歩の「そろそろ遺産」。「がやがや系」は、安全性を確保するために複雑な構造になった建物。
北川商店
大土蔵の向かいにある建物は、沼田製麺の建物。
大土蔵ではないが、並びに古そうな蔵が残っている。
今回は時間が無くて歩けなかったが、菅井家母屋が面している「下新町通り」も落ち着いた風情のある街並み。
2年前の写真に写っていたのは、「北川のあずき生あん」の看板が残る土蔵。
説明看板には「北川商店」と書いてある。写真がぼけていて字が見えないのでまた今度伺おう。
現在、この辺りは「佐原商家町ホテルNIPPONIA」として新たに生まれ変わっている。
テレビなどでもよく取り上げられており人気があるようだが、一泊料金がお高いのでまだ手を出せずにいる…記念日とかに泊まってみたい。
この建物は元製綿業を営んでいた清宮家。反対が側も同じく「清宮利右衛門邸」。江戸時代から明治にかけて穀物商、質商を営んでいた名家の建物に宿泊できるのは素敵だな~
(訪問日:2021年8月)
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