「旧川崎銀行佐原支店」大正3年築、現在は「佐原町並み交流館」に -佐原⑷

「旧川崎銀行佐原支店」大正3年築、現在は「佐原町並み交流館」に -佐原⑷

佐原の「旧川崎銀行佐原支店」。大正3年に建設されたレンガ造りの目を引く銀行建築!現在は「佐原町並み交流館」として利用されており、かつての遺構も見学することができます。

旧川崎銀行佐原支店

千葉県香取市イ1903 -1。県道55号に面した「旧川崎銀行佐原支店」。

旧川崎銀行佐原支店

千葉県のホームページでは三菱銀行佐原支店旧本館」として紹介されている。県指定有形文化財。

の建物は、大正3年(1914)に川崎銀行佐原支店として建設されたものである。当時の建築設計図には、清水満之助本店(現在の清水建設)技術部の設計になることが記されている。昭和18年(1943)に川崎銀行は三菱銀行と合併し、三菱銀行佐原支店となったが、平成元年(1989)に銀行の新店舗が完成したことに伴い、この旧店舗は香取市に寄贈されて今日に至る。

大正3年築。現在の清水建設によって設計された。平成元年(1989)に新店舗が完成し、佐原三菱館として保存へ。

佐原三菱館

物は煉瓦造2階建て、木骨銅板葺屋根の明治時代の洋風レンガ建築の流れをくんでいる。内部は吹き抜けで、2階周囲には回廊がある。正面右隅に造られた入口はルネサンス風の外観で、この区画の頂上にはドームが付けられており、建物全体の景観にアクセントが与えられている。全体のデザインは、ルネサンス様式で、レンガと花崗岩で構成される特徴的な外観の建物である。

煉瓦造り2階建て。千葉県内の各地で銀行建築を見ているが、ここまで豪華なレンガ造りの銀行建築は残っていない。→【銀行建築】千葉県に残る銀行建築の一覧 ー近代建築

東京ドームを思わせるドームが美しい。

ドーム付き

私が訪れた時は工事中だったが、東日本大震災の被害を受けて保存修理工事の最中だとか…工事完了予定は令和4年(2022)とのことなので、完成が楽しみです!

追記:2022年4月から一般公開されています。

工事中だけど、隣の施設では川崎銀行佐原支店の復原写真なども展示されていました。次の項で紹介します。

川崎銀行佐原支店の復原写真
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佐原三菱館を見学

川崎銀行は、昭和18年(1943)に三菱銀行と合併し、川崎銀行佐原支店から三菱銀行佐原支店へ。現在は市に寄贈され、観光案内所として利用されている。現在は工事中のため閉館中。

川崎銀行佐原支店の模型

隣接する、佐原町並み交流館に三菱館についての展示がある。

三菱館について

奥にはかつて銀行時代に使われていた金庫室も!銀行の金庫室に入る機会はないのでドキドキ。

金庫室

佐原町並み交流館の建物は、平成15年(2003)まで「東京三菱銀行佐原支店」として使われていた建物だそうで金庫はその名残。

金庫室について
営業当時の点検表

大正3年12月、川崎銀行佐原支店開館時に配布された挨拶状。開館時の写真付きのポストカードになっている。

挨拶状

こちらは、開店百周年記念の手ぬぐい?明治13年、1880年開店とのことなので1980年に作成したもの。

開店百周年記念の手ぬぐい

旧川崎銀行佐原支店の建物が完成する前の写真。骨組みが露わになっていて逆に貴重な写真。

旧川崎銀行佐原支店の完成前

また、当時使われていたと思われる扇風機や黒電話なども。

昭和のコレクション

今年、佐原三菱館の工事が終了する予定なので、今度は館内もしっかりと見学してみたい。物心ついた時には既に震災の影響で閉館となっていた記憶しかない…

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佐原町並み交流館にてお話を伺う

そして、佐原町並み交流館のスタッフの方と仲良くなり、佐原の町並みについて色々と教えていただきました。「NPO法人小野川と佐原の町並みを考える会」が古い街並みの保存と再生のための活動を中心に観光案内も行っている。Twitterアカウントも更新中→@kouryukan

骨董市の情報も発信されている。

佐原では東日本大震災による被害が大きく、1つの建物の瓦を補修するのに総額1億円以上かかってしまう見積もりが出たほど大きな被害だったそうだ。その時の貴重な映像がYouTubeにアップされているとのことで紹介して頂いた。建物が崩壊する瞬間を捉えた貴重な映像…

お話を聞いていて初めて知ったのだが、アメリカンエクスプレスからの融資を受け、佐原では建物の保存修理を行う事ができたのだという。

ビフォーアフター

現在美しい佐原の町並みを見ることができる背景には多大な方々の努力がある。感謝しつつ今自分にできることに励んでいきたいと改めて思った。

電車の本数が少ないので車で訪れる人が多いが、最近は家族連れやカップル、小学生の学校の遠足などでの見学も多いという。他にも、銭湯が4軒、映画館が3軒存在したこと、舟の仕事の方々が宿泊する旅館の裏通りに色街があったことなど詳しいお話を伺った。

例年3月に佐原の文化財の建物の一般公開が行われているらしいが、今年は参加できなかったのでまた来年の開催を待ちたいと思います。https://sawara-machinami.com/archives/6020

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佐原の町並みの模型展示

また、館内には橋本京子さんによる佐原の町並みの模型が展示されていました。

説明看板

銭湯「金平」の模型は普段見ることができない浴室も覗けて興味深い…!

金平湯
銭湯を真上から
昔ながらの浴槽

現在佐原には2軒の銭湯がある。松の湯と金平湯。まだ私は入ったことが無いけどどちらも昔の風情ある銭湯。今年こそ入るぞ~!

佐原の銭湯
模型展示

木の下旅館。現在は旅館ではないが、2階には蒲団が敷かれ、旅館時代の雰囲気を知る事ができる。

木の下旅館 模型
2階には客室も
泊まってみたかった~

昔の電話室も!これは実物を見てみたいな~

電話室もある

忠敬橋にある中村屋商店。

中村屋商店

また、佐原の建物を一つ一つ写した写真も展示されている。

街並みの写真

こちらの柱時計は「東京鉄道郵便局」によって寄贈されたものと描かれている。東京鉄道郵便局って初めて聞いたな~

東京鉄道郵便局

東京都千代田区丸の内にかつて存在した郵便局で、郵便局の種類の一つ。昭和61年に廃止になったので私は当然知る由もない。

 

(訪問日:2021年8月)

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