佐原・看板建築揃いの上仲町の街並みを堪能!「蜷川家具店」 -佐原⑶

佐原・看板建築揃いの上仲町の街並みを堪能!「蜷川家具店」 -佐原⑶

今回は、佐原の上仲町を中心に探索!美しい看板建築など見応えのある近代建築が上仲町にはたくさん残っています!いよいよ佐原の中心街へ。

佐原・上仲町

前回の記事に引き続き、県道55号線を東から西へ歩いている。今回は、上仲町。その範囲は、佐原上仲町郵便局東側の交差点から佐原町並み交流館西の交差点まで。

昭和5年、松井天山によって描かれた「佐原町鳥瞰図」には途切れることなくびっしりと個人商店が並んでいる。

佐原・上仲町

左手の木造建築は、昭和62年の住宅地図で「佐原楽器」とあるので楽器店だったのかな?2012年のストリートビューでは建物脇に楽器店の看板も残っていた。

佐原楽器

その隣の赤い建物は「吉原種苗園」。

吉原種苗園

向かい側は「佐原上仲町郵便局」。郵便局は昭和5年の時に既に存在する。

左、佐原上仲町郵便局

また、現在は何も残っていないが、上仲町の南側の裏通りに「水郷一味噌製造元」という建物が鳥瞰図に描かれている。

味噌の醸造工場だったのだろうか。佐原ではこうした醸造所が各地に存在したのであろう。

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看板建築「小倉洋品店」

大正時代竣工の看板建築「小倉洋品店」。白い外観はまるで西洋の洋館みたい…

小倉洋品店

以前はギャラリーとして使われていたが、現在2021年8月時点では店内が暗かった。

外観

2012年のストリートビュー

今と全然違ってびっくり!アートギャラリー「酔夢館」の看板が見える。
壁も長年の汚れで黄色くなっており、現在はまるで別人のような白さだ…

2021年8月

また、裏側を見ると土蔵のような造りが見える。表側は真っ白な洋風、少し裏を覗くと純和風で趣深い。

看板建築ですね~

また、交流館に展示されていた創業当時の写真。

創業当時の写真

小倉洋品店の文字が壁にたくさん描かれ、現在の〇に上のマークは見当たらない。

建物を横から

また、2階の店頭にある大きな旗や立体的な看板が目を引く。佐原中のオシャレな方々がこのお店に集ったに違いない。

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看板建築「サクマ薬局本店」

そして斜め向かいにあるのが「サクマ薬局本店」。現在も営業中の老舗薬局店。

サクマ薬局本店

これも立派な看板建築!昭和8年(1933)竣工の木造2階建て。

真白なファザードの上に「方林堂」と描かれているが、旧店名のようだ。

旧方林堂

アーチ型の三つの窓と剱のような尖ったデザインが革新的。交流館に展示されている創業時の写真。

創業時の写真

旧店名以外にも、サクマや薬局の文字がファザードに描かれている。また、2階のアーチ状の窓も色ガラスだったのかな…オシャレなデザインだ。

詳しくは宮下潤也さんの『看板建築図鑑』に掲載されているので合わせてぜひ。

 

サクマ薬局本店の隣にあった佐原信用金庫は解体、向かいの洋品店「徳利」も駐車場に。角に残っている木造2階建ては鳥瞰図を見ると「磯長油店」と書いてある。

磯長油店
忠敬通りの街灯
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文明堂書店

佐原信用金庫の隣、クリーム色の光沢のある建物は「蝶しや化粧品店」だったが閉店している。

右、蝶しや化粧品店

化粧品店の隣の小さな木造2階建ては、「文明堂」と看板がある。昭和5年の鳥瞰図にも載っている「文明堂書店」だろう。現在は閉まっている。

文明堂書店

そして、小さいけれど金網看板が残っているのが嬉しい!!千葉県では少ないんですよね~

金網看板

右側が文明堂の創業時の写真。書籍や文具、学校洋品を扱っていた。

店頭には大きく「キング」の広告の旗がたなびいている。『キング』は戦前の講談社の看板雑誌で、1924~1957年に廃刊となった。今よりも建物やお店の個性溢れる広告が輝き、建物が活き活きとしていた時代だなと思う。

向かいに残る蔵
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看板建築「蜷川家具店」

佐原で個人的に一番好きな看板建築が「蜷川家具店」。蜷川(にながわ)と読む。

蜷川家具店

昭和8年(19933)頃竣工の木造2階建て。横から見ると奥が木造建築で、看板建築であることが丸わかり!

佐原を代表する看板建築

ライトグレーのモルタル仕上げ。真っ白ではないからこそ、自然の光で浮き上がる彫刻のような佇まい。まるで芸術作品。ずっと見ていたい。

2階部分

また、木製の立体的な文字が印象的。窓ガラスも当時のままのような気がする。

立体文字と窓

そして上部の意匠も見事。友達は砂糖菓子のように美しいと話していた。一瞬の狂いもない美しい建造物。これが100年近く前に建てられたものだとはにわかには信じがたい。

交流館に展示されている創業時の写真。

創業時の写真

現在とほぼ変わらないのがまたすごい…他の建物は変わっているところも多いというのに。

強いて言えば、家具店の文字の上に丸い照明がついていた。

また、景観を崩さないように消火器もレトロな雰囲気に。木造建築が多い地域なので火災には凄く気を遣っているのだと思う。

消火器

どの看板建築がお好きだったでしょうか?次回は川沿いの本橋本へ。

(訪問日:2021年8月)

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