「三菱銀行佐原支店旧本館(現:佐原三菱館)」創業時の姿一般公開開始 -佐原33

三菱銀行佐原支店旧本館(現:佐原三菱館)が、保存修理工事を終えて一般公開が始まったと聞き駆け付けた。長年工事していたので久しぶりの見学となって嬉しい。
佐原のランドマーク「佐原三菱館」へ
千葉県香取市イ。ゴールデンウイークの佐原旅。昨今のレトロブームと相まって佐原の人気も高まっている様子。

お昼は小堀屋本店で前回の記事にて。忠敬橋を渡って東側、今回の佐原三菱館へと向かう。

忠敬橋からすぐ、煉瓦造りの銀行建築が見えてきた!佐原三菱館と呼ばれる三菱銀行佐原支店旧本館だ。

角のドームが印象的。東京駅を彷彿とさせる佐原のランドマークだ。しかし、東日本大震災の影響によって閉館、保存修理工事が行われて令和4年4月9日から一般公開された。
かつての入り口は閉ざされているが現在も「川崎銀行佐原支店」。

この日は一般公開から1か月。しばらく工事中だったため、久しぶりに全貌を見ることが出来て感無量だった。
大正3年築。千葉県内でも有数の洋風建築として知られているそうだ。
佐原三菱館は、旧川崎銀行佐原支店の建物として大正3年(1914年)に清水建設の前身清水組によって建てられました。屋根は木骨・銅版葺で、一部にドーム形式を用いた明治洋風レンガ建築です。レンガはイギリスから輸入したもので、内部は吹き抜けになっており2階周囲に回廊があります。「重要伝統的建造物群保存地区」の一画にあります。平成3年(1991年)に千葉県の有形文化財に指定された三菱館の建物は、佐原市(現・香取市)に寄贈され、現在は館内で企画展を開催するなど、観光施設としても活用しています。(まるごとeちば!より)
以前、千葉県に残る銀行建築をまとめたことがある。→【銀行建築】千葉県に残る銀行建築の一覧 ー近代建築
雰囲気として近いのは、佐倉市の旧川崎銀行佐倉支店(現:佐倉市立美術館エントランスホール)かな。
川崎銀行は三菱銀行と合併し、三菱銀行佐原支店として使用。レンガ造りの佐原三菱館の隣に新館が建てられたのが1989年。旧館の解体の話も上がったそうだが保存を望む市民の声が強かったという。
当時の金庫室もかつての新館(佐原町並み交流館)の奥に残っている。無料で見学が可能。
保存修理工事は、設計・施工を手掛けた清水建設。100年の時を超えて再び手がかけられることに。
シミズが手掛けた歴史的建造物 佐原三菱館(旧 川崎銀行佐原支店)
保存修理完了!一般公開開始の佐原三菱館
交流館の入り口から佐原三菱館の内部へ。

カウンターも復元されており銀行の雰囲気を感じる内部。奥が客だまりで両方から見学が可能となっている。
二階は吹き抜けになっており螺旋階段はあるものの廊下が回っているのみ。


暖炉も!国産の大理石製のマントルピースらしい。


屋根部分は近くに展示されていた模型から見学。

千葉県内でも見学が出来る銀行建築は数少なく、こうして保存修理工事によって新たに次の時代へと受け継がれていくことに感謝でいっぱいです。
(訪問日:2022年4月)
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明里さんのレポートにある、2階回廊にあがるための「らせん階段」、あれってふつうは裏手の見えない場所にありますよね…(体育館でも2階にあがるための急な階段は、部隊わきの暗い場所にありました)?
それを、銀行に来たお客さんから見える位置に、ああやって据え付けるって、
設計者の遊び心だったのか…。
それにしても、日本人は器用ですね。←器用と言うか、そこの言い方がむずかしい。
海外で、【110年】ぐらい前に建てられた日本家屋が残っているってことないですもん…。たとえば、1914年に、パリで「新たな銀行庁舎」を建てるのに、フランス人が日本の寝殿造りを真似して木造家屋をたてて、その寝殿造り銀行がながく使われていた…なんて話を、わたしたちは聞きません。
それを考えると、明治~大正期に建てられた「洋館」て、すごいことなんですよね。←「器用」以上に、それだけ「西洋コンプレックス」が、佐原市まで蔓延していた?