佐原にかつて存在した映画館「坂本座」。香取市最後の映画館 -佐原29
かつて佐原に存在した映画館「坂本座」。その歴史と面影を探してミニ探索しました。
もし当時行ったことがる方がいましたらコメントください~
佐原「坂本座」について
佐原にはかつて4館の映画館が存在したそう。今回まとめるのは、千葉県香取市佐原イのチャンカ通り沿いに存在した映画館「坂本座」。奥に見える東薫酒造の煙突の手前に坂本座があった。
坂本座については検索すると写真が沢山出てくる。→https://monolith-net.co.jp/okuwaki/yuuji/yuuji05_01.html
消えた映画館の記憶によると、香取市最後の映画館だったそう。
開館年 : 1913年
閉館年 : 2004年頃2002年の映画館名簿では経営会社が有限会社坂本座、経営者・支配人ともに坂本仁吾、鉄筋造3階、130席、邦画・洋画を上映。
1930年に描かれた松井天山の鳥瞰図にも載っている老舗の映画館。1913年というと大正2年。映画館というよりも芝居小屋から始まったのかな。建物は鉄筋造りなので後に改築されたものと思われる。
東宝、松竹、オデオン座、坂本座… 佐原にあった映画館は現在はどれも跡形もなく消えている。
佐原の映画館の面影を探して
坂本座があったのは「慈眼寺」からほど近い、西側の通りに面している今は空き地の場所。地図上では「チャンカ通り」と呼ばれている。チャンカ通りについては以前の記事で詳しくまとめた。→佐原・花街の歴史。赤線の面影残る裏通り、チャンカ通りと「二業組合」 -佐原⑿
昔から一本裏道であるチャンカ通りは繁華街として賑わっていたようで、映画館がそのチャンカ通り沿いに存在したのも納得する。
そして、映画館「坂本座」の跡地を訪ねてみよう。ラーメン店「皐月」から「慈眼寺」の墓地を左手に進み、右手にある赤い屋根の小屋が目印。
石畳の路地の奥、現在は塀が建っておりその奥が駐車場になっているが、駐車場の場所に坂本座が存在した。右手にある赤い屋根の小屋は、映画館に一番近い飲食店だったのだろう。左の蔵と右の小屋は20年前と変わらない景色…
また、塀の反対側の駐車場も見てみる。
そして駐車場の隅に!坂本座の遺構が!
2000年頃の写真を見ると、この坂本座の看板がチャンカ通りに面した街灯についていたようだ。2つとも廃棄されずに20年残っていたのは感慨深い… 資料として保存してほしい。
そして余談、坂本座跡地の並びにある高橋酒店。チャンカ通り=茶花通りと表示あり。
この時は閉まっていたが、のちに改装して現在は角打ちできるお店に。私も佐原のお祭りの時に訪れたが居心地が良くて楽しかったなあ。
そしてその近くには銭湯や酒蔵など。佐原の映画館について知っている方は限られると思いますが、坂本座の看板が残っていたのが嬉しくて記事にしました!
(訪問日:2022年3月)
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坂本座では初めて映画に触れた「東映漫画祭り」、「宇宙戦艦ヤマト」、その後も話題の映画をいくつも観ました。購買で今は無くなってしまった「山村パン」のクリームパンを買って、かじりながら夢中で映画を観たものです。佐原では東京や千葉に比べて興業が数か月遅れていました。いち早く映画を観るために都心に足を運ぶようになった高校時代も、その遅れての興行でもう一度見直すために坂本座(やオデオン座)には足繁く通いました。今では映画館はシネマコンプレックスとして、音響も座席も良質になりましたが、雨の日にトイレが匂う昔ながらの映画館も私は好きですね。