笹川の商店街。「天保水滸伝」の舞台となった利根川川岸の港として賑わった街 -笹川⑵

笹川。浪曲や講談で有名な「天保水滸伝」の舞台として、そして利根川川岸沿いの船着き場として栄えた笹川には現在も古き街並みが残っている。そして老舗旅館も2軒、営業中なのでいつか宿泊してみたい。
天保水滸伝遺品館&諏訪大神
千葉県香取郡東庄町笹川。前回のつづきで、成田線「笹川駅」北口から駅前通りを歩いている。

稲荷神社境内の公園へ。
コンクリート製の遊具、今は撤去されている場所も多くて珍しいなと思った。

隣接する、諏訪大神の境内に「天保水滸伝遺品館」と書かれた建物があった。

小さな資料館だが、講談では、有名な演目の一つ「天保水滸伝」を学ぶことができるらしく、入ってみたかったのだが残念ながら訪れる時間が遅く閉まっていた。
入館料は一人200円。
千葉県の動画「ちばコレ」に「天保水滸伝の里めぐり 東庄町・旭市」の動画がアップされている。
浪曲や講談で有名な「天保水滸伝」は、江戸末期の千葉県の東総地域を舞台にした、二人の侠客の勢力争いを描いた物語です。主人公の笹川繁蔵と飯岡助五郎は、実在した博徒の親分で、現在の東庄町笹川と旭市飯岡、それぞれの地で子分を抱えて勢力を誇っていました。
「天保水滸伝」の名場面「大利根河原の決闘」は、天保15年、博徒でありながら幕府の十手持ちでもあった助五郎が多数の子分たちをひきつれ、繁蔵一派に斬り込んだという史実に基づいています。
地元の名産品やお酒なども購入できるらしいのでぜひ立ち寄ってみてほしい。壁に看板もあって分かりやすい。

笹川は老舗旅館もあるのでまた今度宿泊して見学しようと計画中…

鳥居を出て北へ伸びる通りが商店街になっている。隣の喫茶店「クイーン」はレトロな雰囲気らしいのでいつか入りたい!


笹川の商店街
江戸時代、江戸と地方を結ぶ重要な水運だった利根川沿いには銚子や佐原、そして東庄町の笹川も港として栄えていた。その繁栄の面影が現在も商店街に残っている。

駅前ではなく、駅から北へ歩いた川に近い通りがメインの商店街だったのだ。
特に期待もせずに歩いていたのが恥ずかしいくらい、ひっそりと趣深い商店街が残っていて感動した。

笹川の町名の由来は、笹川川岸から。明治時代に笹川村が発足し、明治40年から昭和30年まで笹川町だったが、橘村、東城村、神代村と合併し、現在の東庄町に。
実は笹川は昭和初期に描かれた松井天山の鳥瞰図にも描かれているほど、昔は賑わっていたのだ。図書館でコピーできていないので、今回は鳥瞰図を見ないで記事にするが、いずれ手に入れたら追記したい。

洋品店「イシイ」の向かい側に建つ商家。こんなに美しい建物が残っているとは思っていなかったので思わず声が出た。

左手の門のところには、電話5番のホーロー看板も!5番ということは、かなりの名家ではないだろうか…

店舗の入り口両サイドには土台が石造りのショーケース。

屋根が全体的に覆われているが、元々はどのような姿だったのだろう。
しかもレンガ壁まで…!明治期頃に建てられたものだろうか。文化財登録などはされておらず、ひっそりと残っている。

向かいでは平山薬局が営業中。

惣菜店の「浅羽食品」のフライが美味しいらしい。

向かいの高橋食堂も営業中。今度はここでお昼ご飯を食べたい!笹川の商店街、営業中のお店が比較的多くて嬉しい。

ポイントカードがあるようだ。
石井書店も営業中。グーグルストリートビューが2019年しかないので、昔の比較ができないのは残念…

右、やまと商店。左、油屋商店。

ほしの床屋は、動物のイラストが描かれていて可愛い。

一番端にあった木造平屋は半壊していたが歴史を感じる建物。どんなお店だったのだろう~鳥瞰図が欲しい。
平屋の向かいはガソリンスタンド。

商店街にガソリンスタンドがあるくらいなので、この商店街は現在も地元の方々に利用されているのだろう。喫茶店、食堂、惣菜店…入りたいお店があったので再訪を決意。

土善旅館
商店街から北側は住宅街になっている。

住宅街の細い道を歩いていると、土善旅館があった。どうやら裏口らしい。

土善(どぜん)旅館。

明治・大正・昭和初期の面影を残す料理旅館と紹介されている。
「るるぶ東庄」のPDFを見ると、
明治3年(1870)創業の老舗旅館。手入れの行き.届いた庭が美しく、地元産の食材を作った料理も楽しみ。山口県から取り寄せた光明石の大浴場は温泉波と評判
創業150年を超える老舗旅館が笹川で現役とは嬉しい!建物は新しそうだが泊まってみたい。

また、ホームページを見ると、原稿合宿プランなど創作をする方々に優しいプランがあり若い人にも人気な旅館らしく口コミも意外と多くてびっくり。

外観は古そうかなと思っていたので先進的なプランがあって凄いなと思った。近々泊りに行こう…
土善旅館から川沿いを歩いていると、個人宅だが大きな門のある邸宅を発見。

しかも、電話番号33番…個人宅で電話を持っているって地主の方かな?

利根川沿いの港として栄えたことを感じる立派な邸宅が川沿いに。お城かと思ってしまったけどこれも個人宅なのですよね…

鯉屋旅館
さらに、笹川漁港の隣にあるのが「鯉屋旅館」。

日観連(日本観光連盟)の看板も。

全室利根川の雄大な景色を見ることができる割烹旅館。こちらは創業年が分からなかったが、同じ明治期だと思う。

1949年発行『全国市町村便覧』(全国教育図書)の「全国旅館等級別一覧表」に載っている。(ランク1が最高)
笹川町
土善 4
鯉屋 4
青柳 4
他にも青柳旅館があったらしいが現在は見当たらない。
漁港がすぐ隣。老舗旅館が2軒もあるので、どちらの旅館に宿泊するか迷ってしまいますね~旅館の歴史を伺いたいな。

そして旅館の周辺で気になった建物。元鮮魚店とかかな?

裏通り、平手造酒ゆかりの松
裏通りを通り、笹川駅へと向かう。途中、祠や大きな板碑があったが撮影するのを忘れた。
そして住宅街に一軒だけある木造の店舗。

やまよ衣奈商店。お茶屋さんだったのだろうか。

また、笹川商工会員のホーロー看板もあった。この看板はこのお店以外では見かけなかった。

また、近くの八幡神社には「天保水滸伝」に登場する「平手造酒」がこの場所にある松の木に寄りかかっていたというエピソードが残る。


県道沿い、笹川駅方面へ
先ほどの商店街を通って、笹川駅へ帰る途中。諏訪大神の鳥居の前のレトロな美容室。


東庄交番前の角、手芸用品などを扱っていた中太屋商店はネットで覆われていた。

県道266号を通って笹川駅へ。左手にはお食事処青柳亭。


県道沿いは商店街といった雰囲気はないが、古い建物や蔵も少し残っている。
古民家に残る電話番号16番。
病院らしき建物は閉業してしまったのか静かだ。

笹川、正直舐めてましたすみません…
こんなに歴史を感じる街だとは…
また、近隣の方々に伺うと、笹川には映画館があったという話もあったので近隣からも集う街だったのだろう。今回は1時間の探索だったので、今度は旅館に宿泊してじっくり歩きたい。
(訪問日:2021年7月)
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