裏新町から宮小路。文化財の建物から刀の博物館 -佐倉⑼
佐倉探索、とりあえず今回で最後です!今回は、裏新町から、宮小路というかなり渋い道の歴史を探る回。
佐倉は城下町として発展し、現在も観光地として名高いが、裏通りもディープなスポットがたくさん!探索していて飽きない町でした。
共同井戸
前回は裏新町の通りを東から西へ進み、途中旅館の跡地なども発見。今回はその続きから。
共同井戸が史跡として紹介されている。「新町の釣瓶式井戸」。江戸時代から町の人々が共同で使う井戸として大切に使われていたという。
深さは約20m。ここを含めて辺りには6か所の井戸があったらしい。
この井戸があるのは、裏新町と新町の境の路地。ちなみに釣瓶式井戸は珍しいタイプらしい。
近くにはコンクリートゴミ箱も。そう言えば、成田ではよく見かけたけど、佐倉ではコンクリートゴミ箱が全然なかった。
新町の裏通りを進む。根本理容は、昭和48年の住宅地図でも確認できる。
片岡燃料店も。現在は錆びてしまった看板に品川煉炭という文字がかろうじて見える。ちょうどこのあたりは佐倉市美術館の裏側。
山口家住宅
観光スポットにもなっている「山口家住宅」。佐倉市美術館の横にある紙屋を営んでいたという建物。佐倉市の登録有形文化財。
袖蔵は明治29年(1896年)。袖蔵は意匠に優れており、正面に水切りが4段。入り口の格子の引き戸には、敷居の傾斜により自動的に閉まるくぐり戸があるなど、当時の大工の工夫が見られるのだとか。
土蔵造りの店舗と袖蔵の屋根が一体になっているのは珍しい造り。
昭和3年の鳥瞰図では、山口屋文具店。昭和48年の住宅地図などを見ると、ユニオンジャック、スナック山口とある…最近はスナックだったのかな?スナックなはずないか。おかしいな…
塚本美術館
山口家住宅の正面に広がる長い白壁。
かなり奥行もあり、敷地面積は広大。
昭和48年の住宅地図では「塚本総業」という広大な敷地の中に、塚本総業佐倉出張所、塚本医院などがあったらしい。
しかも、「塚本美術館」なるものまである!
なんと、国内有数の収蔵数を誇る日本刀専門のユニークな博物館だとか。佐倉出身の実業家、故塚本素山氏のコレクション刀身400点、鞘250点の中から3か月ごとに展示しているらしい。
なかなか穴場なスポットではないだろうか。刀好きな方は一度寄るべし。
開館時間:10時~16時
休館日:土曜日、日曜日、月曜日、祝日、年末年始
入館料:無料
交差点へ
そのまま西へ進むと、交差点へ出る。「売物件」と出ている下の建物の佇まいが素敵だな~と思っていたら、
昭和48年の住宅地図で「加納屋旅館」となっていた。やはり。昭和3年の鳥瞰図でも確認できたので明治くらいから営業していたのかもしれない。売り物件になっているのが残念。しかし、場所が悪いせいか買い手が見つからず、お化け屋敷と地元の方に言われているそうだ。
旧平井家住宅
登録有形文化財に指定されている旧平井家住宅。明治中期から昭和初期の建築が残っている。
展示は、佐倉の秋祭りの期間中は一般公開されているらしい。
緑色のネットがかかっているのは災害対策だろうか…
昭和3年の鳥瞰図では、「平井酒舗」として載っている。とても貴重な文化財。
宮小路
佐倉城の門から、麻賀多神社にかけてのあたりが「宮小路」と呼ばれ、門の近くには藩校成徳書院があるなど現在とは違った雰囲気が広がっていた。
麻賀多神社の前にも飲食店の2階が青線みたいな場所だったのではないかと伺ったので、このあたりの建物が怪しい。
交差点の近くには、ラーメン屋だったような建物。「来来」とある。
2階は、歌謡スタジオらしく、昭和感溢れるポスターがずらり。
その隣も、飲食店だったのではと思い調べたら「十八番」というお店のようだ。中華料理屋だろうか?
2020年10月中旬。取り壊し工事が始まっていた。
手前の青いスペイン瓦の建物は奥がとても長いのだ。旅館だったのかと思うくらいなんだか不思議。
佐倉養成所跡は、佐倉半の西洋式病院。慶応3年(1867年)に開業し、翌年に閉鎖されたものの、佐倉半の西洋医学の発展の歴史において貴重なものであるという。
新町へ
宮小路から引き返し、旧平井家住宅の前から新町へ。
佐倉町道路元標は、市町村を通る主要な道路の交差点に設置されたものであり、この道は佐倉町の中心であったことを示す。
成田街道を歩いてきた人は、ここで新道通りへと曲がる。
右手は東京堂カバン店。夕方だったため、シャッターが降りていた。
木造2階建ての建物は、一体なんのお店だったのだろうか?
丸いランプが残っていた。
蔵六餅本舗は、内部参観ができるらしい。午前10時~16時まで。
当家伝承古美術展示とある。次の機会に行ってみたい。
三谷呉服店は、弥勒町の遊廓の近くにあった三谷と同じ。
佐倉は小さな博物館など見学する場所が多くて1日では周り切れなそうだ。それくらい魅力的な街である佐倉。国立歴史民俗博物館と合わせて城下町佐倉の探索も楽しんで欲しい。
歴博で大正・昭和の世界観に浸ってきた!国立歴史民俗博物館 -佐倉⑴
(訪問日:2020年7月)
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