堀田邸(国重要文化財)最後の佐倉藩主の邸宅&庭園、特別公開 -佐倉21
佐倉の国指定重要文化財・名勝である「旧堀田邸(旧堀田家住宅)」を見学してきました。様々な映画やドラマのロケ地としても有名ですね!
最後の佐倉藩主・堀田正倫が明治時代に造営した邸宅&庭園は現在一般公開され、旧大名家の邸宅を堪能することができます。
旧堀田邸(旧堀田家住宅)の歴史
千葉県佐倉市。文化財や近代建築が多く残る佐倉市の中でもひときわ有名な「旧堀田邸」。あまりにも有名な建築なので私がご紹介するまでもない気がしますが、改めてご紹介させてください!
旧堀田邸は、最後の佐倉藩主・堀田正倫が、東京深川区深川佐賀町から佐倉に移住するため、明治23年に庭園とともに新しく造営した純和風木造住宅。
旧堀田邸は、佐倉市の市街地に隣接する高台にあります。佐倉藩最後の藩主堀田正倫(まさとも)が明治時代に築いた邸宅です。明治44年(1911年)の東宮殿下(後の大正天皇)の来訪に伴い主屋に湯殿が増築されました。現在では主屋・冠木門・離れ屋・土蔵・門番小屋といった建物と庭園が残されています。庭園は県下でも有数な名園とされ、さくら庭園として市民の憩いの場となっています。建物は、国の重要文化財に指定されており、庭園は、千葉県指定の名勝となっています。(まるごとeちば!より)
展示されているジオラマからも分かるように往時の堀田邸は、周辺の堀田家農地試験場などを含め約3万坪の敷地があり、現在はその3分の1ほどの広さらしい。
風光明媚な高台に位置し、天気が良い日は二階から富士山が見えたとか。
昭和53年、今から40年ほど前の写真を見ると主屋の奥に石蔵や地震の間、女中部屋など今は無き建築も。
佐倉市ホームページによると、平成18年に7棟が国重要文化財に指定されている。通常一般公開しているが、一部は特別公開日(年に数回)のみ見学可能。詳しくは佐倉市ホームページをご覧ください!
邸宅部分の玄関棟・座敷棟・居間棟・書斎棟・湯殿および土蔵、門番所の7棟が、「旧堀田家住宅」として平成18年7月5日に国の重要文化財(建造物)に指定されています。
現在、玄関棟・座敷棟・居間棟1階・湯殿および庭園を一般公開しております。書斎棟・居間棟2階・門番所は、年数回の特別公開日に見学いただけます。(佐倉市ホームページより)
また、庭園は「旧堀田正倫庭園」として、平成27年3月10日に国の名勝に指定。明治時代に活躍した庭師・珍珠園の伊藤彦右衛門が手掛けている。
建築だけでなく明治期の庭園も見どころ!都市公園として常時公開されており市民の憩いの場になっている。素晴らしい。
そして、旧堀田邸には「堀田家農事試験場」が併設されていた話。堀田正倫はこの地に邸宅を構え、この地で国の基となる事業をおこなおうとしていた。
明治30年に創設された「堀田家農事試験場」は、県内外の農民に農業技術を教え、種苗・種禽・種卵を配布するなど、明治期の千葉県を代表する農業研究機関であった。大正15年に県農事試験場の運営が軌道に乗るとその役目を終え閉場となったそうだが、前回の記事の「佐倉順天堂」に加え、医学、農業ともに佐倉が先進的な街だったことが窺える。
その後の堀田邸は、結核対策機関「佐倉日産厚生園」が所有し、1962年に一般病院となったそう。前述の1983年の写真に厚生園の長細い建物が載っている。1975年に売却計画が持ち上がったが、市民の約3分の1の署名が集まるなど市民の関心は高く、佐倉市が買収、一部は現在の老人ホーム「佐倉ゆうゆうの里」に。
これだけの規模の文化財を守ることは並大抵なことではないはず。佐倉市、商工会、観光協会、市民が一体となり保存活動を行っていたこと、40年前経った今でも一般見学ができることに感謝をしながら見学を行いたい。
旧堀田邸宅 見学(&特別公開日)
旧堀田邸宅の見学へ。JR佐倉駅、京成佐倉駅ともに徒歩20分ほど。
公開について
開館時間
午前9時30分 ~ 午後4時30分 (入館は午後4時まで)
休館日
月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
年末年始(12月28日~1月4日)
入館料
一般 350円(個人)
三館共通入館券 600円(個人)
※文化財見学のマナーを守りましょう!
今回はレンタサイクルで訪れたが、車の場合、佐倉厚生園病院駐車場内に駐車スペースがあるので注意。
佐倉ゆうゆうの里・佐倉厚生園の敷地内に旧堀田邸があり、徒歩と自転車は正門から進入できるが車は北側の駐車場に。恐らく初見だと迷うかもしれないので佐倉市ホームページをご覧ください。
一般公開 門番所~玄関
佐倉ゆうゆうの里の入口から奥へ進むと旧堀田邸入口が見えてきた。自転車置き場は入口左側に。
門番所は特別公開日に見学可能。意外と中は広く、台所もあり寝食には困らなそう。
そして正面には旧堀田邸入口。伝統的な書院造り様式を基本としている。土日祝は無料でガイドを受けられるので詳しく聞きたい方はぜひ~
※追記
佐倉順天堂記念館玄関を使用しています。
居間棟を中心に玄関棟、座敷棟、書斎棟、台所棟の5つの棟から構成されている。
旧堀田邸が建築された明治20年代は洋風技術が新たに導入された時代、他の旧大名建築は洋風または和洋折衷が多く、こうした純和風建築は珍しいとのこと。千葉県では他にも松戸市「戸定邸」がある。千葉県凄い!
釘隠しは全部で三種類!こちらは桐。
居間棟へとつづく畳廊下。
廊下から見える客座敷のガラス窓に反射した青緑の景色が素晴らしかった。
湯殿棟 明治期の増築
玄関棟の西側に位置する湯殿棟。
明治43年(1910)増築。
塚田農事試験場に視察に訪れた東宮殿下(大正天皇)休息のために、増築されたという。
ここも純和風な造りで統一されている。湯に浸かる風呂桶はなく、かけ湯で入浴。
居間棟
居間棟1階へ。
居間棟の各部屋に旧堀田邸に関する展示があるがここでは割愛。
一番奥の「寝の間」は立ち入り禁止。
全体的に質素な造りの堀田邸の中、美しい障子が現存。これは立ち入り禁止にしないと触る方がいそうなほど。
座敷棟
渡り廊下を渡って座敷棟へ。
邸宅内で最も広く、庭に張り出すような配置で眺めも素晴らしい。
また、御祠堂(しどう)が西側に。位牌等は現在はないが旧大名家のものを見学できるのは恐れ多い気もする。
書斎棟(特別公開時のみ見学可能)
そしてここからは通常非公開エリア。特別公開日のみ見学可能です!
書斎棟だけが数寄屋造り!渡り廊下の天井は網代に組まれていて棟に入る前からうっとり…
うわ~~
360度隅々まで見学したい豪華さ。天井には印度更紗!
ふふ、私が好きな古いお手洗いも残っていた。柄は入っていないが青色の陶器製。
「第十?予備室」書斎棟の入り口に掲げられていた。
2階(特別公開時のみ見学可能)
そしてこちらは居間棟の2階。昔の急こう配な階段を上がるが、壁には手をつかないように!
2階からの眺めが素晴らしい!気持ち良い風が抜け、最高…!気分が晴れる。
2階、木製の手摺、どこを見てもゴミが落ちておらず大切に維持管理されていることが伝わってくる。
また、旧堀田邸は様々な作品で利用されている。作品を通しての堀田邸も楽しみたいなと思った。
【主な撮影作品】
坂の上の雲(2010年)
侍戦隊シンケンジャー(2010年)
JIN-仁-(2011年)
TRICK(トリック) 新作スペシャル3(2013年)
(佐倉市ホームページより)
見学を終えて、お手洗いが複数か所あり安心。入口だけ迷う方も多いと思うので最初は注意を。また違う季節に訪問してみたい。
(訪問日:2022年6月)
-
前の記事
佐倉「川瀬屋」天保元年創業の老舗蕎麦店。行列ができる佐倉の人気店 -佐倉20 2023.11.07
-
次の記事
稲毛の銭湯「松の湯」京成沿いに見える煙突、昭和40年代からの銭湯 2023.11.09
コメントを書く