大多喜「城下町通り」を探索。”房総の小江戸”と呼ばれる歴史的町並みがすき -大多喜⑹

大多喜「城下町通り」を探索。”房総の小江戸”と呼ばれる歴史的町並みがすき -大多喜⑹

「房総の小江戸」と呼ばれる大多喜の城下町通りには、歴史的建造物が多数並んでおり、歴史や古い建物が好きな方にとっては街歩きが楽しい街だと思う。

今回は、有名な建物だけでなく、私の視点で気になった無名の建物も記録しておこう。

桜台交差点付近のレトロ建築

千葉県夷隅郡大多喜桜台。大屋旅館で荷物を置いて、夕方の大多喜を探索することにした。

ここは大多喜のメインストリートといっても過言ではない「城下町通り」。右手前は化粧品店だそうだ。

城下町通り

しかし、既に営業している雰囲気はないなあ。

店内が暗い

交差点に近いがわに、白いバルコニーのようなデザインが施されている看板建築?があった。

白い洋館みたい

建物の後ろはかなり古い様子だったが、表側の白い部分は後付けだろうか?でも状態が綺麗なので新しい建物にも見える。よくわからない。

新しい建物なのかな?

そして、洋館風な建物の隣の敷地の奥に、古い蔵が残されていた。

古い蔵が

周辺は空き地になっているので、最近取り壊されたのかな~

向かい側もシャレている。和風の商家建築に、ミントグリーン色の塗装。

この組み合わせ素敵!

昭和5年の鳥瞰図を見たら商店だった。

現在は、千葉銀行の建物が建っているが、昭和5年の鳥瞰図では反対側の敷地に「上総銀行支店」や火の見櫓があったようだ。

桜台交差点

左にある茶屋「久保田園」は昭和5年の鳥瞰図にも同じ様子で描かれている。

鳥瞰図に載っているものを100年近く経っても見ることができるのは感動するな~

Advertisement

メインストリート「城下町通り」

さらに城下町通りの北側を探索。

城下町通り

小江戸といえば、川越や佐原が有名な観光地となっているが、大多喜も歴史的建造物が綺麗に残っている。でも、交通がちょっと不便だからだろうか。

歩いている人はあまりいなかった。

食事処

昭和5年の鳥瞰図を見ていると、豆腐屋、時計店、足袋屋など個人商店がたくさん並んでいる。

現在はとても静か

茶色く錆びている建物。毎日新聞の看板があるので新聞店だろうか?

新聞店の建物

なんと、建物の側面にひっそりと「株式市場新聞」のホーロー看板が!これは歩いていないと気が付かない存在感。

株式市場新聞

視線を感じる、と思ったら建物の奥にも!「サンケイスポーツ」のホーロー看板。しかしなぜこんなに奥に…

サンケイスポーツ

2018年のストリートビューには、他にも4種類のホーロー看板が映っていた。東京新聞、日本経済新聞、千葉日報、サンケイ新聞…どこへ行ってしまったのだろう。

商店街の駐車場

向かい側の喫茶店「あずき」は、古民家をリノベーションしたお店みたい。

あずき

大多喜では唯一の喫茶店?営業時間が18時までだったのでこの日は間に合わず。

暗くなってきた

ドキドキ夢空間…古本屋だろうか?

ドキドキ夢空間

個人商店の建物が静かに残っている。シャッター街…

シャッター街に

「紀州屋」は鳥瞰図にも載っているが、陶器店?

紀州屋

木造の小さな建物は、元郵便局。個人的にお気に入りの建物なので、次回詳しく紹介する。

元郵便局

最近改修工事が終わった「釜屋」は、無料で見学が可能。次の日に見学することに。

釜屋

こちらは、とんかつ亭「有家」。商店街の駐車場が左手にある。

とんかつ亭「有家」

「くらや」はそば屋。大多喜で飲食店を探すならこの辺りに数軒あるのでぜひ。

くらや
Advertisement

「伊勢幸酒店店舗兼主屋」国登録有形文化財

城下町通りの国登録有形文化財は「伊勢幸酒店店舗兼主屋」。遅い時間だが、営業している様子だった。

伊勢幸酒店店舗兼主屋

千葉県のホームページより

多喜城下の商人町にある酒店。現在は、和小物や人形など、手工芸品類も販売。旧大多喜城大手門の部材を用いて建てたとされている。

治6年(1873)の建築で、通りに東面した寄棟造平入の木造2階建、瓦葺。正面および北面に下屋庇、南面に玄関を付け、背面には平屋建が突き出る。1階は店舗となっており、間口を大きく開き、2階正面は全面に格子戸を建て込んでいる。外壁は、1階部分が下見板張りとし、2階は白漆喰仕上げ格子作り。低地であるため、夷隅川の氾濫被害を数度にわたって受けており、地上げ工事を含め、数回の改修工事を経ているが、城下における商家の表構えをよく残している。

旧大多喜城の大手門の部材を使用しているというのが気になる。

国登録有形文化財

説明看板によると、昔は質・古物商を営む商店だったが、明治6年(1873)の廃藩置県の折に、大多喜城の大手門部材を使用して建築されたという。

説明看板
水曜日は定休日

周辺にも、有形文化財に登録されていなくても、文化財レベルに古い貴重な建物がまだ多く残っている。歩いていて楽しい。

小江戸の街並み
Advertisement

「渡辺家住宅」重要文化財

こちらは重要文化財に指定されている「渡辺家住宅」。

渡辺家住宅

千葉県のホームページより

渡辺家は、大多喜藩の御用達を勤めた町の大通りに面した商家で、「穀家」の屋号で知られる。この建物は、棟札から嘉永2年(1849)に建てられたことがわかる。道路に面する主屋は2階建ての町家形式をとり、1階は、店舗として利用され、前面に土庇が付く。1階店舗部分の間取りは、6畳、4畳半と台所が設けられた土間からなり、それに続いて居間が角屋風に主屋の背面に突きだしている。居間は中間と書院造の座敷をもった奥の2室となっている。茅葺屋根が桟瓦葺に改変され、当初の形は失われているが、庇の付く店構えや整備された座敷など19世紀中頃の上層商家の規模をよく示す建物で、近世商家建造物の少ない千葉県にあって貴重な町屋の一つといえる。絵図面2枚が附指定となっている。

まぎれもなく江戸期の建物。

説明看板

復元されたものではなく、本物を見ると感動するな~素晴らしい。

渡辺家住宅外観
Advertisement

城下町通りの北側へ

城下町通りはまだつづいている。奈美喜手房は、店名からなんのお店かわからなかったが、毛糸を扱っているらしい。

奈美喜

鳥瞰図には「並木肥料店」とあるので業種が変わったのかも。

隣は、「大多喜活版所」。活版印刷って現在も行われているんだ…

大多喜活版所

大多喜活版所は、鳥瞰図にも同じく載っている。

寿司屋「美月」
児安邸

民家として使われているが、元々は商店だったんだろうな。

現在は民家に

大多喜駅へ向かうT字路。まるで箱の様な右の建物はスナック跡だろうか。

スナック?

青果・菓子・食料品を扱う「古市商店」。

古市商店

この錆び具合や、古市商店の丸みを帯びたフォントがとても好き。今は近くにコンビニがあるので営業してない。

レトロな商店

角に「四ツ門公園」の看板がある。

四ツ門公園

城内から数えて4番目の門であるから「四ツ門」。櫓も復元されている。

Advertisement

大多喜の映画館

ここから大多喜駅へ向かう途中に、昭和5年の鳥瞰図を見ると「劇場 大多喜館」とある。今でいう映画館だろうか。

消えた映画館の記憶」によると、大多喜には2つの映画館があったようだ。「大多喜中劇」と「大多喜館」。

「大多喜館」は開館年が1951年で、閉館年が1985~1990年とある。昭和5年(1935)に載っている「大多喜館」は何なのだろう?

邸宅が並ぶ

大多喜城下町の夜。灯りが灯ってきた。この景色は宿泊しないとなかなか見れない景色なので特別感がある。

夜の大多喜

山の匂い。

普段の生活の中では感じることができない、千葉の深い魅力を再発見した。大多喜に滞在したのは、夕方から次の日の午前中という限られた時間だったが、気になった建物を次回紹介する予定なのでお楽しみに~

 

(訪問日:2021年3月)

error: このコンテンツのコピーは禁止されています。