さざ波館(富津市大貫の老舗旅館)レトロな木造・鉱泉旅館に宿泊してきました! -大貫⑶

さざ波館。富津市大貫、海のすぐ目の前にある老舗旅館に宿泊してきました!
お食事・温泉・旅館の建物も素晴らしく、さらに歴史好きには時間が足りないほどの郷土史本が大量に保管されているのです。比較的泊まりやすい宿泊料で家族連れにも人気の宿です!!
※写真多めでお送りします
富津市大貫「さざ波館」宿泊レポート
千葉県富津市小久保2868。最寄り駅は、JR大貫駅。徒歩20分くらい。駐車場は旅館の目の前にあるので遠方の方も安心。

「つりと鉱泉」
看板にもある通りさざ波館の推しは、釣りと鉱泉(温泉)。旅館から釣り場が徒歩1分と近く、一人で宿泊している釣り人も多い。ホームページによると、釣り船の仲介、釣り竿のレンタル、初心者向けに簡単な釣りの説明を行っているそうだ。


現在は観光客が増えているらしい。というのも、アクアラインが出来てから日帰りの釣りの意図も多くなったとか。宿泊したときも家族連れや夫婦の姿が目立った。
鉱泉は、源泉温度が25℃未満の温泉のような治癒成分を含んだ水でそれを温めているので、熱々の源泉かけ流しが苦手な方でも鉱泉だったら入りやすい!という方もいるかも。
さざ波館では、コーヒーのような黒色の鉱泉超音波風呂にゆっくりと浸かることができる。後ほどご紹介します。

あまり温泉のイメージが少ない千葉県も意外と鉱泉は多くて、船橋市だと銭湯や房総にも日帰り入浴できる施設は多々ありますね~またまとめたい。
さざ波館 宿泊レポート
2022年6月。母を連れて温泉旅館に行きたいな~とのことでさざ波へ宿泊!

広々とした玄関で靴を脱ぎ、フロントへ。帳簿を書いて部屋に案内していただきます。スタッフが少ないのでもし不在の場合は内線電話を繋いでください。

フロントには旅館の名前の由来となった書、左側には千葉の歴史出版社・崙書房の本が…ポイント高い。


今回通された客室は本館二階の白帆。

2階から少し海が見える客室!エアコンも新しくテレビ・冷蔵庫・浴衣セットなど設備も申し分なく快適!



お手洗いは廊下を出てすぐで改装されて綺麗なトイレ。



客室は、本館・別館・離れの計12室。
新館は50年ほど前に建てられていて造りは似ている純和風。

こちらの客室の名前は、大貫沖の釣り場の名前から取っているそう。
離れはフロント脇から奥、外に出る形。

離れにはスイートルーム・和洋室の客室あり。バス・トイレ付。周りの音が気になる家族連れにも良さそう!他の客室よりは数千円高め。

また、離れの建物の裏には電気自動車充電用スペース2台分有!これには驚いた。老舗旅館で設置しているところは少ないのでは…


そして本館にある談話室「さざ波キャビン」。手作りの看板、可愛いなあ。

昔はバー併設だったのかな?現在はスタッフさんは常駐していないが宿泊客は自由にくつろぐことができる。カウンター席やソファー席があり落ち着く。

朝食&夕食 地魚が美味しい
夕食は宴会場にて。

今回は1泊2食付きプラン!地魚料理にワクワク。ボリュームもちょうど良く満足~

カサゴ丸ごと一匹揚げた唐揚げはインパクト大!わたし初めて食べたかも… 骨までサクサクで美味しい!

せっかくなので地酒もいただくことに。

富津市竹岡の「和蔵酒造」の「上総佐貫城」、1合400円。甘めの辛口で普段そんなに日本酒飲まないけど飲みやすい。

次の日、朝食会場はテーブル席の会場。

和食の朝ごはん。富津らしさを感じる?海苔。そして湯豆腐セット。

谷崎潤一郎が特注したという松本ピアノ?があるという情報をちらっとネットで見たが確認してなかったな…
さざ波館 鉱泉風呂の大浴場
お待ちかねの鉱泉風呂へ!
廊下を奥に進むと見えてくるのが男女別の内風呂。左側が男湯で「潮騒」、右が女湯「海恋」。家族風呂等の貸切は受け付けていない。
脱衣所にドライヤーあり。

【鉱泉風呂】男湯1/女湯1
地下100mからくみ上げた湯を、ボイラー室で温めています。
豊富なミネラルを含んだ琥珀色の湯は、なめらかな肌触りで心が和みます。
浴槽内には超音波を利用した吹き出し口があり、
ジェットバスような泡が気持ち良いです。(さざ波館楽天トラベルサイトより)
少し薄目なコーヒー色の黒褐色なお湯。42度くらいでちょうど良くポカポカになる。
正式な泉質表示は記載されていなかったが、「ミネラル湯の大浴場は、筋肉痛、リウマチ、神経痛などに効果的。」とのこと。

ちなみに男湯の方が若干広め。いつも夜しか見たことが無いが昼間は大きな窓から明かりが差し込み明るい。

お風呂上りにゆっくりできる休憩室も近くにあります。
さざ波館の歴史
さざ波館の歴史について、4代目の現社長にお話を伺った。
創業は、昭和5年(1930)とのこと。もうすぐで100年!立派な老舗旅館!
下は昔の昭和30年代頃?の旅館パンフレット。

「つり船のパイオニア」
「庭内にヨード系鉱泉が湧出し各浴室に使用しております」
昔からつりと鉱泉でPRしていたことが窺える。
パンフレット裏面にある「浜のバーベキュー」は今はやっていなさそう。「大貫音頭」「大貫小唄」など周辺の歴史を調べる上でも参考になる資料。

そしてこちらが戦後のさざ波館の航空写真。

本館は、創業時からの一部だと思われるので築100年近くの歴史があり、ロケ撮影でも使用されている。一方、新館は50年ほど前に建てられたそう。

旅館の名は、明治時代の童話作家「小波山人」が名づけたという。ロビーに展示されているもの↓

昭和5年、小波山人をはじめとした複数名による出資により、木更津の名門「鳥飼旅館」の建物を譲り受け、網元?作業場として現在地に船で移築し、昭和6年に井筒屋別館として開業、昭和7年には共同経営を解消している。
正式には昭和6年開業ということになるだろうか。
その後自主経営にあたり小波山人により「さざ波館」と命名。自筆の句が大切に保存され「この句を心の支えとしてさざ波の宿を守り続けてきた」。素敵なエピソード…
そして昭和40周年にあたり小波山人が出入りした玄関脇に記念碑を建てたのだという。


木更津の鳥飼旅館からの移築?が気になる。現社長もその話をしていたが、インターネット上では流石に古い旅館過ぎて情報は無し。
大正7年発行『房総静養地案内』に木更津の旅館で一番最初に名が挙がっている所を見ると木更津の一流旅館だったことが分かる。
明治42年発行『房総人名辞書』によると、「県内有数の大旅館にして料理業を兼ね、建築の広大にして洒落なる、内部の設備の完全なる他に多く其比を見ず、」と。しかし、それほどの旅館がなぜ廃業したのか気になるが、これはまた別の機会にまとめよう。
近代建築としての魅力
そしてそして近代建築としての魅力。昭和初期創業のさざ波館、木更津の老舗旅館から移築とのことで本館の建物はさらに歴史があるのでは?と思う。
その中でも一番目を惹くのがステンドグラス!玄関、階段と4か所に散りばめられている。

どれも同じデザインで中央から広がるバラが、さざ波館の漁師宿の雰囲気とはまた別な高級感を醸し出している。
話によると、木更津温泉ホテルから頂いたものだそう?木更津温泉ホテルは元高級旅館の佐久間旅館。「廃墟検索地図」によると、2014年に解体されている。が、それにしては最近の話で謎が残るので創業時に鳥飼旅館から移築したのかな?

本館廊下にある洗面台。給湯器もかなりの年代物。
歴史を感じる郷土史本コーナーあり
最後に!
さざ波館の凄い所は歴史好きにはたまらない資料や本がたくさん展示されていること。そして現在のご主人も若いのに歴史好きで話が止まらない~
昭和6年~昭和49年頃まで使われていた?電話番号票。小久保7番!

青木滋芳氏によるさざ波館のグッズコレクション。包装紙、マッチ、手ぬぐいなど。箸袋含めあちこちに可愛いイラストが描かれている。
そして廊下の一室にある図書室のような部屋。先代が集めた郷土史本・資料らしい。郷土史を調べている者としては興奮極まりないっ!
※普段は閉じているがご厚意で開けて頂いた
この日は夜24時くらいまで母と籠って本を読み漁った。良い1日だった。
実はドラマ版『永遠のゼロ』のロケ地にもなっているらしい。それだけ歴史的な建物が現役なのが素晴らしい。

さざ波館、あまりにも落ち着くのでリピーターに。2023年にもう一泊、今度は新館で宿泊した。
今度は離れに泊まってみたいな。静かな波の音を聞きながら朝夕散歩して温泉に入る… こんなに心が休まる宿がふらっと行ける距離にあるのは嬉しい。
(訪問日:2022年6月)
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巌谷小波さん由緒の宿ですか
いいですね〜