小見川藩陣屋周辺。黒部川沿い、老舗割烹旅館「丸山」が気になる -小見川⑺

今回は、黒部川の東側、かつて小見川藩陣屋が置かれていた周辺を探索。
少し離れた場所には、元料亭らしき建物や割烹旅館など、小見川のかつての賑わいが見えてきます。
黒部川沿いと小見川藩陣屋跡
千葉県香取市小見川。成田線「小見川駅」北口から少し歩いた県道259号。小見川の発展を支えた黒部川に架かる橋「新田橋」からスタート。

前回、小見川駅周辺を探索したので、今回は黒部川沿いを歩いてみる。

かつて、暮らしと商業を支えた黒部川。江戸時代よりこの地域に多くの財をもたらしたという。しかし、時代や交通機関の変化に伴ってその役割も変わり、また、大洪水によって黒部川は「舟運と娯楽の場」からレジャーの場へと変化したそうです。(小見川散歩MAPより)

「戦前の小見川写真」(昭和の思い出広場)に、戦前、黒部川の大洪水によって銀座通りや警察署が水浸しになっている写真が写っている。確かにこれは酷い…昔はこんなに川との距離が近かったんだなあ。
まずは黒部川の東側を歩いてみる。この日は真夏。川沿いを歩いていると風が気持ちいい。

川沿いには洋裁教室や大きなクリーニング店。
ちょうど、2004年から町おこしの一環として始まったという夏の伝統行事「小見川祇園祭」のカラフルな灯篭が飾られていた。

「大人になったら駄菓子屋さんになりたい」と子供が願いを書いていて、なんだかほっこり。
右折すると、小見川中央小学校。その手前にもかつてはお店が並んでいたようだ。

小学校の目の前には元青果店?らしき建物。

そして、小学校の場所には、かつて小見川藩の陣屋や掘割が存在したという。
陣屋(じんや)は、江戸時代の幕藩体制の時における、藩庁が置かれた屋敷のことで、実質的な城のことを指している。
詳しくは香取市がまとめたPDF「小見川の町並みと祇園祭に見る歴史的誘致」に陣屋の地図が載っている。黒部川に通じる内堀には水門もあったようだ。
小見川は利根川水運の中継港で、宿場町としてだけではなく、小見川藩の陣屋町としても大いに発展していた。「一路一会」というサイトに、かつての賑わいを伝える文がある。
現在は駅前にも人影をあまり見ない、ひっそりとした町ですが、当時は2と7の日には六斎市が開かれ、他に須賀神社、妙剣神社の祭礼市も開かれるほど賑わいました。
江戸期の小見川は本町・新町を初め8町に分かれる規模で、醸造業も盛んに発達し、醤油5軒、酒造4軒、濁酒5軒の記録があります。
現在は伝統的な街並みは残っていないものの、酒蔵や醤油醸造蔵が歴史を今に伝えている。
隣の佐原は観光地として最近凄く話題になっているが、小見川も充分見応えのある街だと思う。しかし、その魅力はまだ観光地化されていない点も良い。のんびりと川沿いを歩きながら、かつての賑わいを感じてみてはいかがでしょうか。
「石塚瓦店」の建物
引き続き黒部川沿いを歩く。

川の向こうに見えるのは、ちば醤油の建物。唯一残る醤油店である。後程の記事で詳しく紹介。

右手に見えてきた建物に心を掴まれた。

ここだけ昔のまま。ガラスに映る「石塚商店」と電話番号の文字が良い…

小見川商工会員や電話番号のホーロー看板も残っていた。貴重!!

木造平屋の建物なんだけど、下の部分が石造りで、ダイヤのデザインが施されているのが可愛い。こういう造りって珍しいんではないかな。洪水の被害が大きかったからかな?

この建物は戸袋にも書いてあったが「石塚商店」。瓦店のようだ。

向かい側にも古そうな倉庫らしき建物。窓ガラスが良い…

また、川沿いに残る船着き場の跡。現在は使われていないが、歴史を感じる遺構だ。

先ほどの香取市のPDFによると、船着き場は「ダシ」と呼ばれ、黒部川沿いに複数設けられていたようだ。かつては木製のダシもあったが、現在残っているのはコンクリート製が3か所。

近年まで、石塚瓦のダシの対岸には、ちば醤油のダシも設けられていたという。
妙剣大神の周辺
川沿いには、個人商店の面影が残る建物が並ぶ。

以前、2021年5月に訪問した、「高木パン店」や「岩崎玩具店」はこの通りにある。どちらもレトロ好きには欠かせないお店。今回もパンを購入した。
向いには、妙剣大神。公園と神社が一体となっていて、子供たちが遊ぶのに良さそう…

鳥居は、大正15年建立とのこと。
妙剣大神と小学校の間の細い道を進む。

掘割の名残なのか、暗渠らしき水路の面影が右側に見える。そしてお店が並んでいたのだろう。


角で商店が営業していた。お菓子などが並んでいたが、昔ながらの商店が健在なのは嬉しい。

商店の角を曲がると、元飲み屋?の雰囲気の建物。

暴力…?良く見えないが、大人向けのお店だったのかな。

この裏通り、2012年頃まで両サイドに古い建物が残っていたようで、とても雰囲気がある。
蔵が見えるので元商店?
反対側は元旅館のような風格。
また、その並びにも気になる広い邸宅。壁の向こうに古そうな門柱が見える。
私が行った時は更地になっていたのだが、この裏通り、住宅地図を調べてみたい…気になる。
元料亭?と割烹旅館丸山
そして裏通りを抜けると国道356号。

国道に面したまたしても気になる建物。元料亭では?

表だけでなく横にも入り口が。

既に廃業しているようだが、欄間の細工が美しい…

その建物の裏、細い道が気になったので歩いてみた。

あ、また素敵な建物が見えた。この辺りは料亭街だったのかな?と思うくらい良い雰囲気だな~
この建物の裏口。

割烹満る山。現在は「丸山」だが、かつては「満る山」だったのか。


丸山旅館は、創業1878年とのこと。明治11年!!
創業100年を超える地域での信用と歴史を持った老舗旅館。定評のある料亭の料理を活かし、現在葬儀や法事、慶弔にも対応する仕出し部門にも力を入れています。

建物は新しく改装されているので昔の面影はないが、ホームページからも予約ができるらしい。


黒部川から陣屋跡、裏通りに惹かれて歩いていると、割烹旅館へ。偶然とは思えない、小見川の歴史に魅せられて歩いていた。
(訪問日:2021年7月)
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