野田市駅周辺の近代建築散歩。「キッコーマン第一給水所」など -野田⒀

野田市駅周辺の近代建築散歩。「キッコーマン第一給水所」など -野田⒀

今回は、野田市駅周辺の近代産業遺産をご紹介します!1年前に歩いたことがありますが、まだ近代建築がたくさん残っている魅力的な町です~

キッコーマン野田工場の近代建築

千葉県野田市野田110。東武野田線「野田市駅」西口から、醤油の香りに誘われて「キッコーマン野田第一工場」の傍の道を歩いていた。

野田の中心街へと向かう道なので、何度も歩いているが、工場の敷地内にも近代建築が残っているのを発見!でも現在は工事中らしく建物全体が覆われ、窓も外されてしまっているような…

キッコーマン野田第一工場にて

工場の事務所かな?美しいガラス窓が存在感を放っている。疑洋風建築のようだな。

工場の事務所

MANAZOUの近代建築・看板建築・レトロ探訪 」に、大正14年築のキッコーマン野田第一工場の事務所であると書いてある。2019年時点では「もの知りしょうゆ館」が見学できたため、工場の入り口側からこの建物の正面を見学できたみたいだが…

現在は博物館も休業中。また、事務所の隣の守衛所も良い感じ…
工事後に見学できると良いなあ…

そして汽車の街灯が並ぶ、有吉通りには「野田町駅」が存在したという。

有吉通り

野田市のホームページに解説がある。

明治44年(1911)5月、千葉県営軽便鉄道として、野田から柏間が開通した時に野田町駅があった場所です。
昭和4年(1929)に現在の野田市駅の場所へ駅ができたのを機に、旅客業務は移りましたが、貨物業務は昭和61年(1986)まで行っていました。
また、駅舎は昭和5年(1930)に川間駅に移築され、昭和46年(1971)まで現役で活躍していました。

川間駅に駅舎を移築したのは知らなかった!東武野田線「川間駅」は現在新しい駅舎だけど、前の駅舎は野田町駅の建物を使用していたのだろうか。

→野田町駅跡とSLモチーフの街灯が並ぶ野田市駅前。 -野田⑿

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キッコーマン第一給水所

野田市野田230。今度は、有吉通りに面したかまぼこ店「八木橋」がある交差点を北へ、「茂木本家美術館」を過ぎて見えてくる近代建築。

裏通りにあるので今まで見逃していた!

裏通りにひっそりと

平成19年度、経済産業省による「近代産業遺産」に登録されたプレートがあるのみでこの場には説明看板などは無し。

近代産業遺産

皆さんは何の建物か分かりますか?もちろん、この建物もキッコーマン関係です。

大正12年(1923)築で「キッコーマン第一給水所」。
以前は、給水塔も存在したそうだが、老朽化のため解体されて建物だけが残っている。

「いつも野田から」というブログに、給水塔が解体される時の写真が載っている。2010年なので、意外と最近まで残っていたんだな…

キッコーマン第一給水所

駅前を歩いても分かるように、野田と言えば醤油。醤油によって発展した街であった。
野田醤油株式会社(現キッコーマン)が原料水を統一するために建設されたのがこの給水所。野田町民へも給水し、美味しい井戸水を飲んだことがあると地元の方が書いていた。

塀越しに見学

大正12年築は最初の事務所と同じ年だ。また、関東大震災が起きた年でもある。
給水所の稼働が3月、関東大震災が9月に起きたので地震にも耐えたんだな。

また、この建物の向かいにも蔵が2軒存在したが現在は駐車場に。

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茂木七郎治邸

給水所の隣に、「茂木七郎治邸」の立派な門がある。個人宅なので見学などは行っていないので注意。素晴らしい佇まいだ。

茂木七郎治邸

安政5年(1858)頃に建てられ、野田市で最も古い木造住宅とのこと。

長屋門

「野田ガイドの会」のページによると、地代官を務めていたという。

長屋門を持つ農家風住宅ですが、地代官であったことから代官屋敷風でもあります。一部改築されていますが建築当初の様子をよく残した建物です。

茂木家の分家らしいが、本物のお代官様の邸宅が現在も残っていることに感動した。

その隣は茂木本家。この辺りは時代錯誤な古き良き街並みが残っている。

蔵が見える

茂木本家邸は、国登録有形文化財・近代産業遺産に登録されている。

茂木本家

同じく先ほどの資料によると、大正15年に建築された建物。邸内の見学は不可。

江戸時代中期(18世紀中頃)より、醤油醸造家として発展した茂木本家の邸宅です。大正末期建築の書院造で、柿渋を塗った黒板塀や煉瓦塀なども合わせ、大正ロマンを感じさせる景観です。

茂木本家は江戸時代の明和3年(1766)に醤油醸造を始め、その後野田には19件の醸造家によって野田醤油組合ができ、現在のキッコーマン株式会社が設立。

見事なレンガ壁も見所。壁がとても高いので邸宅内は一切見えない!

立派なレンガ壁
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野田に残る近代建築

野田のメインストリートである流山街道沿いへ。現在改装中の建物が見えた。

改装中

街道に面している、中村商店。右端の建物は取り壊され駐車場だが、中村商店倉庫と描かれた倉庫は健在。また隣には店舗も。

中村商店

「ぼくの近代建築コレクション」に詳しく書いてあるが、明治から大正にかけては旅館業を営み、石炭・肥料商として成長した商家だという。

その店舗の裏にある蔵の下部が、レンガ造りになっているのが気になった。珍しい。

土台がレンガ

そして、この旧中村商店では新たな取り組みが始まっているという。「旧中村商店」というインスタグラムのアカウントがあるのでぜひチェックしてみてほしい。

オシャレなギフトショップが営業中!これは足を運ばなくては!
病院で使われていた棚も再利用されていて、こういう古き良きものを大切にするお店だいすき。

蔵も改装して新たなスペースにするらしいですよ~

同じ並びには、野田を代表する近代建築「興風会館」。真横から見ると階段状になっていて面白い。

興風会館

この日、改めて館内も見学したので記事にたっぷり写真を追加しました!

「興風会館」昭和4年に建造された国登録有形文化財・4階建ての洋風建築-野田⑾

また、北側の「旧野田商誘銀行」もお忘れなく!

旧野田商誘銀行

「旧野田商誘銀行(現:千秋社)」語呂の響きが良い元銀行建築。野田の近代化産業遺産 -野田⑽

今回は同年代の友達を誘って野田を歩いたけど、残っている近代建築の数も多いし、出会う人々の温かさに触れて素敵な時間を過ごせました。皆さんもぜひ~

 

(訪問日:2021年8月)

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