根津2丁目、はん亭前の洋館付住宅。いなり寿司「三花」と
東京都文京区根津2丁目、国登録有形文化財のはん亭の建物の向かい側に佇む大きな屋敷。表に洋室が見える、典型的な和洋折衷住宅。
私が最初に和洋折衷住宅に興味を持った根津の住宅について過去の写真も発見したので紹介。
根津の和洋折衷住宅
前回の国登録有形文化財のはん亭の建物を見た人は、向かい側にある大きな屋敷も気になると思う。それくらい目立つ和洋折衷住宅が不忍通りの一本裏道に眠っている。
この日は建物の正面が影になってしまっている…もう少し日当たりを考えて撮りに行きたかったな。
洋館部分は半分が外壁によって見えない。上げ下げ窓のように縦長の洋風窓が特徴的。そして中央の窓にある一本の木が気になる…
窓枠などの木の部分も白いペンキで塗られており、西洋風。
新しく塗装され、綺麗な状態が維持されているのが凄い。個人の住宅であるため、この場所についての情報はあまりない。
左側が洋風建築、右側が和風建築の典型的な和洋折衷住宅。立派な松の木も当時からあるもだろう。
和洋折衷住宅について
和洋折衷住宅は文明開化以降、西洋化に憧れた人々によって日本各地で建築された和風建築と西洋風建築の要素を意図的に折衷した建物である。
『建築デザインの解剖図鑑』に和洋折衷住宅についての記述がある。
日常生活を送る和館と接客の場として別棟の洋館を建てる。洋館を丸々建てることは庶民には叶わないためだ。
玄関脇の目立つ部分に洋館を付設。昭和30年代頃までつくられたというので、最近は残っているものも少なくなっている。
門柱も和洋折衷住宅に合うデザイン。
敷地は広く、左側には倉庫と煙突があった。
この建物の歴史もとても気になる。周辺を探索。
和風建築の瓦や彫刻もよく見ると綺麗に残っている。
いなり寿司三花
和洋折衷住宅の奥となりには、2階建ての建物と「いなり寿司」の看板を発見。
1階が店舗で2階がアパートみたい。
味のいなり寿司三花(みはな)…とても良さそうなお店だと思ったが営業していないみたいで調べたら閉店していることがわかった。
どの口コミを見ても2006年頃のものが多く、その時点でも体調を崩されて休業している期間があったという。いなり寿司は一個60円。関東風のいなり寿司はかなり濃厚で絶品だったらしい。しかし、大正生まれのご主人夫妻が切り盛りしており、10年ほど前に閉業したのだと思われる。
看板だけ残されているようだ。いなり寿司専門店をあまり見かけたことが無い、今回が初めてだったので残念。こうした場所で食べるいなり寿司はきっと美味しいのだろうなあ…
2011年の写真
2011年7月、現在から9年前の写真。はん亭を訪れた際に一緒に撮影していた貴重な2枚があった。
よくいると、外壁の色や門柱の様子が違う。最近クリーム色に改めて塗られたのだろうか。
西洋に憧れた人々の和洋折衷住宅の貴重な名残。そして奥にあるいなり寿司三花。どちらも見逃せない。
(訪問日:2020年9月)
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