根津「芸術銭湯+café 宮の湯」閉店前の想い出。根津の老舗銭湯での夜
「銭湯をリノベーションしたギャラリーがあるみたい、行きたいな~」そんな軽い気持ちで訪れた根津の「芸術銭湯+cafe 宮の湯」。
銭湯の良さを生かしたギャラリーはもちろんのこと、その場で体験した感動は一生忘れられない。
根津「宮の湯」商店街の一角にて
9月に根津を探索したときに、根津の商店街の一角に銭湯らしき建物を見つけた。東京都文京区2丁目の「宮の湯」。
芸術銭湯+cafeの「宮の湯の歴史」に、宮の湯の工事前の姿が載っている。動画や図面といった貴重な資料がズラリ。過去の写真と現在を見比べるのも面白い!
宮の湯は昭和26年(1951)に開業。平成19(2007)年に廃業した。
そのまま建物が残されていたが、平成29年頃からアートイベントが開催され、令和元年に、記録保存調査、内部見学会を実施し、改装工事へ。
そして令和2年6月に、「芸術銭湯+cafe 宮の湯」としてオープン。
東京にある、別世界。
芸術に浸かって、
コーヒーとワインを飲めるお店です。
素敵なメッセージ…
ここまで期待させて申し訳ないのだが、2020年10月17日をもって閉店してしまった。
ギャラリーカフェを運営していたのは”文化とエンターテインメントで美しい時間を贈る”事業を展開されているカブ好き会社 CIRQ代表の永野さん。今度は千葉県のある森に「図書森」というプロジェクトを企画しているみたい。
今回の記事は、閉店前前に私が体験した「 宮の湯」での話。
9月に訪れたときは定休日だったため、違う日に再チャレンジ!↓
芸術銭湯+cafe 宮の湯
平日の営業時間が15時~21時と遅めだったので、夜に訪れた。この日は雨が降るどんよりとした天気だった。
芸術銭湯+cafeの入り口に入ると、まず見えてきたのはレトロな下駄箱!
ワンドリンク付き1300円のチケットを購入。チケットも可愛くて、テンション上がる!
チケット
銭湯の備品だけでなく、様々なアーティストの作品が飾られていて、そう、まさにここはアートで満たされた異空間。
元々この場所は、浴場の裏。改装して入り口にしたみたい。だから狭い階段を通って、浴場へと向かう仕掛けにわくわくする。
宮の湯の時に使われていたと思われる看板を、芸術銭湯+cafeの風にアレンジしたものが面白い!思わずじっくりと読んでしまうなあ。
注文したのは、琥珀糖ソーダ!こんなに綺麗な琥珀糖見たことない…グラスも素敵すぎるし、銭湯を見る前から興奮してしまう。
浴室
浴室は、とても綺麗で広い。過去の写真を見ると、天井までカラフルなデザインだったみたいだけどリニューアルされて真っ白に。
毎月変わるアート作品。奥直子さんの焼き物の作品が飾られていた。どうやら化け物らしい。すっかり宮の湯に溶け込んでいる。
壁には海を連想させるカラフルなタイルが残っていた。
先ほどの琥珀糖ソーダを置いて一枚。どこで撮影しても絵になる~
銭湯に土足で踏み入れるという非日常の経験。普段の嫌なことも忘れて童心にかえる。
座風呂の看板とか、そのまま残されているのがまた良いな~
古そうな温度計。
美しいタイル
そして、タイルが美しかった。タイルだけでも時間を潰せるくらい。
貝殻やカモメ?魚といった海の仲間のタイルに見える。
マーブルのタイルが端にあることで全体が締まって見える。
こちらは脱衣場との境にある床のタイル。よく見てほしい。蟹や貝殻の柄が隠れている…
こちらも写真だとわかりづらいけど、オーロラのような輝きを放つタイル。今まで見たことない、素敵。
アート作品を鑑賞
銭湯の雰囲気を楽しんだら、展示されているアート作品を鑑賞。
隅から何かが蠢きだしている…
親子?のネコのような焼き物。
鏡を通して見た姿がこちら。
これもアート?金色の箒にびっくり。
脱衣場
かつて脱衣場だった場所も改装されて、展示室に。広角レンズで撮影した壁のアート作品を見ていると元気をもらえる。
ロッカーにも、アート作品が展示されていた。
椅子の中央にあるのは、碁盤?
脱衣場から見た浴場。
火焚場
そして、普段は入る事ができない銭湯の裏側にも。
火焚場もギャラリーに。ちょっと薄暗いけど、この雰囲気がたまらんわあ…
芸術銭湯+café宮の湯での夜
宮の湯のギャラリーとしての場所も魅力的だったのだが、それ以上に素敵だったのは”人”。
不思議だけど、似たような価値観や感覚を持っている方がいて、時間を忘れて遅くまで語ってしまった。時間がこのまま止まってほしい、こんな体験はなかなか出来るものではない。
芸術銭湯+caféで出会った人たちのことは忘れない。きっと。
たぶん、これからもどこかで会える気がする。
(訪問日:2020年10月)
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