成東「大割屋商店」に立ち寄る。小津商店のマニラ障子紙の広告 -成東⑸

成東「大割屋商店」に立ち寄る。小津商店のマニラ障子紙の広告 -成東⑸

成東の上町を探索中、時代錯誤を感じるような昔ながらの商店が一軒営業していた。

それは幻のような時間で、思い切って店名も分からずに入店してみた。

成東「大割屋商店」

千葉県山武市成東2437。前回の続きで、成東の商店街を歩いていた。東側に新しい道が出来たため、こちらは旧道。車通りも少なくひっそりとしている。

旧道沿いの商店街

居酒屋、電気店、寿司店、鮮魚店…日が暮れてきたのでこの辺りで引き返そうかと考えていた。さらに先に進むと、山武市立成東小学校がある。

理容さいとう
木製の扉

今日はとりあえずこの辺りで終わりにしよう、と思っていたら視線を奪われる建物が…

気になって仕方がない

全体的に黒いが、見世蔵?

一度気になったらやめられない!明かにこの建物だけ周囲の建物と違う年代を生きている。

見世蔵?

そしてガラス戸を見たら、ポスターが貼ってあった。山武市商工会の「山武市プレミアム商品券」取扱店、「なるとうラッキーカード」についての案内である。…このお店営業しているんだ!

ポスター

しかも、令和3年9月。ちょうど訪問日と重なる期間で、営業中であれば入ってみたい!と思った。しかし、店名が書いてないので入りづらいような…

塩小売店

入り口は人一人が入れるほどの隙間ほどしか開いておらず、店内の様子は見えない。何が販売されているのかもわからないので、入店したところで私が買えるものがあるのか不安だった。

入ったら買い物をしてお話を聞くようにしているので、この日は一人で、入るかどうかも悩んだ。が、ここまで成東駅から歩くのも時間がかかるし、次まで営業している保証もない。一か八かで入ってみることにした。

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大割屋に残るレトロなポスター

店内へ。

「こんにちは~」と恐る恐る挨拶をすると、奥から意外と若い男性が出てきた。

無口な男性だったが、私の素性を明かして撮影を許可して頂いた。店内は横に広く、右側に棚、左側に冷蔵庫のような棚が並んでいる。こういう商店、初めて入ったな…

店内の様子

入り口の脇にはアイスコーナーも。私はその上にあるお茶を購入することにした。

入り口横の売場

「お店はどれくらい前から営業されているのですか?」と聞いてみると「50年くらい」と回答が返ってきた。この建物で50年ってことはないだろう、と思ったがこの男性が知る限りでは50年ほどなのかな…

天井
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小津商店のマニラ障子紙

そして、天井にかかる大きなポスターが歴史を感じる。

マニラ障子紙特約店

東京の小津商店が発売している「マニラ障子紙」の特約店として「大割屋商店」の名前が書いてる。ここで初めて大割屋という店名を知る。

右読みの文字からして戦前のポスターでは?と推測…

マニラ障子紙について、調べてみると戦前の絵葉書なども残っている。また、小津商店の「小津330年のあゆみ」に詳しい歴史がまとめられていた。

マニラ障子紙は、機械漉和紙の原料としてマニラ麻を使用し、大正9年に制作された。その後順調に売り上げを伸ばし、昭和4年に合資会社小津商店に。

現在は、「小津和紙」として日本橋で和紙の専門店を営んでいる。史料館もあるらしいので、このポスターの年代を調べてみたいと思った。

建物については詳しい情報を聞き出せず、お店を後にした。

雪印の牛乳箱

大割屋で見たポスターと昔のままの商店の雰囲気が忘れられず、興奮冷めやらぬ状態。食品以外にも障子紙も扱っていたということは、スーパーのようなお店だったのかな。令和の時代に営業していることが奇跡。入れてよかった。

どこかの民家の蔵
電柱についた鐘撞

 

(訪問日:2021年9月)

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