【旅館】本千葉のビジネスホテル「なりた旅館」で聞いた幻の建物

【旅館】本千葉のビジネスホテル「なりた旅館」で聞いた幻の建物

千葉県の中心部、県庁にもほど近い「本千葉駅」。本千葉駅からすぐの一角で、現役営業中の旅館「なりた旅館」を見つけた。

現在は、2つの建物がなりた旅館として使われているようだが、最近取り壊しになってしまった「なりた旅館」の建物があるという話を女将さんから伺った。

 

「なりた旅館」の外観

「なりた旅館」は、本千葉駅の東側150メートルほど歩いたところ、閑静な住宅街の中にある。道を挟み、二つの建物がなりた旅館の敷地のようだ。道には「なりた旅館通り」と地図には表記がされている。この地域ではかなり有名な旅館なのかもしれない。

 

近辺の地図

3階建ての白いビルは、学生の合宿所として使われそうな現代のビジネスホテルのつくり。こちらは「なりたホテル」と呼ばれている。至って普通のビジネスホテルのようだ。

 

なりたホテル

 

その向かい側、二階建ての昭和感溢れる建物が「なりた旅館」

なりた旅館

玄関には大きく「なりた旅館」の文字。これぞ、昭和の旅館という雰囲気だ。

 

なりた旅館の大きな文字

 

 

 

赤いポストと、看板。そして鏡から覗くキャラクター。

鏡を通して見るなりたホテルの建物。

なりたホテルが鏡に映っている

 

 

今は使われていない看板だろうか。

旅館なりたの看板

 

駅の方面から見える、なりたホテルの看板の隣が駐車場になっているのが気になった。

ぽっかりと空いてしまったようだが…なんだか胸騒ぎがする。

 

なりたホテルの看板の隣が駐車場に

 

取り壊しになったかつての「なりた旅館」

 

なりた旅館の隣も素敵だ

撮影をしていると、女将さんが話しかけてくださった。とても気さくな方で、話していて安心感のある女性だった。

私が歴史調査をしていることを話すと、どうやら女将さんも歴史が好きらしく、様々な話をしてくださった。

 

一番驚いたのは、つい最近まであった「なりた旅館」の建物。

やはり、駐車場になっている場所にあったようだ。昨年の秋、千葉を襲った強烈な台風の影響で、瓦が大規模に破損してしまったとのこと。その修理費は1千万かかると言われ、やむを得ず取り壊しになったのだとか。一歩来るのが遅かった…

 

現存している時の貴重な写真を見せてくださった。

 

今は無きなりた旅館の姿

鮮やかな青い壁。

 

そして、天井のデザインがとても素敵だったとのこと。

台風の影響は、古い建築にとってはかなりの痛手だ。今年取り壊される予定の「玉川旅館」も、同じような影響を受けていると聞いた。

 

しかし、そういった被害に対する補助は少なく、台風の対応に追われている間に、新型コロナウイルスの影響も出始めてきたという。追い打ちをかけるように災難が続く。

 

なりた旅館も、学生の合宿、イベントがキャンセルになっている。が、ビジネスマンの宿泊はそんなに変わらず…ということなので深刻ではなさそうだった。観光ではなくビジネスホテルだったことが功を奏しているのかもしれない。

 

「なりた旅館」の昔

なりた旅館は、最初から旅館業ではなかったようだ。最初は、自転車屋、薬局屋と時代に合わせて転業し、本千葉駅が開業するとともに、宿泊したいビジネスマン向けになりた旅館を開業した。

 

以前は、近くに同様の旅館があったようだが、無くなってしまい、現在は西千葉の旅館組合に入らせてもらっているのだとか。

(西千葉にも古い旅館があるのだろうか…今度散策しよう)

近寄ってきた猫ちゃん

 

女将さんから伺ったこと

なりた旅館の玄関には、かなり古い時計が飾ってある。

これは、取り壊されたなりた旅館に飾ってあったものらしい。

よく見てみると、なりた旅館を書かれており、

デザインも凝っている。とても価値のありそうな時計だ。

そして、この時計は珍しい「愛知時計」だそうだ。

現在は、水道・ガスメーターの会社。

中央に愛知時計を書いてある

近くにあった病院にも同様の時計があったそうで、当時は主流だったのかもしれない。

 

また、女将さんが歴史に興味があるということもあって、昭和の時の千葉の地図を引っ張り出してくれた。

地図は今と比較するためにもとても貴重な資料だ。見ず知らずの私に、親切に地図や写真を見せてくださる女将さんの人柄に惹かれ、なりた旅館に宿泊してみたくなった。

昨今の新型コロナウイルスの影響は、各地で影響を及ぼしているが、、「なりた旅館もこれからどうなるかはわからない」と遠い目で語っていた。ビジネスマンの宿泊はそんなに影響がないが、最も大きいのは学生の合宿など、イベントが軒並み中止になっていることだ。県の文化会館も近いため、送迎の運転手もよく訪れていたそう。団体客の影響がどれくらい及ぶかはわからないが、変わらずに元気でいて欲しいと心から思う。

 

(訪問日:2020年6月)