習志野騎兵旅団旧兵舎|東邦大学構内に存在した兵舎の解体前見学会
2022年秋、船橋市の東邦大学内に存在した習志野騎兵旅団旧兵舎が解体されることになり、解体前の見学会に参加してきました。現存最古となる騎兵旅団兵舎の最後の記録です。
習志野騎兵旅団旧兵舎 歴史
千葉県船橋市三山2丁目2「習志野騎兵旅団旧兵舎」
東邦大学習志野キャンパス構内に現存していた建物。
その歴史からまず。
明治33年(1900)に建てられ、122年の歴史がある建物であった。旧陸軍騎兵連隊の木造倉庫として使用され、現在確認できるものでは唯一という。木造倉庫は幅18・2メートル、奥行き9・1メートル。
2014年まで武道場として使用されていたが、現在は老朽化のため使用されていない。
現在の東邦大学や日本大学が置かれている場所には戦前、陸軍騎兵第1旅団の第13、14連隊が置かれていた。
司馬遼太郎によるドラマ「坂の上の雲」でも話題になった「日本騎兵の父」秋山好古の像は大久保の商店街に設置されている。今は学生が行き交う商店街だが、かつては軍との関わりが強い商店街だった。その時代を生きた建物もこれで幕を閉じる。
今回の解体はキャンパス構内に道路を整備するために取り壊しが決定したそう。調査を進めてきた山岸先生は私も良く知る方ですが、保存・活用についても要望されていたそうです。老朽化問題もありますが、この建物はまだ大丈夫だろうという歴史的価値を感じていたので残念。最後に見学会が開催されただけ良かったのかもしれませんが…
一般公開 旧陸軍騎兵連隊の倉庫
一般公開は、2022年10月30日・11月5日の計2日。建物の周りと建物内、そこまで広いスペースではないが自由に見学することができた。
柱の組み方が明治初期の陸軍兵舎と同じだという。よく目に焼き付けておかなければと思い撮影。
武道場だった頃の名残を感じる。
建物の反対側に回ってみた。
隣は日本大学、新しいキャンパス内の建物に囲まれてより古く見える。
反対側(日大側)にあった出入口。こちらは軒下や持ち送りの装飾が少し残っているように感じました。
換気口に残る五芒星
そして注目ポイントが、建物南側角に位置する換気口。そのカバーに陸軍が使っていた五芒星(ごぼうせい)の文様が見られる!
建物で使用されているれんがや、五芒星の文様は船橋市の郷土資料館に寄贈される予定らしい。私も習志野の歴史を語る会として一部れんがを引き取りました。
これはおまけショット。騎兵連隊当時の軍服と当時撮影されたであろう絵葉書を旧兵舎前で撮影。時代を超えて再集結。
騎兵第十三連隊発祥の地碑と稲荷大明神
そして旧兵舎周辺の碑など。
こちらは南側に位置した稲荷大明神。
見学の時間があまり取れなかったので玉垣の文字一つ一つは確認できず。
「かつて存在せしものは、
時代の価値観をこえて保存し、
記念すべきものである。
それが、文明というものである」
司馬遼太郎
旧兵舎の保存が叶わなかったことこの碑を見て改めて残念だなと、この碑や稲荷大明神も今後どうなるのか…
また、こちらは反対側の日大学の中にある石碑。騎兵第十四連隊発祥の地碑など。先ほどの五角形の柱が奥に見えます。
この日は最後の見学会とあって習志野や建築に関する方々と出会い、情報交換をしながら周辺を少し探索しました。この時の繋がりが今も生きています。建物が解体されることで出会える新たな縁もあるのです。
(訪問日:2022年10月)
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