釈迦町商店街~湊中央商店街。UFOみたいなレトロ街灯 -茨城⑸

那珂湊(なかみなと)は江戸時代から水運が栄え、大洗遊廓に関しては関東三大遊廓と呼ばれていたなど賑わっていた町だ。現在は、那珂湊おさかな市場や、大洗海岸などが観光スポットとして有名である。今回は、かつての賑わいを残す商店街を探索してみることにした。
スナック街、那珂湊反射炉跡から那珂湊おさかな市場までの道のりである。
カラフルなスナック街から
カラフルなスナックが並ぶ那珂湊天満宮の近くから、那珂湊反射炉跡を目指して北西に進む。ひたちなか市釈迦町の住宅街だ。

反射炉跡の入り口を反対側を歩いていたため、北に曲がる。少し高台になっている坂道の途中で、何やら不思議な建物が見えてきた。

赤い扉に、花のようなものが飾られている。こういった扉は初めて見た。奥を覗いたが、お店でも無さそうなくらい狭いスペース。

裏手は普通の民家のようだが、人の気配はない。果たしてどのように使われていた建物なのだろう。

宗教施設という見方があるが、私は断定できないと思う。ただ単純に花が好きな方が住んでいたのかもしれないし…

階段を下ると
丘の上を登ったと思ったら、階段が出現。高低差を感じるが、冒険みたいでなんかわくわくする。

階段ではなく、下り坂だった。視界が開ける。正面は草むらが広がっていた。

草むらの中、木造2階建ての建物が見えた。坂の上からだとちょうど2階部分の位置にあたる。

倉庫のような建物だが、屋根がかなりボロボロ。周辺に建物がなく、あっけらかんとしているのが気になった。

と思ったら、奥に見えるのは建物が焼けた痕跡も。倉庫まで同じ敷地であるのであればかなり広い敷地である。火災が起きてしまったのだろうか。
表に回ると、立派な木造の建物があった。エビスの飼料のホーロー看板があるので、飼料のお店だったのだろうか。このマークは現在の住友化学の商標でも使われているらしい。

火災について調べたところ、2020年3月9日にこの場所で大火災があったようだ。今年の3月というとつい5か月前ほど…

那珂湊周辺では1947年に町を焼き尽くす火災があったため、古い建物はあまり残っていないのだとか。今回焼けてしまった建物も、もしかしたら相当古い建物だったのかもしれない。

古い民家の入り口にはレトロなランプが残っていた。

古い建物を残してほしいとは思うが、木造建築は火事が起きやすい。火災が起きてしまって被害が出てからでは遅いので、無責任に古い建物を残すべきだとは主張できない。古い建物を安全に残していくためにはどうすればいいのかを考えるべきだ。
壊してしまっても、振り替えることができるように丁寧に記録に残しておこう。

那珂湊反射炉跡周辺
ちょっと途中の道程をスキップして那珂湊反射炉跡へ。那珂湊反射炉跡から引き返し、再び探索することにしよう。
那珂湊反射炉跡の近くにあった魚屋。「角屋魚店」である。

民家の庭にあったお面。なぜそこに…

右手が那珂湊反射炉跡の入り口。幕末に建てられた反射炉は、周辺も大層賑わっていたと思うが…

レトロな街灯
賑わっていた証拠として、レトロな街灯がいくつか残っていた。その中でもUFOみたいな丸い街灯を発見。他の場所では見たことが無いレアな街灯だ。

どのように灯りがつくのか見てみたい…同じ通りでもこの一本しか残っていなかった。
下の街灯は、他の地域でも見かける傘のような街灯。宝石になった街灯とも呼ばれているのだが、本当に宝石みたいで気に入っている。

昔の写真を見ると、この通りには同じような街灯がいくつか存在したみたいだ。現在残るは2本のみ。


街灯に書いてある大洋ノーズル工業は建物も残っていた。

つるや製菓の街灯は新しいタイプに変わっていた。つるや製菓は水曜日が定休日。残念ながら営業していなかった。イチゴダッペが有名らしい。

つるや製菓の隣にある和洋折衷のような建物。かなりの豪邸。

庭は草木が茂り、人気が無い。海風の影響か、建物の高さは低いという。

重く絞められたシャッターが並ぶ。商店街の名前もわからないほどに、この通りは静まり返っている。

交差点のあたり
先ほどの火災があった建物がある交差点のあたり。ここを北東へ進むと、那珂湊駅に通じる。

美容院の痕跡が残る建物。1947年の大火の跡に整備された建物だろう。

その隣には街灯の痕跡。理容所と書いてあるのが見えるが、昔はレトロな街灯がついていたのだろう。

右手に見える建物は、根本園。

茶葉販売店としてグーグルマップにも載っている。

警ら箱という白い箱が気になった。初めて見たが、昔はよくあったものらしい。目安箱のようなもので、巡回している警察官が回収するのだとか。

釈迦町~商店街らしき街並み
旧町名の石碑が至る所に設置されているので、探索していてわかりやすい。

遊座医院。遊座という名称がとても独特。何か地域と関係ありそうだがわからなかった。

明石屋は印刷会社のようだ。うちわ・カレンダーの販売を行っていると、那珂湊の地図にも紹介されている。老舗のようだ。

とある電柱の広告。カモガワジムというのも古そうだ。

かつて商店だったであろう建物が、数多く残っているのだが住宅地図を手に入れなければ調べられない…

葉が生い茂っていてよく見えないが、奉行所の跡だろう。

書道教室と、郷土芸能である磯節道場とある。

2階にCBAINの文字が設置されている。どんなお店だったのだろう。

商店がいくつか並ぶ通り。周辺は空き地が目立つが、びっしりと商店の建物が並んでいたと想像できる。

宝月支店。蕎麦屋あたりだろうか。看板建築だと思われる。

肉のヨコスカは、シャッターに描かれた豚、牛、鶏のイラストがキュート。

肉のヨコスカの横道を進むと、スナックが何軒か並んでいる通りに出る。

病院建築
昭和の病院建築は、個性的でとてもすきなのだが、那珂湊天満宮の近くの角にも残っていた。

宇津美眼科医院。左奥には那珂湊天満宮がある。

お知らせには移転したことが書いてあるが、そのお知らせもかなり昔のものと思われる。

ほんのりとピンク色の壁が見える。病院建築は色がついているものが多い。

GoogleEarthでは、この病院建築の向かい側あたりに黄色の豪華な看板建築が残っていたのだが、私は探索の際に気が付かなかった。もしかしたら既に取り壊されてしまったのかもしれないが、昔は看板建築が並んでいた通りだったのかも。
湊中央の建物
釈迦町から湊中央へ。ポツポツと古い建物が残っている。

飛田時計店。腕時計専門店だそうだ。「確かな技術と信頼で半世紀」とサイトに載っている。地元の方に信頼されている時計店だ。

総合飲食店ニュー小藤屋は、スナックが並ぶ通りとしても紹介した。

現在は営業していないみたいだが、総合飲食店というくらいなのでかなり飲食店が入っていたと思う。過去の写真などを見てみたい。

那珂湊おさかな市場の方へ近づいてきた。こちらは少し新しめの建物が残っている。

大野屋食品マートは、今でいうコンビニエンスストアのようなものだろうか。町に溶け込むスーパーマーケットだ。



大野食品マートの向かい側の路地を覗くと、スナックが数軒並んでいるのが気になった。詳しくは前回の記事で。

湊中央通り
スナックが並ぶ路地を抜けると、湊中央通りと書かれた商店街へ。こちらは街灯も綺麗に残っているので現役の商店街かもしれない。

左手に進むと那珂湊駅だが、戻る時間がなかったため先を急ぐ。街灯が残っているので建物も多そうなのに…

那珂湊おさかな市場の方に駐車しているので、右手に進む。

角にある建物は、側面にタイルの装飾があってなんだかおしゃれ。


丸い窓が印象的なmusic shop HANABISHI。ピアノ音楽教室も営業しているみたい?

みなと生花店。看板の色味からして歴史を感じる。


四郎助稲荷神社周辺
このあたりにも商店街と言えるような商店が立ち並んでいる。

六角形のまるでハチの巣のような窓がついたビル。元々は岩瀬茶園が営業していたらしい。


ザ・中華料理屋!という雰囲気の角六。現在は静まり返っていて悲しい。

大きな丸い入り口から入ってみたかったなあ。



シャッター商店街になってしまっている通りであるが、四郎介稲荷神社という鳥居が見えてきた。

調べてみると、大漁・海上守護、そして『四匹の狐』という地域の民話にも関係する場所であるのだとか。

100mほどの参道が奥に続いている。狐が他では類を見ないたれ目らしく…今回は見逃してしまったけど次回立ち寄りたい。



本通り
那珂湊港の近くにある本通りは、交通量も多く賑わっている様子。観光客の姿もちらほら。

本通りの表示が少しレトロ風。

古そうな薬局だなと思って近づいてみたところ、

古い薬局にはよくある明るい家族計画の自動販売機を発見。

近代建築風だけど、茨城県信用組合湊支店。最近建てられたものかな?

寝具店「げんぼや」から覗く永遠の神の文字が目立つ…

緑色の渋いタイルが素敵な看板建築。

那珂湊港へ戻るため、東へ曲がる。住宅街の中へ。井戸が残る古そうな建物を発見。

違う建物の玄関先にあった石の上には緑色で統一されたタイルが残っていた。

この石は何に使っていたものなのだろうか?夏にぴったりのタイルだ。

那珂湊港へ戻ってきた。那珂湊港でお昼ご飯を食べ、反射炉跡から商店街を巡って2時間弱。駆け足だったのでじっくり見ることができなかったが、

今度は那珂湊駅から探索してみたいと思った。商店街がいくつも残っていて見所がたくさん。これからも古きよき町を残してほしい。
(訪問日:2020年8月)
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やっぱり街灯で最高なのはアダムスキー型だよね