那古寺の門前町の商店街。”赤井の下通り”沿いの老舗と歴史 -那古⑵

那古寺の門前町の商店街。”赤井の下通り”沿いの老舗と歴史 -那古⑵

那古寺の門前町として栄えた街並み。まずは、西側の蕎麦屋「明月庵」周辺から。ここから既に門前町としての賑わいを感じる街並みが残っています。

那古寺の門前町「明月庵」

千葉県館山市川名708。県道302号沿いにある蕎麦屋「明月庵」。趣のある建物が素晴らしくて目に留まった。

蕎麦屋「明月庵」

しかし、現在は閉業とのこと…2019年頃までは営業していたのに。またしても一足遅かったようだ。

閉業…

昭和35年の住宅地図を見ると蕎麦屋「明月庵」の西側に「信用金庫那古支店」があったが現在は近くに移転。

少し戻るが、西側の同じ通りに最近まで和菓子屋「月見里」というお店もあったようだ。

そして、この辺りは大正時代に「川名通り」と呼ばれていた。バス停の奥にある鳥居は権現様とあるが、木々に埋もれている…

川名バス停奥にある鳥居?

また、現在は全く面影が無いが、右手に「長井旅館」が昭和35年の住宅地図に載っている。この旅館は大正時代には「宿屋長井楼」という旅館だった。那古寺の表参道からは少し離れているが、駅から歩いて訪れる人が多かったと思うので、この辺りも発展していたのだろう。

大正時代、他にも団子屋3軒、菓子屋、旅館が並んでいた。

山側、観光会社の名残
那古観音が見えてきた
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赤井の下通り

川名通りから、「赤井の下通り」と呼ばれていた通りへ。右手にあるのは「高瀬菓子舗」。現在は閉まっている。

高瀬菓子舗

高瀬菓子舗の向かいの建物の間の細い道の先に、那古観音へ通じる裏参道(女坂)があるらしいが、私は見逃してしまった。

赤井の下通り

那古観音側に並ぶ小屋は居酒屋だろうか。3軒ほど並んでいるがどれも閉まっていて寂しい。

元居酒屋?

そしてその向かいにある建物!こちらは老舗の「喜寿屋酒店」の倉庫である。道を挟んだ右側に店舗がある。

喜寿屋酒店 倉庫

写真中央の道がかつて「中浜通り」と呼ばれていたそうだ。

中浜通り

喜寿屋の倉庫、2019年のストリートビューには明るい家族計画の自動販売機も建っていた。なぜか2017年のストリートビューでは中身が見えているのが気になる。

右読み、旧字体「喜寿屋」に歴史を感じる。大正時代初期の資料にも載っている、貴重なお店。現在も営業中で嬉しい。

喜寿屋の文字
洋風な持ち送り

その隣では青果店が営業中だった。昭和35年の住宅地図では「はぐまパチンコ」とある。パチンコ店が存在したほど門前は賑わっていたのですね…

青果店

そして、角の岡本商店は、大正時代は甘酒屋の「相模屋」というお店だったそうだ。門前の甘酒屋さん、現在も営業していたら良いのにな~と思ってしまった。

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那古寺(那古観音)

千葉県館山市那古1125。那古船形駅から歩いて15分ほど。那古寺の表参道へ到着!坂東三十三番結願所・補陀洛山那古寺の公式ホームページがオシャレ。

那古寺表参道

『那古寺縁起』によると、奈良時代、行基が元正天皇の病気平癒を祈るためこの地を訪れ、千手観世音菩薩を安置して祈願すると、天皇の病気は平癒し、天皇の勅により建てられたのがこの寺であるという。その千手観世音菩薩は国の重要文化財に指定されている。

男坂の表参道を登ると、門前町の街並みを一望できます。

表参道を振り返ると

千葉懸有形文化財の「木造阿弥陀如来像」についての説明看板。通常は一般公開されていない。

木造阿弥陀如来像

江戸時代には、江戸で御開帳なども行っていたそうで、県外からも信仰が厚かったことが窺える。

仁王門

訪れた日が平日だったからか、とても静かな境内だった。

境内の様子

景色も良いので散歩コースにぴったり。駐車場も完備されている。

那古寺からの眺め

また、那古山みちしるべという看板があった。

那古山みちしるべ

那古山山頂の標高は82.7m。展望台を通って周回できるコースは魅力的だ。しかし、現在は崩落によって通行禁止になっているのだとか。再開したら歩いてみたい!

今回は、次の電車が迫っているので那古寺はここまで。門前町へ降り、船形を目指した。

那古寺周辺の街並み

門前町の歴史については次回の記事でたっぷりと。

表参道の近くにある、マスヤ種苗店。その裏に近代建築があるのを見逃していたので2019年のストリートビューを添付。

二階建ての洋風な建物。昭和35年の住宅地図だと「都出美容室」とある。現在も残っているのか、また今度確かめに行きたい…

那古寺を初めて訪れた感想。お土産とか菓子店などが全然無く、那古寺を参拝した帰りに立ち寄れる場所が無いのは寂しいなと思った。

次回さらに昔の賑わいについてまとめるが、今回の現状と見比べると胸に迫るものがある。

 

(訪問日:2021年9月)

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