「茂原榎町商店街」の現在。「まちの顔」だったアーケード商店街は… -茂原⑷
千葉県の茂原は、どんなイメージがあるだろうか?都心からはちょっと離れていて、よく知らない人も多いのでは?私もその一人だった。
しかし、茂原の街にはレトロな商店街が複数存在する。情報が少ない商店街なので、この記事を通して記録できたら嬉しい。
駅前通りからつづく、レトロな建物たち
千葉県茂原市茂原。外房線「茂原駅」西口から、駅前商店街を通って徒歩10分ほど。
駅前の商店街については、前回紹介した通り。和菓子屋が盛況だったが、それ以外はシャッターだった。
お食事処「ふらいぱん」。寿司・弁当の文字が見える。入ってみたかったなあ。
その隣には、ピンク色の小さなお店?!
乙女心をくすぐるデザインに一目惚れ…
クレープハウスのようだ。原宿へ行くのも遠いし、茂原のクレープ屋さんは人気だったのかな。
2015年のストリートビューを見ていたら、クレープハウスの建物が向かい側にあったことを発見!
レンタル&スロットの4階建ての建物が更地になったから、移設したのかな?解体されずに残っていて嬉しい。
「茂原榎町商店街」について
駅前通り商店街を西へ行くと、舗装された道路が目の前に。無知でも、ここから違う商店街なのだとわかる。手前は更地が多いが、ここから先は比較的建物が残っていそうだ!
そう、ここからが今回のメイン「茂原榎町商店街」。道は奥までつづいている。みなさんはどんな印象を持つだろうか?
私はこの商店街のことは全く知らないが、直感的にここはアーケード屋根があったのではと思った。彩られた道路に、太陽の光がまぶしく感じるからだ。
舗装された道路の竣工は昭和60年3月。
調べると、「茂原榎町商店街振興組合」が作成した資料に、商店街の現況や今後の取り組みが書いてあるので参考になった。
商店街の現況
商店街・地域の特徴
・「まちの顔」としてかつては賑わいをみせた
・昭和50年にアーケードを建設するが、平成15年に老朽化により撤去する
・7月下旬に開催される関東屈指の七夕まつりは、本商店街が中心的な会場となっている
・近年は、大型店の立地やチェーン店などの影響もあり、来街者数は減少している
アーケードがやはり、存在したのだ。平成15年というと、2003年か。20年近く前なのでネットにあまり写真が無いが、2002年の様子が動画に映っていた。
全蓋式アーケード…想像以上に立派ではないか…!この賑わいはどこへ行ってしまったのだろうか。
しかし、最近はロケ地として新たな価値が見出されているという。看板に映画『浅田家!』のロケ地の説明が。
ロケなびにも、『「何もない」が逆にイイ!昭和レトロな「榎町商店街」で、写真映えを探して歩く』と紹介され、コードブルーなどの撮影でも利用されているのだとか。
昭和のまま時が止まった商店街は、撮影セットでは味わえない深みがあるのかもしれない。
「まちの顔」だった榎町商店街の現在
歴史を知ったところで、現在の様子を見てみよう。
商店街の右の道の奥には豆腐屋が。商店街以外にもお店が多く存在したんだろうな~
本当にここにアーケード屋根があったのだろうか。20年前の話が、まるで別の世界の話のように見える。
まず目についた「岡本魚店」。オレンジの文字が良い。
アーケード屋根があったら、建物の外観はわかりづらいと思うので、今は建物好きには良い環境だ。
隣は、壁面がボロボロに。どんなお店だったんだろう。
空き地を挟み、昔ながらの青果店が営業していた。
現在、看板は無くなっているが「市東青果店」だという。おじさんが、一人で営業していた。
しかし、周囲は衣料品店の建物を残し空き地が目立つ。
向かい側は巨大な空き地。どんな建物があったのか…2002年の動画を見ていたら、ショッピングセンター「たわらや」の大きな建物が見えたから、もしかしたらここかも。
青果店が営業しているのが奇跡なくらい…
商店街の中心部
商店街の中心部あたり。
平日の昼間。誰もいない。確かにこれだけ静かであれば、撮影も苦ではないだろうな。
自転車屋「山一輪業」は移転したらしい。
制服を扱っている衣料品店では「新学期セール実施中」の看板…
フォントが素敵だなと思ったら、うっすらと「パンとケーキ…」が見える。
木更津の商店街に比べたら、空き地の面積は少ないかな…商店街の雰囲気はまだある。
そして、一つ一つの建物が個性的で見ていて飽きない。
隣の和風な建物はどんなお店だったのだろう?呉服店?
電化ハウス「ブラザー」は営業中。
隣は元文具店「成美堂」。3階建てのビルだ。
向かい側にあった食堂「大和屋」は営業していなかった。残念。
学生服を扱う「サカモト」は、元「モバラヤ」の建物を居ぬきに。
なんて空が青いんだろう。感傷に浸りながら歩く。
小さなお店が並ぶ。今はどんなお店だったのか想像することしかできない。
その中でも注目したのがこの建物!どこがポイントかわかりますか?
隠れていて見えづらいが、看板がガラス!ガラス看板は貴重なんです~!
資生堂とあるので、ここは薬局かな?屋根に守られて、ガラスが割れていない。
とても綺麗な看板だけど、割れてしまうなど危険性があるため、最近は見ないのだろう。
向かい側、2012年には無かった建物ができている。
減る一方だと思っていたのに、お店が増えているとはびっくり。
隣には大衆食堂の見本のようなそば屋「末廣屋」。ここでランチを頂きたかった。
そば屋の向かい、門柱に「大和屋旅館」とあるのを見逃さなかった。
なんと!!創業明治元年、純和風の老舗料理旅館!!
調べてびっくりした。ホームページがあるので今も営業されているのだろう。こういう旅館で誕生日とか過ごしたいなあ…
カラフルな建物
そして商店街の途中で見つけたカラフルな看板建築?が目立っている。
「うおすけ」はお弁当屋さん?営業中~
あまりにもカラフルでテンションが上がったので、建物と一緒に撮影してもらった。
「茶太閤」は、先ほど新しく建物が建っていたお店だ。どうやら、この場所から移転したようだ。
あ、この窓は?!なんの建物かわかりますか?
正面から撮影するのを忘れてしまったけど、この建物は理容室。よくこういう四角い窓を見かけるので目印に。
電柱にはアーケードの文字が。
ちなみに、人通りは少ないが車がたまに通る。抜け道になっているのかも。
榎町商店街を振り返る。奥まで密集している商店街の街並みを、この目に焼き付けておこう。
榎町から銀座商店街へ
交差点を渡って直進。まだ榎町商店街はつづいている。
手前にあるディスカウントショップ「ミナキヤ」、雰囲気好きだな~こういうお店に掘り出しものがありそう!
ちなみに営業している2012年のストリートビュー。うわあ、レトロなものがたくさんある…
榎町商店街の街灯が立っているが、照明はついてなかった。
スーパーの「LIFE」は工事中?だった。
スーパーの斜め向かい、民家にしては造りが変だなと思っていたら…
「鬼島歯科」の看板が2012年のストリートビューに載っている!!(違和感の正体が病院建築と知って歓喜)
現在は門柱が取り払われ、改装されている。左の入り口は薬局だったのかな?なんて想像を巡らせてみる。
隣にも好みな看板建築?な建物を発見!
「ヤリタ靴店」。ピンク色に塗られているが、かつてはタイルが綺麗だったんだろうな~
右には、ビデオショップ「パラダイス」があったが無くなっている。
このピンク色が青空によく映えるな~
ミセスショップ「オカザキヤ」。閉店している。向かい側には「千葉興業銀行茂原支店」の建物があったが、数年前に取り壊しに。
計量器の「枡屋商店」。計量器のお店なんて初めて見た。
2015年のストリートビューを見たら、ショーケースにレトロな瓶が写っている。
販売しているかわからないが、貴重なものがありそうだ。
榎町商店街の通りにある「銀座商店会」のレトロな街灯。
茂原の顔だった、榎町商店街。今はロケ地として新たな人生を歩んでいるため、他の地域にある廃れた商店街とは違った雰囲気があった。
建物はまだ生きている。
訪れていない人はお早めに。素敵な建築が茂原にありますよ!
(訪問日:2021年3月)
-
前の記事
茂原「河野写真館」明治創業のレトロな洋風建築はロケ地にも -茂原⑶ 2021.07.15
-
次の記事
「銀座商店会」茂原の”銀座”にはレトロな建物が残っていた -茂原⑸ 2021.07.16
大変貴重な記事をありがとうございました。楽しく拝見いたしました。
確か、冒頭のクレープ店舗を残して解体された4階建ての建物が、お話にあるたわらやだったと思われます。
(1988~92年の記憶です。)
たわらや、そちらでしたか!地元の方からの情報ではないと知らなかったので助かります。また他にも覚えていることありましたら、コメントお気軽にください~
あ!このクレープ屋さん食べたことあります。
私今30才なんですけど、中1の頃学校帰りに150円で
チョコ味買ったら、チョコのトッピングのパリパリのやつ(?)
だけ入ってて不味かったことを覚えてます。
後ろのレンタル&スロットはそれより以前
「たわらや」という布生地屋さんでした!
その「たわらや」は「パシオス」に変わるってことで
潰れたんだ、みたいなことを母が当時行ってました。
「パシオス」は「しまむら」みたいな店で同じ茂原市内に
新しい建物でオープンして今もうちの近くにあります←
「たわらや」では小6の時に家庭科で使う布を
母と買いにいって、中に入った記憶があります!
後が駐車場になってました。
その時点で不安になるぐらいボロい建物でした。中も!!笑
茂原のことならお役に立てそうで
一緒に街を回りたいぐらいです!笑
はじめまして。父(現在81歳)の実家が榎町商店街にあったため、懐かしい気持ちで読ませていただきました。(子供のころよく七夕まつりに行っていました。)
また、父に記事をシェアさせていただきました。
父は折に触れ茂原の同級生と連絡をとったり、趣味の集まりで大和屋旅館さんで会合をしたりしているそうです。
最近長生高校の学生さんが昔の街の様子を父の同級生たちに聞き取り、新聞か何かにまとめたようだと父に聞きました。
コメントありがとうございます!
地元の方に読んで頂けて嬉しいです。
高校生が記録にまとめられる活動、気になります。素晴らしい取り組みですね!
今年、4年ぶりにこの商店街で七夕祭りが行われます。駐車場を調べていたら、こちらにたどり着き懐かしく読ませていただきました。タワラヤはそれ以前トーコーデパートと言い、近くのサカモトと2代巨頭のデパートでした。クレープ屋さんも懐かしい。その向かいにとらやというスイーツ喫茶がありました。隣に、たしかモスバーガーもあったはず。みずさわや豆腐店で高校生の頃(40年前)バイトをしました。岡本魚屋は、父が手伝いに行っていたこともあり、七夕まつりに行くと店頭でイカ焼きが長蛇の列で、飛ぶように売れていました。まだ建物が残っていたのですね。最近は河野写真館がテレビの撮影場所としてよく使われていて嬉しく思います。またぜび訪れてください。
コメントありがとうございます!今年惜しくも用事があり参加できず来年こそは行きたいです!
トーコーデパート、初耳でした。本当に茂原の中心として栄えていたのですね。老舗旅館もまだ残っているのでまた伺います!