茂原「藻原寺」の巨大胸像と県内唯一の人車現存車両 -茂原⒄
茂原駅から西に位置する「藻原寺」へ。文化財の山門、巨大な日蓮上人の胸像が目を引くと地元の方におススメされた場所です。
そして隣接する「茂原市立美術館郷土資料館」にて茂原にかつて存在した南総鉄道についての資料を見学しました。
茂原「西町商店会」
茂原、榎町商店街にある老舗旅館「大和屋旅館」に宿泊し、1泊2日の街歩きをしている続きの記事。旅館でチェックアウト後、旅館から西へ進み、昌平町通りへ。
以前記事にまとめたが、この通りの歴史は古く、現在も定期的に市が開催されているという。「昌平町商店街」江戸時代から400年つづく市が開催される歴史ある通り -茂原⑺
茂原は駅前よりも今回行く、藻原寺を中心に昌平町通りが古くから栄えていたので古い建物が好きな方は駅からぜひ足を伸ばして歩いてみてほしい。
菱太商店、今回よく見ていたら1階の屋根の部分に渦巻のようなデザイン。これはどういう名称なのだろう?
調べると、この文様は「三つ巴」というものらしく、防火を願ったまじない。また、屋根の組棟の部分には、波の文様が描かれていた。さらに、下側の屋根瓦が浮いているのも気になる。
昔の建物は今のように画一的な建物ではなく、1つ1つに想いが込められていて見飽きないなあ…
昌平町通りから国道を渡って西側の道へ。
商店街の雰囲気は感じられないが、街灯に「西町商店会」とあった。
調べると「茂原市西町商店会」の店舗が詳しく紹介されていた。
茂原市役所すぐ近く!茂原市西町商店会はエリア内に藻原寺・茂原公園・妙光寺といった風光明媚なスポットもあり、花や緑がいっぱいの“自然と歴史に恵まれた商店会”です!
歴史と伝統、新しい商業施設など融合した西町商店会は、ふるさと茂原の中でも住みやすい街として輝き続けています★
茂原市立西小学校の南にある和菓子屋「三矢菓子店」が気になるのでまた今度訪れたい。
藻原寺
千葉県茂原市茂原1201。茂原の名称の由来にもなった「藻原寺(そうげんじ)」へ到着。駐車場が右手にある。
日蓮聖人が、お題目初唱をした霊場として知られ、日蓮宗の中で最も古い歴史を持つ寺の一つとして知られているそうだ。
駐車場の隣には、大きな日蓮上人の胸像が…!
2018年頃に完成したものだが、資金不足のため頭部しか出来上がっていないらしい…
2010年から本格的に大銅像計画は始まり、没後700年にあたる2013年に完成予定だったが東日本大震災などの影響で寄付が集まらず、計画が先延ばしに。私は遠くから見ただけだったが、鎌倉大仏の倍以上の大きさらしく、インパクト大。
いつか完成することを願いたい。
参道を歩くと正面に、宝塔式山門が見えてきた。まるで竜宮城のような美しい山門は晴れた空によく似合う。
昭和62年頃の写真と比べると真白な外観になっているので、最近塗り替えられたのだろうと思う。
昭和8年(1932)建造のコンクリート製多宝塔形式。高さ25m。
今年でちょうど90年の歴史を迎える山門は別世界への入り口のように美しかった。
山門に描かれている鳥獣?の絵も見事だ。
正直、炎天下の中ここまで歩くのは心が折れそうだったが、美しい山門を見ることができて救われる思いだ。
境内を進み、振り返ると本堂と山門が視界に広がっていて素敵だったので撮影。奥には四季折々の花が美しい茂原公園があり、広いので1日楽しめそうだ。
池の真ん中にある茂原弁財天。桜の時期に訪れてみたい。
茂原弁財天から西にある、茂原市立美術館郷土資料館に見学へ。全国的にも珍しい、美術館と郷土資料館の複合施設だそうで見学は無料。
茂原・人車軌道の歴史
今回郷土資料館に訪れた目的は、茂原にかつて存在した鉄道について調べるため。以前、本町通り商店街の記事で商店街に茂原人車軌道が通っていた事を書いたが、客車が郷土資料館に展示されていると聞いた。
人車(じんしゃ)
茂原駅前から長南の地蔵町の間、千葉県の事業として鉄道連隊の手によって鉄道が敷設され、明治42年に開通しました。軌道は街中では道路の中央、街外では道路の南側に敷設されました。
展示されている人車は県内唯一の現存車両だという。貴重なものだ。
日本各地で行われていた、人が動力になって車両を通行する「人車軌道」。2人一組で押し、勤務量は1日2往復。千葉県では4路線あり、茂原を通っていたのは「県営軌道 庁南線」。
客車は定員8名。輸送の効率が悪かったため、バスやトラックの普及によって大正の終わりには休業になったという。
人が押して進む電車、今では考えられないな…
薄い水色?100年近く前の車両が当時のまま綺麗な状態で残っていて感動した。
そういえば、東京都葛飾区柴又の「寅さん記念館」にも「帝釈人車鉄道」の展示があって、そこで乗車体験ができるのを思い出した。各地に存在した人車軌道を調べてみるのも面白そうだ。
4人乗りの簡易な車両も。
南総鉄道・藻原寺駅前
郷土資料館入り口には、鳥瞰図と鉄道に関する資料があった。
右上の青色が藻原寺、ピンク色が藻原寺前にあった停車場である。
人車の後、昭和5年から昭和14年まで、茂原駅~笠森寺間を走っていた「南総鉄道」。ポストカードが受付で販売されているらしい。今思えば購入すれば良かった…
藻原寺駅前の風景が長閑で今と全然違っていてびっくり。
人車軌道が時代遅れになり、蒸気鉄道の建設が計画されるようになり、大正15年(1926)に南総鉄道が設立された。茂原駅~藻原寺駅~長南駅~笠森寺駅~奥野駅(市原市)までを結ぶ12㎞。
だが、経営は苦しいもので赤字になり、昭和14年(1939)に廃止に。
茂原駅から南総鉄道に乗って藻原寺駅で降りることができるならば、参拝も便利だ…駅から歩くのには距離があると実感した。遺構は残っていない。
また、交通についての古写真がまとめられていた。
交通の歴史を調べると、今の私たちの便利な生活が当たり前ではないことを実感する。
当時の人力車も展示されていた。無料で見学できるのが嬉しい。
また、これ以外にも昭和の部屋を再現した展示も。
こちらは、大砲?!
千葉県指定有形文化財の、茂原市内で鋳造された一宮藩の大砲とのこと。
藻原寺参道の現在
茂原は藻原寺の門前町として発展したといわれている。そう考えると、藻原寺の参道は旅館やお土産店が並び賑わっていたのでは?と想像してしまうが、現在は全くそのような雰囲気は感じないなと思っていた。
先ほどの昭和4年の鳥瞰図には、境内に茶所があり、南側に南総鉄道株式会社の停車場。そしてその近くに劇場「亀鈴屋」というものが見える。
最初に歩いた、西町商店会の辺りに存在したと思われる。近くの橋と同じ名前だ。「消えた映画館の記憶」にも載っていない気がする。情報が無いなあ。
また、昭和26年に描かれた絵図には、藻原寺南側参道沿いに「温泉旅館」が描かれている!♨マークが目印。
尚、旅館の右にある「正林材木店」は現在も西町商店会で営業中。鳥瞰図にも載っているので老舗だ。
藻原寺参道の温泉旅館があったと思われる場所は駐車場&墓地になっていて面影も無い。
そして周辺を探索。保健センターの隣にある古民家が目に留まった。
立派な門は朽ちているが元料亭のような雰囲気だ。
また、藻原寺では、毎月第一、第三土曜日に40店舗が出店する骨董市が開催されているらしく、今一番気になっている骨董市だ。今まで私が知り合った骨董屋さんも多数出展しているらしいので近々また訪れたい。
(訪問日:2021年8月)
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