銚子・松岸駅。商店街と老舗の田杭商店・小林酒造場 -松岸⑴

銚子の探索の前に、1つ手前の松岸駅へ!
目的は、松岸遊廓。今は静かな駅だけれど、少し歩くと遊廓の歴史が…?自分の目で確かめたく降りることに。今回はまず、駅前と商店街について。
JR松岸駅と駅前
千葉県銚子市松岸町3丁目。JR松岸(まつぎし)駅へ到着。

総武本線と成田線の乗り換え駅ということもあるのか、グーグルマップの口コミ数の情報が比較的多い。

開業は、明治30年(1897)。看板は新しくなっているものの、駅舎は昔懐かしい雰囲気。

白に水色の屋根。千葉県内に昔のままの駅舎はいくつ残っているだろう。意外と少ない。

松岸駅の南側は田園地帯。今回は北側、駅前広場が整備されており、タクシー会社の建物がある。

駅前には自転車が並んでいる。通勤・通学で駅を利用している人が多そうだ。


駅を降りると、商店や食堂、中華料理屋など飲食店が見える。
その中でも特に気になったのが、「宮内食堂」。
あれ?「ワンコップ」というフリガナはどういう意味…?

食堂は営業中。駅前の食堂、雰囲気も良さそうなのでいつか入ってみたい…

食堂の斜め向かいには、中華料理屋「翠園」。こちらも営業中。

ヤマザキショップ松岸駅前店
駅の正面にあるヤマザキショップ。なんだか様子が違うな…
と思ったのは、最初駅を降りた時は営業していたのに、1時間後訪れたら閉店していた。営業時間が午前中だけらしい。

コンビニなのに、営業時間がとても短い…
その代わりに見つけたのが、森永乳業特約店の看板。

コンビニは閉まっていたけど、自動販売機は稼働中!これは嬉しい…

コーヒー牛乳、100円!瓶で飲むとすっごく美味しく感じますよね~
探索の休憩時間にぴったり。

昔でいう、ミルクスタンドみたいな役割?まさか松岸駅前で味わうことができるとは…最高!
気になる古民家
駅前から銚子大洋自動車教習所の横を通って、北側の大通りへ。

交差点の角に佇む古民家。私の勘が反応したのでいくつか撮影。

昔は商売をされていたのでしょう?道路側へと飛び出した屋根の下でどのような人々が集まったのだろう。

歩きながら、かつての街の賑わいを想像するのが癖になっている…

松岸商店振興会商店街
大通りの利根水郷ラインから北へ伸びる道。街灯が並んでいるが商店街名は記載がなく、調べると「松岸商店振興会商店街」という名称であることが分かった。

まず見えてきたのは「銚子ちぢみ伝統工芸館」。

江戸時代より400年間伝わる千葉県指定無形文化財、千葉県指定伝統的工芸品の第一次第一号指定の伝承織物「銚子ちぢみ」は独特の肌ざわりが特徴。500円台の小物から着物地まで各種展示販売しております。
体験講座は、ちぢみの白いハンカチに絞りをして天然の藍で、あい染めをして、お持ち帰りいただけます。約90分間で、10名様以上の団体は予約が必要です。一度の最大定員は、50~60名様です。
400年もの歴史がある無形文化財をこの場所で体験できるらしい。

【銚子ちぢみ】
江戸時代に漁師の婦女子が出漁の安泰と豊漁を祈って家内工業的に製造されたのが始まりです。
生地の丈夫さと肌触りのよさが珍重されましたが、次第に衰退し、大正時代末期には「幻の織物」となってしまいました。
その後、銚子市内で製綿業を営んでいた常世田真次郎さんの手により再興され、昭和29年(1954年)に千葉県無形文化財に指定された他、昭和59年(1984年)には千葉県指定の伝統的工芸品に指定されました。
現在は三代目織元・常世田眞壱郎さんに伝統が受け継がれています。
千葉県に長らく住んでいても知らない文化がまだまだたくさんあるな…銚子ちぢみの模様、とても素敵。だが、木曜日が定休日のようでお休みだった。
その隣、古そうな建物は寝具店。


その向かい側には木々に囲まれて鳥居が。

でも神社はさらに遠くだったので今回は向かわず。「八坂神社」の鳥居がこの商店街の通りにあるということからも、この商店街のかつての賑わいがわかる。

「自動車商」の鑑札。初めて見た。
自動車工場とかかと思ったけど、乗合自動車のような会社だったのかもしれない。


老舗「たぐい麺本舗」
こちらは「田杭商店」と看板がある。

日清製粉株式会社の特約店の看板。

小麦粉?と思ったら、麺類総合工場と書かれていた。調べると「引っ越しそばのたぐい麺」が出てくる。銚子では有名な麺類なのかもしれない。

創業は明治時代初期。ホームページに詳しくまとめられていて興味深い。
明治時代初期:全国から集まった物資や食糧を、銚子から利根川を上って江戸(東京)まで運搬する水運が隆盛であったことから、銚子市竹町にて廻船問屋を営む
昭和初期:鉄道の敷設により利根川水運も衰退し、乾麺の製造を始める。地下水質の良い土地を求めて、現在の松岸町に移住
終戦直後:食糧難の時代に小麦粉が入るのを活かして製パン業も始める
昭和30年頃:日清製粉の販売特約店となる
元々は、銚子市竹町で廻船問屋を営んでいた田杭商店。その後、水運の衰退にともなって、現在地に移住し、乾麺の製造を開始。銚子の歴史と密接な関係にある老舗であることがわかって興奮した。

商店街に面した工場。工場が稼働した昭和初期の賑わいを見てみたい。

飲み屋街?
角にある古民家に歴史を感じる。
左手に飲み屋街のような気になる一角を見つけた。手前が駐車場、奥にもお店が見える。

工場も近いから賑わっていたのだろうか。
「今夜は最高 こんなお店がほしかった!!」女性のイラストが印象的。

数件並んでいるが、全体的にお屋敷みたいな外観。

平日の昼間なので静かな商店街。この先が遊廓跡だとは想像もつかないほど。

右側に並ぶ商店。更地の場所にも昔は古い商店があったようだ。

ミートショップは閉まっている。今は近くにスーパーのカスミがあるので買い物は商店街ではないのだろうか。

商店街を抜けて大通りへ。いよいよ遊廓跡。

交差点の北側を進むと、松岸遊廓跡。
交差点の周辺にも薬局、寝具店など商店街の面影が残る。

商店街のメインストリート?
松岸町北の交差点を中心に個人商店がいくつか残っている。


遊廓跡を記録している人はいるけど、商店街の街並みを記録している人はほとんどいないようなので今回駅から歩いて良かった。
郵便局の並びにはだんごの甘太郎。

駐車場もあるので人気店だったのかな?閉業していて残念。

食事処の「波崎屋」。宴会も出来るようだけど閉業している。

向かい側には鮮魚店「なべや鮮魚店」。

交差点を東へ進むと、豆腐店の跡。

タイルが素敵な看板建築。元はどんなお店だったのだろう。


川が近いからか、鮮魚店が多い。

「松月呉服店」。店舗面積も広く、歴史がありそう。

裏通りの小林酒造場
商店街の一本裏通り。住宅街ではあるが、なんだか吸い寄せられるように歩いていた。

左手に見えるのは、蔵?大谷石なのか、白い材質の石が綺麗。

煙突やタンクの設備を見て、ここは民家ではなく、小林酒造場であることが判明。


どうやら、蔵と直売所が併設。趣のある店舗を見つけて嬉しくなった。だが、地図にはお店の記載はなく、歩いてなかったら気づかなかった。

内閣総理大臣のサインも…?歴史がありそう。。

小林酒造場は、清酒『祥兆(しょうちょう)』の蔵元です。大吟醸 好適米 八反錦を50%精白、ほのかな香りのなかにコクのある吟醸酒・純米種 高度精白(65%)の米を手造りで醸した純米酒。重厚にして幅のある味。冷やして飲むのも又うまい。生酒 本醸造 軽快な味とさわやかな香りで女性にも好まれます。
創業は、明治7年(1874)。酒銘「祥兆(しょうちょう)」は、幸運の兆しを意味し、銚子の「銚」と「兆」もかけて命名されたらしい。
あまりにもひっそりとした雰囲気だったので定休日だったのかもしれない。
松岸から江戸へ利根川を渡って運ばれていたのだろうか。
また、その近くには読売新聞松岸販売所の建物が残っていた。

読売新聞の古いホーロー看板!こうして自然のまま残っている看板を見つけると嬉しい。
松岸の商店街をこれほどまでに掘り下げている記録は少ないのではないかな。
駅から歩いて探索したら、意外と歴史が各所に残っていて楽しかった。
(訪問日:2021年6月)
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