【松戸散策①】松戸はレンガ建造物の宝庫?!松戸のレンガ探しの旅へ
松戸には、数多くのレンガ建造物が眠っているのを知っている方はどれくらいいるでしょうか…?花街を散策している私にとって、松戸で印象的な場所は「平潟遊郭」だったが、隅々まで散策していると、なんとレンガ建造物の多いことか…!
そこで、今回松戸散策1回目は、松戸のレンガをピックアップしよう。
①たばこ屋「かつびしや」
松戸駅西口から、流山街道へ。交通量が多い通りを、南の方面へと歩いていると、レンガ造りの茶色い建物が遠くからでも目立っている。
このレンガ建築は「かつびしや」。たばこ屋として現在も営業しているようだ。表面もレンガだったのかもしれないが、覆われているのが残念。
午前中に行くとシャッターが閉まっているが、11時に開店してからは、たばこを求める方々が立ち寄っていた。
たばこ、切手、印紙、洋品…「洋品」って何だろう?と思ったが、葉巻やパイプなどの看板も出ていることから、外国製の商品の扱いもあるということだろうか。
一面たばこが広がっているが、店内にもまだあるようだ。たばこが身近なものではなくなりつつある現在、たばこ屋自体が珍しいものとなっている気がするが、かつびしやのたばこはとても輝いて見える。
②春雨橋付近にあるレンガ・蔵
かつびしやを後にし、さらに流山街道を南下。「春雨橋」を渡った先に、レンガ建築を発見。こちらも道路に面している表は、普通の建物。しかし、裏を覗くと…
しっかりとレンガ建築が見える。入り口の門が高いため、全貌がわからないが、敷地内にはいくつかのレンガ建築があるようだ。
春雨橋を渡り、敷地の外側をぐるっと回ってみると、レンガ蔵のような建物も遠くに発見。どういった場所だったのだろうか。これだけ大きな敷地がそのまま残っており、異様な雰囲気。
昭和5年に松井天山が描いた松戸の鳥瞰図では、「福岡」とのみ示されている。鳥瞰図だけだと、正直どのようなお店だったのかわからない…
さらに調べていると、鳥瞰図を詳しく解説した『松井天山 千葉県市街鳥瞰図』に、福岡と関係がありそうな?現役だった頃の建物の様子が残っていた。
「フクオカ種苗店」
当時は中が丸見えの前面ガラス戸で、大豆やエンドウといった種を入れた箱や大中の枡が置かれていたようだ。大正時代の商家の名残を残す建物として、貴重なものであると紹介されている。しかし、場所が少し違っており、フクオカ種苗店の建物ではなさそうだ。
かつて、松戸の繁華街と言えばフクオカ種苗店のある「春雨橋」付近だったそうだ。様々な老舗が揃っていたようだが、時代の変化とともに、マンションやビルへと生まれ変わってしまった。福岡の建物の隣も、駐車場になっているが、最近まで古い建築があったようだ。このレンガ建造物もいつまで見ることができるのか…
③小山樋門史跡( レンガ橋)
レンガ橋は、千葉県内の現存する煉瓦橋の中でも最も古く、歴史的価値の高いレンガ橋。平成28年には、土木学会選奨土木遺産にも認定されているお墨付きのレンガの名所。
レンガ橋というと、九州の方面にある眼鏡橋?(情報は確かではないが)など、遠くに行かないと見ることが叶わないと思っていた。そのため、松戸でこんなにも状態の良いレンガ橋を見ることができるなんて感激した。通称、小山樋門(こやまひもん)と呼ばれるレンガ橋は、明治31年(1898年)に坂川の逆流を防止するために造られたもの。形式は三連アーチ構造を取っており、「めがね橋」とも呼ばれているようだ。
河川改修の際に、取り壊しの計画になったものの、取り壊しが見直され、保存されることになった経緯がある。現在は、レンガ橋に対する愛嬌のある看板や、説明書きがしっかりと設置されており、レンガ橋を残していこうという意思が見られるのがまた嬉しい。
文化財としてこれからも保存されて欲しいな。
④松戸中央公園正門門柱(旧陸軍工兵学校正門門柱)
今度は、松戸駅東口へ!東側は松戸に存在していた陸軍の遺構が数多く残っている。その中でも、レンガ造りの門がそのまま残っている松戸中央公園正門門柱は一見の価値あり。
大正9年(1920年)に造られたレンガの門。
そして右側には、旧陸軍工兵学校歩哨哨舎(ほしょうしょうや)。警備のために造られた歩哨哨舎は、当時は木造だったが、昭和2年から10年頃にコンクリート製になったのだとか。
他の方の写真を見ても確認できるバイクの存在…これは門柱とセットなのだろうか笑
正門は、門柱の頂部の門灯と門扉がなくなっているが、当時の旧陸軍工兵学校の様子を伝えるものとして、貴重なレンガ建造物である。
⑤千葉大学園芸学部旧正門
レンガ造りの門は、中央公園だけじゃない!少し距離は離れているが、千葉大学園芸学部松戸キャンパスの裏門は、当時旧正門として使われていたレンガ造りの門。
詳しくは前回の記事で書いたので合わせてご覧ください。↓
【レンガの門】100周年を迎えた千葉大学園芸学部の旧正門に残るレンガ造りの門
レンガの積み方について
レンガの積み方を知っている方はどれくらいいるでしょう?
『建築デザインの解剖図鑑』を読み、初めて知ったのだが、こんなにも種類があるらしい。レンガの積み方を知り、そのレンガ建築がどの時代に作られたものなのかを想像するのも楽しいだろう。
今回紹介したレンガ建造物についても、さらに調査をして追記していきたい。
松戸のレンガ建造物MAP
位置関係がわかるように、松戸のレンガ建造物MAPを作成してみた。東側のレンガ建造物は少し距離が離れているが、時間がある方はぜひ回ってみて欲しい。
散策していて、こんなに多くレンガ建造物に出会える場所(有名な観光地を抜きにして)は珍しいのではないだろうか。松戸の街並みに溶け込んでいるレンガ建造物。レンガを求めて散策してみてはいかがでしょうか。
(訪問日:2020年6月)
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