駄菓子屋「みどりや」閉店。59年間、地域の愛で溢れた閉店直前の様子 -丸山⑵

駄菓子屋「みどりや」が閉店する。59年の歴史に幕閉じると話題になっていた。
閉店するのが2020年12月31日。船橋市の丸山にある「みどりや」は一回も行ったことはないのだけれど、多くの方に愛される駄菓子屋さんと一目見たいと思い、閉店数日前に別れを告げてきた。
「みどりや」丸山中央商店街
千葉県船橋市丸山3丁目。丸山中央商店街の中心あたりに「みどりや」はある。

東武野田線「馬込沢駅」から徒歩約10分。思っていたよりも店舗が大きくてびっくり。

2019年のMyfunaの記事「丸山の駄菓子店「みどりや」来年末に閉店、3代に渡って親しまれた店に惜しむ声」に閉店の情報が載っているので、新型コロナウイルスの影響ではない。
2代目店主は現在76歳。高齢になり、「少し休みたい」のだと笑って話していた。お店の歴史については後で詳細を記そう。
駄菓子屋「みどりや」閉店直前
平日の午後、訪れた時はちょうど空いていた。数名、昔みどりやに通っていたと思われる方々が「懐かしい~」と話しながら駄菓子を購入していた。

2020年12月31日 閉店まであと9日。カウントダウンが寂しい。

かごを持ってお買い物スタート。

店内はとても広々としている。元々は日用雑貨のお店ということもあり、文房具なども扱っている。

そして豊富な駄菓子類。色々な駄菓子屋を訪れているが、このお店は買い物がしやすい空間だなと感じた。

駄菓子と文具に切り替えたのは15年ほど前だという。左にはノートや文具などが並んでいる。

10月~6月は、お湯のサービスもあり、お店のカップ麺をその場で食べることができるようにしていたらしい。いいなあ。

店主の人柄も素晴らしかった。「ゆっくりしてね」と色々なお話を伺わせていただいた。とても優しく、愛される理由が分かった気がする。

クリスマスシーズンだったからか、モールの飾りつけで店内が華やか。


駄菓子を購入するのにレジに行くと、チョコカステラが…これすごく好きなんですよね。

店内を見渡していると、元気が出るテレビの招き猫!たまに見かける。

みどりやで育った子供が、大人になって丸山を離れても、帰省のタイミングでみどりやに立ち寄ってくれる人も多いらしい。地元の方にとって思い出深い場所なのでしょう。

ストーブの上にやかん。一つ一つが温まる。閉店する記事なので、今回は特に入念に撮影した。

イートインスペース・レトロゲーム
お店の奥にはイートインスペースのようなテーブル席がある。

しっかりとルールが記載されているのも良いな~学区内の学生だけでなく、近隣の子供たちがよく訪れるそうだ。

「トイレがないので少し早めにかえりましょう」…なんて温かい言葉。

お店の入り口には、レトロゲームも設置されている。

駄菓子屋にレトロゲームが置いてあるお店って多くないので、とても貴重だ。

こちらは仮面ライダー?

私も小学生の時、こういうゲームでよく遊んだな~大人になってから見ると懐かしい。

みどりやの模型?とても可愛い展示があった。

テーブル席は1つではなく、3つもある。閉店する間際に、こんな素敵なお店を知るとはな~


貴重な写真や資料
昭和36年(1961)創業。元々は小岩で商売をしていたが、船橋市丸山に移転。文房具や生活用品を扱う日用雑貨のお店だった。

その後、昭和44年(1969)に店舗を建て替え、現在の広さに。

昭和40年(1965)の丸山町の航空写真も見せていただいた。丸山町の歴史、商店街の歴史について詳しく教えてくださり、とても話が弾んだ。

「丸山中央商店会」は1984年に誕生し、商店街の道路で夏祭りなども行っていたという。当時の写真では、今では考えられないほど賑わっていた。
みどりやの近くに、「大収湯」という銭湯があったという。

銭湯は跡形もなく、駐車場になっている。広さから考えて、かなり大きな銭湯だったのではないか。そして銭湯に通うお客さんも「みどりや」に立ち寄っていたという。

丸山という場所は、飛地となっている。丸山は船橋市だが、周りは鎌ヶ谷市。

「みどりや」の近くに、銭湯があるのがわかる。

さらに、ウルトラマンの撮影にも使われたことがあるらしい。知らなかった!

みどりや、ではなく「銀河マーケット」というお店になっている。ウルトラマンファンにとっても思い出の場所かもしれない。

あと興味深いと思ったのは、『駄菓子屋図鑑』という本。

父の世代くらいの駄菓子屋の様子だろうか。知らないことばかりで面白い。今度買ってみようかな。
さらに貴重な資料も見せていただいた。みどりやの夏のバーゲンのチラシ。

日用雑貨のお店だったことがとてもよくわかる。今は馬込沢駅前にもスーパーマーケットがあるため、商店街は次第に寂しくなっている。

また、住民の高齢化にともなって、「丸山循環バス」が運航を開始。そのため、バスで商店街を通り過ぎる人が多くなってしまったのだろう。時代の変化を感じる。

さよなら、丸山の「みどりや」
閉店最後の様子は様々なメディアで取り上げられていた。
Myfuna「12/28(月)丸山の駄菓子店「みどりや」大晦日に59年の歴史に幕」
駄菓子屋探訪ブログ「千葉県船橋市・丸山の駄菓子屋『みどりや』さん、閉店カウントダウン中です」
閉店前の様子を見ると、店舗の前には大行列。自転車がずらりと並び、多くの方が別れを惜しんでいた。

さまざまブログで扱われているが、私の記事では細かい部分まで撮影することに注力した。
駄菓子はどこでも買うことができるけれど、「みどりや」で買うから意味がある。店内の雰囲気、店主の人柄、現在徐々に失われつつある昭和の文化を感じる。

また一つ駄菓子屋が消える。
私も子供の頃、通っていた駄菓子屋が3軒すべて無くなってしまった。大人になったからこそ、わかる大切な場所。後悔しないように、今ある場所を大切にしていきたい。

丸山に住んでいた方にはもちろん、駄菓子屋に思い出のある方に届いて欲しい。
お店に随分長居してしまったが、快く対応してくださってありがとうございました。
そして、59年間、本当にお疲れ様でした。
(訪問日:2020年12月)
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