久留里駅前の古民家再生プロジェクト｜旧元固食堂（カフェー？）－久留里⑹

久留里で行われている古民家再生プロジェクト。その建物は、古民家の中でも昔のカフェー建築に値する価値ある物件でした。

1. 久留里駅近くの古民家再生プロジェクト
2. 旧元固食堂（カフェー）の歴史

久留里駅近くの古民家再生プロジェクト

JR久留里線「久留里駅」。この木造駅舎も大正時代の開業当時のままを保たれている。

久留里駅前、昔は各地の駅前に存在した日通の倉庫が存在したが現在は駐車場に。ストリートビューが入れない、県道と久留里線の間の道を歩いてみよう。

閑静な住宅街、営業しているお店等は見当たらないが古い建物が右手に。

洋館風なレトロな建物！右側に「明治学院大学古民家再生プロジェクト」の看板が掲げられている。

大学生による古民家再生プロジェクト、これは期待大ですね～
→久留里を盛り上げたい！岩永真治ゼミ（社会学部）が古民家再生でまちづくり

2021年頃から始まったらしく、Instagramでも日々の活動が発信されている。この建物が今後どうなるのか、最新情報を楽しみにしてます！

旧元固食堂（カフェー）の歴史

古民家再生プロジェクトが動いているこの建物のお話。

私は近代建築を調べる、歴史調査が趣味なので大学生とはまた違った視点でこの建物を語りたい。

一部改修されていると思われるが、店舗と住居スペースの二階建て。左側には厨房スペース？
まずこのアーチ型の入り口が良いですよね～

入口の欄間ガラスは模様が入っていて昔のまま割れずに残っていることが嬉しい。

そしてこの建物の入り口には「風俗営業（料理店）」の鑑札が残っている。

扉の雰囲気と「元固」の文字から元飲食店であることは予想していたが、元料理店とは…奥が深そうだ。

ひとまず、地元で詳しそうな方に聞き取り。

すると、昔は「元固食堂だった。その前は、元固バー、カフェーだったかな」との情報が。その方の記憶では食堂時代は覚えていそうだった。確かに久留里商店街の街灯も店頭に立っている。

ただ、それ以上の情報は拾えなかった…

どうしてもこの建物の歴史が気になるので後日、図書館で調べることに。

余談ですが、記事を書くまで、現地撮影と取材、図書館で資料から調べる、写真を取り込んで記事を書く、この一連の流れは時間がかかるが、そのかけた時間の分、歴史を紐解いた時の喜びは半端ではないんです。半分自己満足かな。もしこの記事の情報を引用する場合は最低限引用元を記載してほしいですね。

そして偶然違う探し物をしていた時にこの建物の古写真を見つけたのでした。

株式会社『木更津・君津・富津・袖ケ浦の昭和』お馴染みの地域の写真集。見つけた時の興奮は計り知れません！

しかし、著作権の関係で写真は載せられません。ぜひご自身で確かめてください～

昭和10年に久留里駅前に移転した「元固バー」。内部は久留里線の車内を模した造りになっていた。当時は「女給」とよばれていたウエイトレスのエプロン姿が印象的。厳しい修業時代の職人も「休日のカフェーでのおしゃべりが楽しみだった」という。経営者の土橋元吉氏の名をとって、頑固ならぬ元固バーとした。（『木更津・君津・富津・袖ケ浦の昭和』より）

大正から昭和にかけて最先端の文化を久留里に伝えた土橋氏。
昭和10年に移転とあるので創業はもっと古いのか…

古写真には昭和10年頃、店舗前に並ぶ経営者と女給さんら。外観は現在とあまり変わらず。左側の厨房部分も昭和初期からのまま。

古写真はモノクロなので色は分からないが、中央の線は現在と同じ。二階の窓は色ガラスだったよう。建物横の縦長の窓も変わらず。よく見ると今も手前一つだけ木製の木枠だ！入口の軒は後付け。

右上には「元固バー」「BAR」の看板が掲げられていた。

そして現在は埋められている1階部分右手にある丸い窓。最近まで埋められていなかったみたいだが…