香取郡多古町次浦の探索。旧久賀村道路元標、久賀小学校、明治の米本図書館
千葉県香取郡多古町次浦、かつての久賀村の集落へ。ここには久賀村の道路元標と、美しい近代建築が現存していました!
香取郡多古町次浦(旧久賀村)
千葉県香取郡多古町次浦。栗山川の上・中流右岸に位置する旧久賀村へ。
どうしても一目見たい近代建築があり、家族とのドライブで立ち寄り、県道120号沿いを歩いている。
角川書店『日本地名大辞典』に久賀村の歴史がまとめられている。久賀村は、11か村が合併し、明治22年~昭和29年まで存在したようだ。
役場は高津原に。昭和29年に多古町の一部となった。
今回は足を延ばさなかったが、御朱印も販売されている「次浦城跡」がさらに北にある。「次浦八郎常盛ゆかりの台地に築かれた方形居館が残る城」だそう。興味のある方はぜひ。
県道120号沿い。駐在所の並びに次浦のバス停がある。
その手前、駐在所隣にある樹で覆われた建物が気になった。なんだか病院っぽいな~と。
ぱっと見普通の外観だが…
やはりあった、歯科医院だったようだ。
現在は無人なのか、昭和の歯科医院の面影が残っていた。
この通りは空き地が多いが、バス停の隣に古い門柱と記念碑が建っている空間がある。
両側に門柱と中央に記念碑。塀に囲まれていて大事にされているのが伝わる。
よく見たら「土地改良記念碑」だった。昭和39年に設置されたものなのでそこまで古くは無かったな。
その隣は門柱が両脇に残っているが空き地。
元は役場とかかな、と思うスペースだが、左わきに小屋があり、町案内の看板も設置されていた。
そして県道120号沿いで見えてきた旧商店。現在は閉まっているが豆腐の冷蔵庫が残っていたので小さなスーパーのようなお店だったのかな。
その角に傾いた道路元標。
同じく県道沿いの古民家と看板。
シンプルな人生選…結婚式場とかの広告看板かな?
旧久賀小学校
久賀村の道路元標がある分岐を北へ。ちょっと急な坂道を登って次浦地区の中心部?へ。
しばらく行くと左手に「久賀小学校跡地」が見えてきた。跡地で広域避難所として活用されている。
進んでみるとびっくり!何もない、更地だ…空が青いなあ。
2014年のストリートビューでは両脇に建っていた門柱は根こそぎ倒されて空き地に。初めて門柱の底面を見た。
プレートが無くなって残念だったが、裏面には建造年!昭和7年…これも立派な近代建築の一部だなと思う。
校庭の奥には錆びた鉄棒と白いゾウが悲し気…
創立百周年の記念碑は残っていた。明治9年に次浦学校が創設し、明治11年次浦小学校を久賀小学校に。
現在は、別の場所に平成5年に十余三小学校、興新小学校、久賀小学校の3校が統合として久賀小学校として新築されたようだ。
恐らく駐車場として車の出入りに邪魔なので門柱と壁が撤去されたのだろう。
二宮金次郎像は新しい久賀小学校に移設されているようなので今度伺いたい。
旧久賀郵便局&米本図書館
久賀小学校の北側に隣接しているのが久賀郵便局。
現役の郵便局の北側にかつての郵便局の建物があると知り、一度伺いたかった。
こちらが旧久賀郵便局。「東日本 近代建築万華鏡」では、「庄亮記念館(旧郵便局)」として紹介されている。2011年の情報なので現在は開館していなさそう。
現在は個人宅なので見学はお静かに。
いわゆる特定郵便局。自宅の長屋門を局舎とし、昭和22年(1947)に局長を引き継いだ米本重信は郵便局舎を新設し、吉植庄亮記念館を併設したという。
そして右手にある青い洋館は、「私立米本図書館」。明治40年(1907)に開館し、千葉県内で6番目に古い図書館らしい!
記念館と図書館の概要が記載されていたが、土日祝が休みなのは社会人辛い…今度有給取得して伺いたいくらいだが。
「全国観光情報データベース」によると次の通り。ウィキペディアにも詳しい歴史がまとめられているので興味がある方はぜひ。
明治42年の創立で、県内では6番目に古い図書館である。設立者で初代館長の米本信吾氏(1883~1968)が、日露戦争後の青年の奢侈を読書によって戒めようとして設立したもので、一般図書の他、主なものは、町内出身の儒学者並木栗水(1829~1914)の蔵書や、後に併設された「短歌図書館」には印旛郡出身の歌人吉植庄亮(1884~1958)が主宰した「椰攬」関係の書籍が所蔵されている。邸内には吉植氏の歌碑もある。「庭松の うれに吹きたゆる ゆふかせの しつけきこころ われに来りつ」庄亮 「夏山の 草の起き伏 あはれにて 子と踏みきたる 朝の陽のかげ 」重信
当初、地域の教育を振興するための私立図書館として設立された米本図書館だが、2つのコレクションを持つことから、専門図書館としての機能も持っているそう。
木造2階建ての青い洋館。外観を見るだけでも価値がある!内部はどうなっているのだろう?図書の貸出は行っておらず、予約して資料を閲覧できるようだが現在も開館しているかな…?
多古町旬の味産直センター
最後に立ち寄ったのは県道沿いにある直売所「多古町旬の味産直センター」。
しんのみ畑、その由来はホームページに記載されていた。
多古町あたりでは昔から農家が自分たちで食べるためにつくる野菜を「しんのみ」とよんでいました。それは、「みそ汁の実」にする野菜。つまり、「汁の実」がなまって変化したものだといわれています。自家用の野菜は、多種類で少しだけつくります。しかも旬のものばかりです。「しんのみ畑」でつくられるような旬のおいしい野菜をお客様にお届けしたいという願いをこめて「しんのみ畑」と名づけました。
直売所の営業時間、9時30分~17時。こじんまりとしているが営業中だった。
新鮮な野菜だけでなく、お弁当や飲み物なども販売。手作りのカレーも美味しそう。この辺りでは貴重なお店!
私たちは焼き芋を購入~ねっとり甘い焼き芋でした。
(訪問日:2022年3月)
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