北千住の銭湯4選!「キングオブ銭湯」宮造りの銭湯建築に惚れ惚れする

東京都足立区の北千住には、老舗の銭湯が多数残っており、銭湯ファンのみならず、建築好きにとっても散歩コースとして親しまれている。まさに銭湯のまち。
今回は、下町銭湯のまち・北千住に残る老舗の銭湯をご紹介!私は実際に中には入っていないが、これだけ素敵な銭湯揃いだとどこへ行こうか迷ってしまいますね!
銭湯①タカラ湯
北千住駅から徒歩20分ほど。大門商店街からも近い、荒川の近くに「キングオブ縁側、庭園」と呼ばれる北千住でも有名な銭湯がある。

「タカラ湯」
日本庭園が美しいタカラ湯では、錦鯉と四季折々の花が楽しめるとあって様々なメディアでも取り上げられている。
昭和2年に開業。現在のタカラ湯の建物は、昭和13年につくられたものであり、柴又帝釈天門前の園田仏具店にて七福神の彫刻を制作していただいたそうだ。


なんと、戦争中には高い煙突が工場と間違われ空襲に狙われたこともあったのだとか。そんな状況でも平然として湯につかっている人々。当時のエピソードから強い精神力を感じる。


戦後直後、多いときには一日1500人~2000人もの人が出入りしていたらしい。今と違って内風呂などない時代、銭湯は街に欠かせないものだったのだ。

千鳥破風の大屋根に、唐破風の入り口。まるで寺院を思い出すような立派な宮造り型銭湯は、大正松から昭和の初めにかけてよくみられたもの。

入り口には立派な唐破風は、結界のような役割。また、その屋根についている彫刻は兎毛通し(うのけとおし)と呼び、職人の腕の見せ所だそうだ。

タカラ湯の外観は、戦争を持ちこたえ、当時と変わらない姿で残っている。これは本当に凄いことである。昔の建物が次々と解体される中、変わらない姿で現在も多くの方に愛される銭湯。
ペンギン湯をはじめ、バラエティ豊かなお風呂が揃っている。開店と同時に、四方から桶を手に集まってくる地元の人々。銭湯がある街の温かさを知った。
タカラ湯
東京都足立区千住元町27-1
営業時間:15時~23時30分
定休日:金曜日
銭湯②金の湯
2つ目の銭湯は「金の湯」。青空に映えた金の湯の煙突がお気に入りの写真。

「金の湯」は、ニコニコ商店街の通りの建物の裏に隠れ家のようにひっそりと佇んでいる銭湯。ぼーっとしていたら通り過ぎてしまうだろう。銭湯の煙突を目印に建物の存在を知った。

大きな富士山のペンキ絵、半露天風呂が魅力らしい。銭湯で露天風呂に入れるなんて贅沢ですね…!

金の湯
東京都足立区千住柳町36-8
営業時間:15時~24時
定休日:火曜日
大人:460円
小学生:180円
未就学児:80円


銭湯③ニコニコ湯
昭和27年創業のニコニコ湯。外観からしてユニークな銭湯として話題。大正通りに面しています。


わいわいミニプールが気になる。銭湯だけど、子供にとっても楽しめそう。
現在2代目のオーナーの方は、前職がデザイン関係の仕事ということもあり、ニコニコ湯にちなんだオリジナル商品も開発しているのだとか。銭湯を若い人でも楽しんでもらえるようなブランディングがとても魅力的!

表は新しく改築したものだが、以前の彫刻が入り口に飾ってあった。

横から見ると、千鳥破風と彫刻が見える。


オリジナリティ溢れるオシャレな銭湯「ニコニコ湯」。
ニコニコ湯
東京都足立区千住柳町2-10
営業時間:15時~24時30分
定休日:木曜日
銭湯④大黒湯
「東京のキングオブ銭湯」ともいわれる北千住の大黒湯。北千住駅からも徒歩13分ほど。

まるでお寺?!と思ってしまうような巨大な宮造りの銭湯建築!写真ではなかなか伝わりにくいですが、かなりの大きさ。
昭和2年(1927年)創業の大黒湯は当時のまま。日本の文化が濃縮したような、文化財級の銭湯です。

正面から見ると、千鳥破風の大屋根と唐破風の入り口の立派さに胸が熱くなる…
あれ、入り口は?と思ったが、現在は右側に入り口が作られている。

七福神の彫刻かな?和やかな表情の彫刻を見ているとなんだか幸せになりそうだ。


唐破風の入り口には、兎毛通し(うのけとおし)。銭湯によって彫刻の顔が違っていて、彫刻の奥深さを感じる。もう少し彫刻についても勉強したい。


銭湯の前にある弓矢は、江戸っ子のダジャレ。弓矢がどういう意味を持っているかわかりますか?
答えは、弓射る→湯入るとして考えるんだそう。江戸時代のダジャレは色々あるけれど、時代がどんなに変化しても変わらずに受け入れられるダジャレってすごい。

裏手には、大黒湯と書かれた煙突がある。

立派だな~と思って、上を見上げたら、猫?なんだろう?
実は、銭湯の看板をつくった方が、招き猫として制作したものらしい。…過去の写真を見ると、オレンジ色をしていたので、長年の劣化で黒くなってしまったのであろう…ちょっとびっくり。

大黒湯
東京都足立区千住寿町32-6
営業時間:15時~24時
定休日:月曜日
大人:(12歳以上)460円 ※中・高校生は学割料金で300円
中人:(6歳~12歳未満)180円
小人:(6歳未満)80円
追記:幻の「子宝湯」
江戸東京たてもの園に移築保存された北千住の「子宝湯」。その写真が見つかったのでここに追記する。(江戸東京たてもの園で撮影したのは2019年12月)

子宝湯は昭和4年に開業し、昭和63年まで営業していた銭湯。場所は千住柳町の路地にあったそうだ。現在は建物の文化財としての価値が認められ、江戸東京たてもの園に移築保存されている。

この時は友達と撮影をしていたため、子宝湯だけの写真が残っていなかった。後悔…黒塗りの写真で許してください。
見苦しいので自分で描いたイラストを↓唐破風の大型な屋根が、綺麗な状態で保存されているのに感動する。

子宝湯の中も入れる。女湯も男湯も入り放題!笑


当時の映画がのラインナップだろうか。


入浴者心得もよく見ると面白い。昭和27年というと、かなり昔のものだなあ。千住の広告が至る所で見られる。現存しているお店もあるのだろうか。

風呂のエリアもしっかりと保存されているのが嬉しい。男湯の方に富士山が描かれていた。

先ほどから思っていたのだが、タイルがある歴史のイラストになっている。これは何の歴史のシーンかわかりますか?



こんなにも巨大な銭湯建築が移築保存されているのはとても嬉しいことだ。こうして保存されていることで、当時を知らない私たちのような世代でも昭和の銭湯について学ぶことができる。すべてを移築保存することは難しいかもしれないが、残しておくことの重要性を感じた。
北千住には、この他にも多くのレトロ銭湯がある。銭湯の建築巡りだけでも1日楽しめそうな、北千住。銭湯、赤線、商店街、昭和レトロが色濃く残る街に入り浸りたい。
(訪問日:2020年7月)
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